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『僕はイエス様が嫌い』の制作部をお手伝いした話①ー僕と映画

はじめまして、Jinkingtoshと申します。

今回は、僕が初めて商業映画の制作に参加させていただいた時のお話をさせていただきたいと思います。

その映画が、奥山大史監督の『僕はイエス様が嫌い』です。

本作は、第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞や、第29回ストックホルム国際映画祭の最優秀撮影賞等を受賞し、TOHOシネマズ等の大きな映画館を含め、日本全国で公開されましたが、正直に言って僕はこんなにも大規模な作品に参加している自覚はあまりありませんでした。

というのも、奥山大史監督は、僕にとって大学のゼミの2個上の先輩にあたり、参加に至った経緯も至極単純なものであったからでした。

その経緯を書く上で、僕の映像制作との関わりから順を追って書きたいと思います。

僕と映画

僕は、大学で放送研究部に所属し、自主映画やPR映像を撮影したり、編集したりしていました。カメラ等の機材について全く知らず、編集ソフトの名前すら知らない段階から始め、初歩的な部分は先輩に教えていただくも、ほぼ独学で自主制作を行っていました。

また、中高生の頃から漠然と「アーティストになりたいなあ」と感じていた僕は、大学に入学後、常に、自分の生涯を懸けられる文化・芸術はどの分野なのか、アーティストとして生きていくためには何をしたらいいのか、何をどのように表現していくべきか、どうしたらお金を稼ぐ作品作りができるか、そんなことを模索するようになっていました。

その中で、映像もまた一つの表現の手段として自分の可能性を探っていた時期でした。しかし、大学2年生の末頃に、初めて外部から依頼されて行う撮影の現場に連れて行ってくれた放送研究部の先輩から「放送研究部は、現場を知らない人が多いからね」と言われ、「確かに…」と感じました。というのも、自分がやってきたことは、放送研究部という内輪で完結する作品作りであって、決して外向きではなかったと気付いたからです。

そこで僕は、自分の映像作品の制作を一時的にストップし、まずは「知る」ための行動へと移していくことにしました。独学で映像制作を行っていたために、映画制作のイロハなど露程も知らず、技術的なスキルも何一つ持っていないにも関わらず、『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』や『チワワちゃん』で知られる二宮健監督の短編映画『LOCAL RULE』の現場に参加させていただいたり、ゼミの先輩が制作し、夜空と交差する森の映画祭で上映された『空蝉の夕』の現場に参加させていただいたり、まさにもがいていました。

しかし、それらの行動とは裏腹にイマイチ掴み切れていない自分がいました。撮影の流れや現場での動き等は徐々にわかってきていたような気がしていましたが、何か足りない気がしていました。

同時に、自分にとってベストな表現手段は、映像ではないのかもしれないとも思い始めていました。

転機?

そんな風に感じていた最中、一本の電話が僕にかかってきました。

それは、ゼミの1個上の先輩からで、「先輩の卒業制作を手伝ってるんだけど、人手が足りなくて、今から来てほしい」とのことでした。

当時の心境はあまり思い出せませんが、直感的に「行くべきだ」と感じて二つ返事で了解し、すぐに出先から帰宅して集合場所へ向かいました。

それが、奥山大史監督の『僕はイエス様が嫌い』という作品です。

次回は、その集合場所で僕が経験した「制作部」について書きます。


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