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淡路島移住計画 ③ ワーケーションで予行演習編


粛々と東京の店じまいを進めながら、淡路島の物件を探していましたが、パソナ本社移転に伴って賃貸市場が沸騰しているためなのか、なかなか良い物件がない。大手どころのサイトの物件は全て見ましたが、築40年とかばかり。

せっかく移住するのだから、できれば庭付きの戸建てがいいな。歩いていける温泉もほしい。夕陽の見える海岸近くの別荘地にあれば最高。新築は無理としても、耐震性能の問題もあるし、築浅がいいな。少なくとも阪神大震災以降の新耐震基準のもの。と当初思い描いていた諸々の夢は脆くも瓦解しかかっていたのでありました。

そんな悩める10月半ば、どじょうを食べたケントからワーケーションの誘いが。大学時代の共通のツレ、やすたかの営む茨城県の農場である。気分転換にもなるし、田舎でリモートワークをする予行演習にもなるので、行ってみることにしたのでした。

ここが噂の「暮らしの実験室」か。

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ケントからたびたび聞かされていた「暮らしの実験室 やさと農場」は、気軽に農業体験ができる開かれた農場。この日も新潟からわざわざ大学生が農体験にやってきていました。アグリツーリズムなんていう言葉が普及してきたとはいえ、実際に受け入れてくれる場所は他には見つからなかったんだとか。

暮らしの実験室 やさと農場

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元々は70年代に都心に暮らす人たちが、自分たちが安心して食べられる食材を求めて共同で作った場所らしく、現在でもここで穫れた卵や野菜を定期購入する人たちによって維持されているようです。

敷地内には平飼いの鶏舎と豚小屋があり、のびのびと育った家畜たちの糞などを発酵させた堆肥で有機農業を行う「有畜複合」という循環型農法を採用しているということです。

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敷地内には木に吊られたブランコやツリーハウスなど、随所に遊びゴコロも見られて楽しい。ツリーハウスを見つけたので「わーい」と上ってはみたものの、思っていたより高くてビビって何もできずすぐに下りました。樹上生活をしていたという遥か昔の祖先に対し、改めて畏敬の念を持つ良い機会となりました。

ワーケーション風景

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農場内の簡単な案内が終わると、お仕事開始です。集中が途切れそうになったら外の景色を眺めて一息つけるので、企画とか原稿書きとかの仕事に最適。煮詰まったらふらっと近所の農道を迷子にならない程度に冒険するのも良い気分転換になりました。

※写真は2Fの宿泊部屋でwi-fiは1Fにしか飛んでおりません。手持ちのUQ wimaxは圏外でした。

仕事の後は夕食、そして酒盛り

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仕事が終わったら、ここからが本番。田舎にしては珍しく、徒歩圏内にコンビニ(セイコマート)があるのでそこで酒を買い出しして、たらふく飲むという作戦です。ワーケーション場の横が炊事場兼ダイニングスペースとなっているので、夕げの支度が始まると美味そうな香りの総攻撃にあい、実際仕事どころではなかったのですが。

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20年ぶりに会ったやすたかは相変わらずええやつでイケメンであった。いや、イケメンというより「いい顔」になったと言ったほうがいいかな。この農場に腰を落ち着けつつ、常に新しい挑戦を続ける好奇心に感服するばかりです。

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やすたかが酒が無限に飲める「鶏の特製ホルモン煮」を作ってくれたので、無限に酒を飲みながら農と仕事の未来について語らいます。薪ストーブの何ともいえない香りもたまりません。久しぶりの再会に、ついつい深夜まで話し込んでしまったのでした。

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翌朝は、始業前に1h農体験

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朝は、体験者の希望と都合に合わせてその時農場で行われる作業のお手伝いができます。作業はせず農場ステイだけを楽しむのもOKですが、せっかくなのにやらない手はないでしょう。

軽やかな朝の空気と、重苦しい二日酔いというアンビバレントな気持ちを抱えつつ、鶏舎に向かいます。「呑んだからつらいのか、つらいから呑むのか・・・」最底辺のニワトリタマゴ理論がアタマの中を無限ループしておりました。

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平飼いの鶏たちは自由気ままに動き回っていて、この中からよくタマゴが拾えるものだなと思っていたのですが、鶏は催したら小屋に駆け込む習性らしく産まれたタマゴは小屋の中にまとまっていたのでした。

小屋を開けると他の鶏が産んだタマゴも含めて温めている鶏さんがいました。次に催す鶏が来たら交代するのでしょうか。あるいは「入ってます」と言ってしりぞけるのかもしれません。

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朝食のTKGで食べるための一番美味そうなタマゴを選りすぐります。さっきまで温められていたので、ほかほかしてます。

タマゴは2-3日に一度のペースで、生涯で300個ほど産むのだそうです。この殻だけでも毎回ものすごい栄養分が持っていかれそうですが、よく骨粗鬆症にならないものです。

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さて、自ら手摘みのタマゴでの初TKGです。これまで「こだわりタマゴ」はいくらでも食べたことがありますが、とれたては初めて。割っても白身が広がらず、弾力性が全然違います。母鶏が若いほうが殻も分厚く、弾力性も高いということです。

タマゴ摘みが終わったら豚小屋へ

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豚小屋に着くとごはんの時間がわかっているのでしょうか、「よくきたね」と豚が愛想よく出迎えてくれます。昼間は警戒しまくりのくせに。

※やすたかの指摘で正式には「豚舎(トンシャ)」と言うのだそうですが、「おもろいから豚小屋でいいよ」とのことなので、作品の歴史的価値を踏まえあえてそのまま残しております。

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近所の豆腐屋さんから出たおからを配ると、次は小学校の給食の残飯です。やはり豚もこっちのほうが美味いらしく、食い付きがまるで違いました。廃棄物や残飯を家畜の餌として循環させることで、廃棄費用も餌代も節約できるのですね。

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だいたいここまでで1時間弱。餌やりを終えると始業前の少しの時間で、通勤電車に揺られる代わりになかなか濃密な体験ができました。

餌やりが終わったら、お仕事へ。

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仕事場に戻る途中に山羊が一匹だけいました。特にミルクも出さず、肉にもなる予定はないとのこと。ふかふかの牧草のベッドを占領して「ときに君、マルクスの資本論は読んだかね」とでも言いたげな視線を投げかけてくる、この農場唯一の「高等遊民」です。

一方その頃農場では

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始業時間が僕より遅めのケントは、その時間帯の農場の作業に合わせて芋掘りをしていました。鍬をふるっての収穫は結構体力がいるらしく、都市生活者には朝の30分くらいがちょうどいいようです。

平日仕事しながら家族サービスもできるワーケーションは、ケントのような家族持ちのパパにとっても新しい時間の使い方のオプションになりそうですね。

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都心の自室での狭苦しいリモートワークの一日に比べ、はるかに濃密な時間が過ごせて大満足の2日間の終わり。淡路島の地元の不動産屋さんに不思議な物件を発見。

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賃貸で新築の戸建て小庭付き、しかも夕陽の見える西海岸の別荘地にあるとくれば当初の希望は全て満たしている。しかし形が珍妙すぎて何だか住みにくそうだ。発泡スチロール製とか大丈夫なんだろうか。・・・しかし、これ以外は洲本市街の築40年しかない。実際に行ってみるしかなかろう・・ということで、ワーケーション終わりの土日に早速淡路島へ行くことに。帰ってきたらすぐ土日、というのもワーケーションの良さの一つでもありますね。

出典:レインボー不動産

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