見出し画像

「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」は確実に実施されている模様

●高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施とは

3月13日開催「第14回高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」の配信を視聴しました。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施(以下、一体的実施)とは、75歳以上の高齢者の医療保険者である広域連合と市町村が協力して、後期高齢者の健康維持・フレイル予防に努める仕組みで、令和2年度からスタートし、令和6年度までに全ての市町村において実施することとしています。
また一体的実施の推進には、KDBシステム等を活用し、データ分析に基づく保健事業の提案、対象者抽出を含む効果的な事業が求められています。

厚生労働省資料

●令和4年度一体的実施 実施状況調査の結果

はじめに、厚労省で調査した一体的実施の実施状況などの結果についての説明がありました。少しピックアップしたものを。

○全国のほとんどの市町村で事業を実施、もしくは令和6年度までに実施予定となっているが、まだ未定が72自治体あり、多くは小規模自治体。
○ハイリスクアプローチの実施で、最も増加率が高いのは「健康状態不明者の状態把握」。
○ハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチともに課題として、「目標・評価指標の設定」「事業実施後の評価・改善策の立案」が多く挙げられた。
○実施している市町村からは、「事業に取り組む体制の構築につながった」「健康課題が明確になった」「広域連合との連携ができるようになった」などのメリットの回答あり
○都道府県による支援の課題として、体制整備やデータ活用の環境整備など。市町村への支援では、ニーズや地域の実情に即した支援の難しさが挙げられる
○広域連合の評価として、目標設定状況は、42広域が委託市町村数を設定。4広域が各事業にアウトプット、 アウトカムの目標設定を実施していた。

事業を実施したことでメリットを実感するも、事業の効果検証などは課題という段階でしょうか。面白いと思ったのは「健康状態不明者の状態把握」がとても増えていること。データを活用することで、今までたどりつかなかった対象者にリーチできることに、事業として手応えを感じているからではないかとのこと。

●一体的実施における個別事業の評価指標

厚生労働科学研究 研究班にて一体的実施の個別事業における評価指標例(アウトプット、アウトカム)が検討されました。

資料1 P38

こちらは、データヘルス計画においても広域連合・市町村における評価指標として活用することを想定されています(先に開催された第3回データヘルス計画(国保・後期)の在り方に関する検討会にて了承されています)。

●一体的実施・KDB活用支援ツール

令和4年度に開発された「一体的実施・KDB活用支援ツール」は、事業の対象者リストを自動作成する等により業務の簡素化・標準化を図ることができるもののようです。ツールの保健事業の活用について、参考資料2に「一体的実施・実践支援ツールの 保健事業への活用 実践・評価編としてまとめられています。

●令和6年度分予定 後期高齢者医療制度の保険者インセンティブ

これは、一定のインセンティブを付与する観点から100億円の予算規模全額を、得点及び被保険者数により振り分けて交付するため、広域連合にとっては、非常に重要かと。参考資料3 保険者インセンティブとして次年度の変更点などが記載されています。

---
データヘルス計画については、検討会が開催されているので、別途レポートしたいと思います。
最後に感想。医師会の委員が、地域の医療現場で高齢者個人への関わりとして、「元気チェック」として後期高齢者の質問票を活用したりしている、また食生活の改善を栄養士の方とぜひ一緒に進めたいという発言がありました。データ収集や地域連携という言葉としてではなく、事業が高齢者一人ひとりの健康へのサポートとして実感できるといいですね。
--
WGの視聴は下記からできます。
後日議事録がHPに掲載されるまで視聴できるそうです。なんだか新しい形式ですね。個人的には聴き取りにくいところを見直せるので、この形式はありがたいです。
当日録画映像 厚生労働省公式Youtubeチャンネル
URL: https://www.youtube.com/watch?v=ouUJbbujIqc


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?