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青春とは?~『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』 2021/8/25の日記

 しんちゃんの新作映画を観に行った。「青春ナゾ解きおバカ学園ミステリー」と内容てんこ盛りの今作なんだが、全ての要素がバランスよく入った素晴らしい作品だった。

ーーーネタバレありますーーー

 カスカベ防衛隊が私立天下統一カスカベ学園に体験入学する所から物語は始まる。実は、この体験入学は風間くんが誘ったもので、みんなで入学したいという思いがあった。しかし、それに気づかぬしんちゃんは風間くんとすれ違い、絶交してしまう。風間くんはその日の夜、寮を飛び出し、事件に巻き込まれてしまう…

 風間くんとしんちゃんたちが持つ絆の深さを通じて、「青春」の煌めきを感じる。歳を経るにつれて、その煌めきを僕は8割くらい失っている気がする。しかし、その真っ只中にいる、もしくはこれから飛び込んでいくしんちゃんたちの姿は、懐かしいし、羨ましかった。

青春=ふぁいやー!

 特に、好きなシーンがあった。終盤、しんのすけと風間くんがぶつかり合う姿を見て、AIが「青春とは何なのか?」と分からなくなり、その際、登場人物が一人一人、自らの考えを述べる(ひまわり、シロも…笑)。「コンプレックス」、「孤独」、「義理人情」、「鉄仮面」など、ギャグっぽいものもあれば、核心を突くものもあった。

 個人的に印象に残ったのは、みさえの「もう、失ったもの」とひろしの「今が青春(うろ覚え)」であるのだが、ここで言いたいことは、みさえとひろしの答えが正しいということではなくて、それぞれ十人十色の考え方があるということだ。青春の真っただ中にいると、恋をしなくちゃとか、部活に精を出さなきゃいけないとか、何かを押し付けられているように思うことがあるかもしれないけれど、本作は決してそうではないと教えてくれる。そんな優しさに溢れている。そして、最後には色々な意見をひっくるめて、しんのすけが「ふぁいやー!」と叫ぶのだが、とても清々しかった。

 劇場内には、小学生くらいの子どもからカップル、親世代、おじいちゃん・おばあちゃんまで多数の世代がいた。それぞれがあのシーンをどう見て、どのような青春に対する答えを見出したのだろうか。そういう観点から考えて、たくさんの世代に見て欲しい映画であることは間違いない。

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