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「非日常的」な飲み物。

 それほど熱心ではないけれど、祭りの場所にはもちろん行ったことはあるし、そこでの思い出も豊富とは言えないけれど、タイコの音や、盆踊りの歌と動き、なんだか、ざわざわした感じは、たぶん、人が集まっているところにしかないと思う。


祭りの食べ物

 それでも、具体的に覚えているのは、祭りの食べ物のことかもしれない。

 袋に、その当時人気のあるキャラクターが描かれて、そして、何よりそれを食べている人たちがおいしそうで、だけど、消極的な子どもだったから、それほど強く欲しいとも言えなかったけれど、何かの加減で、その綿菓子を買ってもらったこともある。

 だけど、子どもでは、途中で飽きてしまい、それで、そのあたりに捨てるわけにも行かず、昔は人が集まる場所には必ずあった灰皿などに少しずつ溶かしていた。周囲を見ると、同じようにしている大人もいたから、やっぱり飽きてしまうのだろうけど、かといって小さく売るわけにはいかない事情があったのだと思う。

 他にも焼きリンゴも食べた記憶がある。

 それも、他の人が丸ごと焼いたりんごを、表面に何かおいしそうな何かがかかっていて、食べたくなって、やっぱり買ってもらったことがあったけれど、とても重い味がして、やっぱり食べきれなかった。

 そんなことがあったり、だけど、昔ほど、お祭りで販売されている食べ物が、それほど美味しかった、という記憶はなかった。だけど、最近は行っていないけれど、おそらくは、他の外で売られている飲食物と同様に、とてもおいしくなっていると思う。

 その頃、祭りの飲み物として、アルコールが飲めないので、ラムネを飲んでいた。買ってから、店先にぶら下がっているラムネの栓を開けるための突起がついたものを使って、栓になっているビー玉を押し込むと、泡が出てきて、それをこぼさないように、すぐに口をつける。

 それから、ビンを傾けるのだけど、特定の方向に傾けないと、再びビー玉がビンの中で転がって、ふたのように機能して、飲めなくなる。

 それは、普段とは違う飲み物であることを実感できる出来事だった。

ラムネ

 祭りに行くこともほぼなくなり、駄菓子屋なども行かないと、ラムネを目にする機会は少なくなる。

 それでも、時々、思い出したように、スーパーの飲料コーナーにラムネが並んでいることがある。あると、買ってしまう。

 最近も、何か新製品がないかと思って、棚を見たら、一番下の棚にラムネがあった。その配置は、ガラス瓶のものだから、その安全性も含めての配慮かもしれないと思ったが、2本買った。

 おやつの時間に妻と飲めるのでは、と思ったからだ。

アイス

 気温の高い日。

 ここのところ様々な食品の値段が上がっていることもあって、アイスも1リットルの箱タイプを買うようにしていて、それを使ってラムネフロートにしたい、という妻からの提案があったので、準備をする。

 ガラスのコップにアイスをスプーンですくって、入れる。

 そして、2本のラムネと一緒に部屋へ運ぶ。

 それから、ラムネを開けようとする。

 上についているフタのようなものがあって、そこには突起があるので、そのまま押す。

 開かない。

 力をさらに入れる。

 やっぱり開かない。

 アイスも溶けてしまうので、ちょっと焦る。

ビー玉

 説明書きのようなものが書いてあったのに妻が気がつき、そこには、フタをそのまま使うのではなく、外すように描いていた。

 あ、そうかと思い、そのフタの中央部分だけを切り取るように外す。

 一回り小さい円で、そこに突起物がついている形になる。その円の部分のプラスチックは、それほど丈夫ではなく、ちょっと頼りない。

 それで、その突起物を栓につけて、押す。

 開かない。

 その道具は、ちょっと柔らかいので、なんとなく心もとない。

 それでも押す。

 体勢を変えて、力が入りやすくして、さらに強く押す。

 アイスが溶けてしまうので、さらに焦りも増している。

 ぼん。

 というような音がして、ビー玉は、ビンの中に落ちて、泡が立つ。

 アイスが入ったグラスに注ぐ。

 アイスフロートにするので、半分ずつを注ぐと、ちょうどいい感じになった。

 おいしかった。

非日常的な飲み物

 ラムネは、ラムネ、という味で、考えたら、他の飲料にはそれほど似ていないし、なつかしいけれど、昔の飲食物のように、今だと、ちょっとおいしく感じないということもなかった。

 ただ、もしかしたら、ラムネをラムネのままバージョンアップしているから秘かにおいしくなっているのかもしれないけれど、残念ながら、自分が、そこまで分かるような繊細な舌ではなかった。

 それでもラムネフロートはおいしかったし、妻は、ラムネだったことで「イベントだね」とうれしそうだった。

 よかった。

 考えたら、いろいろな味の飲料は、数限りなく販売されてきたし、今も売られているし、これからも売られ続けると思う。

 だけど、おそらく、ラムネは、その容器のつくりのために価格のかなり部分を占めてしまいそうだから、肝心の飲料が少し少なくなっているような気もするのだけど、ビー玉を使って、開ける時も飲むときも、ちょっとした「遊び」の要素が入っているような、微妙なエンターテイメントな飲み物は、他にないのではないか。

 だから、イベント、という言葉が出てきてしまうような飲み物のままで、それは、製造にとても手間がかかりそうだから、もしかしたら、絶滅危惧種のような存在になっているかもしれない。

 それでも、改めて、ラムネは、非日常的な飲み物のままだと思う。




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