見出し画像

調べることが9割9分5厘6毛と、小野不由美さん。

小野不由美さんの調べる量がすごい。それは1991年の時点で徹底していた。

***

こんにちは、こんばんは。くりたまきです。

十二国記のことしか考えていない今日このごろ。実家に帰ったので、小野不由美さんの著書をできるだけ東京に持って帰ってきた。ティーンズハートの悪霊シリーズ、どうして半分しかないんだ……!多分誰かに貸して、そのままになっちゃってるんだろうな……。返してほしい。

ああ、また集めるかなあ。

悪霊シリーズって、こんな作品です。

普通の女子高校生・谷山麻衣が、ナルシスト美少年の渋谷一也(ナル)をはじめ、変人揃いの霊能者たちと怪事件に挑むシリーズ。少女小説家としてデビューした小野不由美の出世作である。当時のティーンズハート文庫は、「主人公の一人称で書かなければならない」「主人公は普通の女の子でなければならない」「恋愛小説でなければならない」という暗黙の了解があったが、小野不由美はそのハンデを逆手に取り、三人称では書くことのできないミステリを、ホラーをベースに描き出した。続編では文章が三人称に変化している。(Wikipediaより)

最後の謎解き、はじめて読んだときは、ぞくぞくしすぎてどうしようと思った。こんなふうに、ミステリーって書くことができるんだ、と驚いた。
いろんな制限があっても、若い女性がターゲットとされていても、小野不由美さんは読者を侮らないひとなのだ、とも感じた。

悪霊シリーズは、のちにゴーストハントシリーズとして、2010年から小野不由美さん自身による完全リライトの新装版が発売されている。それまで、どんなに探しても古本屋さんでも見つけることはできなくて、ネットオークションでは少女向けの文庫本とは思えぬほどの高値でなかなか手が出なかった。それほどの人気だったのだ。
いまは、少しは落ち着いたのかなあ。でもリライトして中身も変わっているから、どちらも愛でたいのがファン心。わたしは両方欲しい。

さて、なぜか2冊持っていて1冊は行方不明の悪霊シリーズの最終巻(『悪夢の棲む家』をのぞく)、『悪霊だってヘイキ!』を読み返すと、そのあとがきのあとについた「おまけ」に改めて驚かされた。

「霊やなんかのことを調べるには何を読んだらいいの、という質問をたくさんいただきました。それでここに、簡単ながら参考文献の一覧をつけておきます」

参考文献一覧。指で数えてみたら124冊の本がずらりと並べられていた。妖怪にまつわるもの、中国呪術に関するもの、日本の信仰や仏教神道に関するもの、キリスト教についてのもの、サイキックのもの……。

124冊。きっと、ほかにも参考にしているものはあるだろうから、これは最低でも、ということだと思う。少女向けの文庫本で、ここまでするひとって、この時代ほかにいたのだろうか。いや、いまでも……。しかも、1989年から1992年までのあいだにシリーズとして8冊を発行している。若かったとはいえ、124冊以上の参考文献を読み、このミステリーを編み上げたのだ。もう、もう、すごすぎて言葉にならない。

この悪霊シリーズののち、小野不由美さんは十二国記を書きはじめる。古代中国の讖緯(しんい)思想をベースにしたこのシリーズ、小野不由美さんはどれだけ調べて調べて、いまも調べ続けているのだろう。

ライターの田中泰延さんは、著書『読みたいことを、書けばいい。』のなかで、「調べることが9割9分5厘6毛」と述べている。

ああ、そうだ。わたしは、調べることの大事さを、知っていたんじゃないか。わたしはずっと昔に(おそらく中学生くらい)、この驚くべき小野不由美さんの参考文献の量に圧倒されていたのに、そんなことは忘れて、日々調べが甘いままものを書いている。

小野不由美さんと比べるなんて恐れ多いことだけれど、小野さんほどの雲海の上に住まうような方でもずっと調べ続けているのに、わたしのようなライターの端の端の端くれが調べるのを怠るなんて、甘いにもほどがある。

調べよう。調べ続けよう。

あ、ホワイトハート版の「風の海 迷宮の岸」の下巻もなくなってる…!どっかで探して買わねば。

さいごまで読んでくださり、ありがとうございます! サポートしてくださったら、おいしいものを食べたり、すてきな道具をお迎えしたりして、それについてnoteを書いたりするかもしれません。