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「壊れた心のメロディ」

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学校や、家庭環境、心が荒んで、疲れて。生きづらくなってしまった人へ。 ある繋がりのあるテーマをまとめたマガジンです。
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記事一覧

【連載小説】『スピリット地雷ワールド』《第七話》

 プロローグ  地雷系。それは、逆鱗に近しいものであるが、いつ何時に怒りが爆発するのか全くわからないという違いがある。  性格、感性、趣味に至ってまで、一般人と比べれば変人と言えるだろう。しかし、その吐出した魅力的な個性が多くの目を惹くこととなる。地雷系が得意とする共依存テクニックは一度心を奪われた人を決して離さなかった。  これがまた厄介で、地雷系が忌み嫌われる理由である。当然だ。なぜなら、周りに迷惑をかけることになんの躊躇がなく、その場でもし地雷系が悲しいと感じ

続ける!毎日掌編小説、第9回目!『現実より』

「どうしてそれができないんだ」この言葉を最後に、私は現実から飛び出した。  忘れていたいことなら無限に出てくるのに、幸せだったものはすぐに消えていく。  あなたに今の私を教えてあげないと、うん、手紙が一番いいな。  私は鉛筆と青の折り紙を取り出した。  1枚目の手紙  私の居場所はここだけ。手を汚したわ。ごめんなさい、やっぱり抑えられなかった。  したくもない仕事だった。だからやめて清々したよ。  私に合った仕事はないかと探す努力はしたし、今まで無理もしてきた。

『沈む星、昏い未来(Sinking Star, Darkened Tomorrow)』続ける!毎日掌編小説第20回

 [1200]  カビと生ゴミが混じった匂いが、喉の方で痞えているように臭った。これは私が小学校に入学して半月してからの話だ。  凍りつくほど冷たい何かが足先から腰まで、腰から手の先まで登ってきた。  祖母に買ってもらった赤いランドセルはその時すでに鮮やかさを失っていた。  視線をほんの少し下に落とすと、赤と白のボーダー柄の子供用テーブルに置かれた、三百円が目に入った。ジリジリになっている髪が垂れ落ちてきて視界の九割が黒く染まった。 「ハズキ、あなただけは私の味方よ

続ける!毎日掌編小説。『水』

 痛かったのを覚えている。そうだ、私は殺された。ただただ深い海の底を見つめ思い出す。私は周りの水と一体化していた。  殺されるのは時間の問題だった。学校に行くのが怖かった。行けば肌に印を押される。トイレに閉じ込められて水をかけられた。恥ずかしくて、体は次第に溶けていくから、私が私でなくなっていくのを感じた。 「お前はゴミだ」  だからなんだ。そう思えるほど、それを腐るほど聞いた。耳がダメになるほどに。一番私がよく知ってる。私は今にもジュっと消えてしまいそうな家族のために何も

第12回、毎日続ける!短編小説「ゆうウォンとキルみー」

 夏の始まり、蒸し暑くなる頃だった。そして後もう少しでやってくる夏休みに浮かれる私たちは、少しばかり思考を怠っていた。  ノートを忘れて教室に戻った私はあるものを目撃してしまう。滅多に人が入ることのない倉庫になっている部屋。そこにメガネをかけた、ビクビクしているやつと、ヘラヘラしながら周りを見渡しているのが二人、そこに入った。    怪しい、昨日先生が朝のHRで言っていた。最近イジメが急増しているらしい。全く持って許せない。見てしまったからには助けてあげないと。あのビクビク