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双極性障害を生きていく

なかなか起きることができなかった。憂鬱な気分の中でいつ死にに行くんだろうと思った。生きると考えていても、私の心の奥底に眠っている希死念慮は目覚めに活動する。終わらせたいという気持ちを押し付けてくる。疲れる。

私は病気の基本的なことは理解しているが、全てのことを把握はできていない。例えば1日の気分の波や転換期の鬱に切り替わる時の衝撃。慣れることができない。

ふつうの人は何かがあって、気分が落ち込む。漠然としたモヤモヤに悩まされることもあるだろうが、それは基本的に言語化や認識が難しいだけで基本的には原因や理由がある。
だが、双極性障害という病気には原因も理由もない。原因でいうなら、この病気こそが全ての原因。

この病気は心の病ではなく、脳の病気だ。
「スイヘーリーベボクノフネ」でお馴染みのリチウムによって、脳の動きを助けてもらうのが有効だとされている。天然物質であるリチウムは私たちたちの体の中にもわずかに含まれているらしい。このリチウム量を調整することで、躁状態やうつ状態を改善したり、予防ができる。またリチウムを飲むことは、自殺予防効果がかなり高いと言われている。とはいえこの薬は効き始めるのに2週間はかかるし、血中濃度を測りながら使わなければいけないことから、医師的にも取り扱いが非常に難しい薬らしい。
薬との相性もあるが、リーマス(炭酸リチウム)以外の薬で治療している方も多くいるだろう。私も長らくデパケン(バルプロ酸)を使っていた。

というわけで、双極性障害を患っている私からすると「めっちゃ物質の問題じゃん……」と思うわけである。単純明快といえばそうだが、何か起きたからとかそういった理由で、落ち込んだり辛くなるだけではなく、ただただ脳が物質の問題でそういう風に作用しているということなのである。だから意味もなく落ち込み、辛くなったりする。私が私の感情に意味がないとよく言っているのは、悲観的になっているわけではなく、これが理由だ。

うつだってミトコンドリアの異常だし、病気なんてそんなもん。そんな風に簡単に割り切ることができたらどれだけ楽だろう。生きてるからには、原因や理由を探したり、己の感情に意味があるものだと思いたい。本来心の機微というものは美しいもののはずだ。だが双極性障害という病には、厄介なものでしかない。壊れそうなほどの情緒を持て余しながら生きていかなければいけない。

しんどいんだよ!!!!

この一言に尽きる。

ちなみに双極性障害は、大きく遺伝が関係しているが、環境にも大きく影響される。私の場合は遺伝が原因だ。祖母が重い統合失調症だった。双極性障害の原因遺伝子というものは見つかってはいないものの、精神科では双極もしくは統合失調症の近親者がいないか確認されることが多い。

近親者に該当する病気の人がいたからといって恨むのは違うと思っている。恨んだところで何もならないし、建設的じゃない。ただ思う。遺伝子や脳の物質、そういったものに立ち向かっていくのってかなり大変だ。説得とかできないし、考え方を変えたりすることで対処できる問題じゃない。ひたすら薬を飲んで、予防と対策を考えていくしかない。かなり消耗する。それでも生きていかなければいけなくて、日々千切れそうになりながら生きている。

誰かに理解されたいとも社会にこの病気を許容してほしいとも思わない。ただこんなに辛い思いをして生きていることを知ってほしいと思ってしまう。読んでくれているあなたに。

双極性障害に限らず、多くの精神疾患に悩む人たちが薬漬けにならない方法で明日を気持ちよく生きられるようになってほしい。本当は誰も死にたくないのに、自殺してしまうこと、拒否をしないで知ってほしい。「死にたいと言う人間は死なない」とよく言われる話だけど、あれは神話らしいよ。自殺した人の多くは、「死にたい」と口にしている。言葉を口にした直後じゃないだけで。
私は生きたいのに死にたくて辛いよ。早く楽になりたい。

ちくまプリマー新書は読みやすいから読んでみてね。


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