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リビングにいられるようになった話

「どういうわけかリビングに長くいられない」という自分の心情を発見し、以前から不思議だなーとは思っていました。

もちろん子育てをしていますから、リビングに全然いないわけではありません。家族揃って毎日楽しくごはんを食べるし、リビングで家事もするし、たまにみんなで桃鉄でもしようとなればリビングで一緒に遊びます。
でもなんか……長くはいられない。
リビングにいると心がざわ〜っとして、そわそわ冷え冷えした気持ちになってくる。自分の居場所が無いような、所在なく心細い気持ちになってくる。自分んちなのに。

2024年1月 なめらか調べ

これはxで今月取ったアンケートですが、子育てをしていて自室で過ごす時間が長い女性ってあんまりいませんね。もちろん住宅事情的に自室を持たない人もいると思います。
私はいちおう自室的な小部屋を持っているということもあり、ついこの間まではそこで過ごす時間が一番長かったです。

夕飯を食べ終えたら自室に夫が来て一緒に韓ドラや大河を観たり、そこへマッサージ好きの子どもたちが「肩揉んで〜」と混ざってきたりしますから、家族のコミュニケーションは足りていると感じるし楽しい。でもどうして私はリビングに長くいられないんだろう、どうして自室にいる方が心が楽なのかな、こんなお母さんは失格かな、もっといつもリビングにいてにこにことお茶を入れたり本を読んだりしているお母さんになりたいのにな、、と考えることもしばしばでした。

幼少期からのこころの傷に昨年から向き合い始めて「あぁこれって、自分が子どもの頃に過ごしていた居間を、現在のリビングに投影しているんだよな」と理解できるようにようになりました。

「三つ子の魂百まで」というように、子ども時代に刷り込まれた価値観を更新するのはよほど意識しないと難しかったりする。私にとってリビングとは「父が肉体的・精神的暴力を振るう舞台」だったわけですから、今の家庭がどんなに幸せだったとしても、そりゃー落ち着くイメージの場所であるわけがないよな。

こういう感じの話って友人知人からもたまに聞きますね。

「中学時代に先生からよく呼び出しをくらっていたせいか、子どもの三者面談の日になると体が震えるし、中学校という場所に行くのが辛い

「海辺の町に住んでいたときにいじめられた嫌な記憶を思い出すので、似た景色の土地がTVに映るとチャンネルを変える

「家族仲が悪く家庭が安全基地でなかったせいか、温かい家庭を築いた今でも予定や出張を入れてなるべく家に居付かないようにしてしまう

…こんなふうに「苦痛な記憶」から自分を守り続けるために、もう手放していいはずのアラートが何十年経っても誤作動を続けてしまうことって本当によくある。

「リビングに長くいられない自分をなんとかしなければ」と、それをメインの課題として掲げていたわけでは全くないのですが、自分の過去と向き合う作業が進むうちに「過去」と「現在」の切り離しも進んだようで、不思議とリビングにいられる時間が増えてきました
これまではどこに座っても「居場所がない…」と感じていたのに、子どもたちと一緒に音楽を聴いたりおしゃべりをしたり、植物の手入れをしたり、少しずつくつろげるようになってきた。

過去と向き合う作業をする際にとても効果があったのが、インナーチャイルドとの対話です。
インナーチャイルド(内なる子ども| 子ども時代の自分)と心の中で話をするのですが、居間で声を荒げて母をなじったり物を投げたりしている父に怯えて、泣きながらご飯が飲み込めなくなっている自分のところに行って、自分で自分を慰めいたわるワークを一人で何度か行いました。

▲この本、絵柄はかなり昭和なんですけど、インナーチャイルドの癒し方に関してめちゃくちゃわかりやすくて良書だと思います。おすすめです。

私は一人っ子だったので、父親が荒ぶっていてもその怖さを共有する兄弟がいなかったのですよね。だから、年の離れた頼もしい姉のような立ち位置で、その頃の泣いている自分が落ち着くようにたくさん話しかけました。

「ごはん食べてる時にこんな大声出されたくないよね、ほんっとに嫌だよね」
「お父さんなんか帰ってこなければいいと思うよね、どうしてこんな風にいつもお母さんや私を痛めつけるんだろうね」
「そんな風に泣いちゃうのも当然だよ、がまんしなくていいからね」
「今あなたはこんな暮らしがずっと続くと思ってるかもしれないけど、大人になったらすごく優しい人と結婚して、穏やかな家庭を築けるからね、大丈夫だからね、楽しみにしててね」

心の中で小さな自分をたくさん抱きしめて頭を撫でて背中をトントンして、それからその小さな自分の前で今の自分が父親に一喝するイメージワークもしました。こんな小さな子の前で不機嫌を撒き散らしていいと思ってんの?見てごらんよ怯えてんじゃん、お前がやってることは暴力なんだよ、今すぐお前が出ていけよ、、、もっと口汚い言葉もあったと思いますが、その子(自分)の代わりに怒りを発散するということを繰り返し行いました。

※これ、トラウマの程度によっては一人で行うと記憶のフタが開いてしまって大変だと思います。私はその頃メールカウンセリングを受けていたので専門家に伴走してもらいながら行っていました。

泣いているインナーチャイルドはいろんな場面にいるので、それを発見するたびにその子をよしよしする作業をひたすら繰り返すうち、「今は安全なところにいる、だから大丈夫」「あの時のことはあの時のこと、今は今」と自然に思えるようになっていきました。だから今、リビングにリラックスしていられる時間が少しずつ増えてきたのかなと思っています。

この調子で、現在の私を制限しているさまざまな記憶から自由になっていけたらなーと、そうすることで子育てや夫婦関係もより良く変わっていくのではないかなと、そんなことを考える日々です。

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