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色を浴びる。

この春、長野→沖縄へ引っ越した。山から海への引っ越しだった。引っ越したけれど、拠点は長野の自宅のまま。

引越し先の「沖縄」と言っても、那覇や首里のある沖縄本島ではなく、そこからさらに南下したところにある離島。とても小さな島で、職場や家からは海が見える。だから、いつも青い空と青い海を眺めながら生活している。

写真を見た人には「色を編集してますか?」と、よく聞かれるけれど…。いえいえ、編集しなくても、こんなにも空も海も青いんです。

先日、夏休み休暇を取り、子どもたちを連れて長野に帰省した。東京経由で長野入りしたのだけれど、高速バスの車内では居眠りをしてしまった。ずいぶん眠り込んでしまった。沖縄の離島から長野の自宅に戻るのに2泊3日もかかるから、車内では疲れ果てていたのと同時にホッとしたのだろう。それはそれは深い眠りだった。海の底に沈んでしまったかと思うような深くて漂うような眠りだった。

やがて、はっと目を覚まし、慌てて窓の外を見た。そしたら、緑の世界が広がっていた。

毎日見ていた青の世界から一転して、目の前には緑の世界が広がっているので、とても驚いてしまった。つい数日前までは青色の世界に生きていたのに、今は緑の世界に身を委ねているのだから。

そこで、あることを思い出した。

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以前、色光療法というものがあるのを知った。ヨーロッパでは、医師によっては、色を患者に処方するらしい。色には薬のような働きがあるからだそうだ。ただ単に、色を目で見るのではなく、色を身体全身で浴びるのだ。そうすることによって、色そのものがもつ力強い働きを体内に取り入れる。目からだけでなく、皮膚からも色を吸収し、色によって呼吸が変化したり、体内の熱が上がったり下がったりするらしい。

当時、療育を学んでいた私は数種類の色を浴びる授業を受けたことがある。つまり、色光療法の体験をしたことがあるのだ。私の場合は、色を浴びると、自分自身が色と溶け合うような感覚に陥り、自分が色に溶けてなくなりそうな気がした。ある色を浴びると、すぐにリラックスして眠くなってしまった。それに、別の色を浴びると全身が猛烈に熱くなり、湿疹が出てしまい、しばらく痒みが続いてしまった。その体験から、色の影響力は計り知れないと実感している。

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空と海の青さに包まれる時、山の緑に包まれる時、それぞれの色が身体に強く影響を与える。人によっては、空と海の青さに居心地の悪さを感じるかもしれないし、逆に気持ちが楽になるのかもしれない。そのようなことを考えると、時々、普段の生活ではなかなか浴びることのできない、ちょっと違う色の世界へお出かけするのも良いなと思った。遠出ができなくても今いる場所から空を見上げ、朝焼けや夕焼けを身体全身で感じて、一刻一刻と変化していく空の色を浴びるだけでも、その時の自分に必要な力を得ることができるのだろう。

昔から、嫌なことがあったり、気分が乗らない時、疲れている時など、私は自然の中へ入っていかなければ自分を保てなかった。それは、今思えば、風景から与えられる色の力を求めていたからかもしれない。

人生の土台を作る幼少期に、どんな色を見ながら育ったかというのはとても大切。家から見える風景は変えることは難しいから、せめて壁の色やカーテンの色は子供に配慮した色を選びたい。

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