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XIIX(テントウェンティ)3rd「XIIX」の感想

XIIX3枚目のアルバム「XIIX」の感想です。発売おめでとう~。もう3枚出したなんてすごい。でも2枚目から2年半経っているのか。なんだかあっという間だな。

池袋タワレコのスペシャルレシート

びっくりした雑誌インタビュー

「MUSICA」を始めとするメディアで宏介のインタビューを読んでけっこうびっくりしたんです。

「いざセカンドまで作って蓋を開けてみたら、自分とすってぃの目指しているところが結構遠かった」って言うのが。
えっ、そうなの?

「自分は1stアルバムでやっていたようなことをずっと続けるつもりだった」「初めてのワンマンで、すってぃがお客さんに手拍子を煽ったので、ああいうことはちょっとやめようと話したけど、次のライブでもまた煽ってた(笑)」「自分の意志だけでなく2人の意志がひとつになって転がっていくことにロマンがあるから、そこのピントの合わせ方がようやく見つかって3枚目ができた」「自分のエゴはもっと薄くていい」「4枚目以降は共作とかサウンドプロデューサーを立てるのもあり」「ポジティヴな諦め」「自分を変えていくことをアルバムで表現」「やりたいことはひとりで突き詰めればいい、だったらXIIXではそういうことやる必要ない、音楽の一番前にある壁みたいなものに触れ続けていたい」「だからギター弾かなくてもいい(それが自分のためにもなる)」「2人で変わり続けて面白がりながら自分たちにしか出せない答えを出し続けていくことに楽しみがある」

「MUSICA」より

などなど、ざっくりですが、主にこういった発言に「へぇぇぇぇぇ」と驚きと少しのとまどいが。この話を踏まえると、余計に1枚目の「White White」はこの上なく斎藤宏介の色が濃いと感じます。

私はユニゾンを知るより先に、宏介のソロを見て「この人が主導の音楽が聞いてみたい」と長らく思っていたので、「White White」を聞いた時は、「うわぁこれこれ」と求めていたものが聞けてとても満たされました。なんとなく宏介のやりたい方向を感じ取ったので、2枚目の「USELESS」はだいぶポップ寄りになったなぁという感想を持ちましたが、宏介が自分の中で許せる『ポップ』というものがどこまでなのか探ったアルバムだから納得。3枚目はどうなるのかなと思ったら、こういう風に落ち着いたのか。個人的にはけっこう意外でした。

ライブですってぃがお客さんに手拍子煽っているの初めて見た時、私もぶっちゃけとまどいました。宏介はそういうタイプではないし、勝手にすってぃも同じタイプかと思い込んでいたので。XIIXに限らずライブで手拍子を煽られるのが好きじゃないこともあります。
でも、まあすってぃが煽るなら、いっか!楽しんじゃおっか!っていう気持ちが芽生えました。すってぃのことを信頼しているからだろう。だから、1度目は「手拍子煽るのやめよう」と宏介が話して、それでもすってぃがやっちゃってたことに対して笑っちゃった気持ちわかる。しょうがないw

バンドであるからにはメンバーの意見を尊重することは大事。当たり前ですけど。当たり前なのに、ワンマン的な振る舞いをしているフロントマンを目にして、いたたまれない気持ちになったことが何度もあります。
宏介がすってぃをサポートではなくメンバーとして迎え入れたからには、「突き詰めたいことはソロで」「ポジティヴな諦め」って言ってるの、すごく腑に落ちたし、すってぃとしかできないことに喜びや意義を見出して楽しんでいることが伝わってくる。

私はオタクなのでXIIXが実験的なことをやればやるほど喜ぶ気がします。変なギターの音とか、妙なベースの音とか大好物。でも、たくさんのリスナーに届くためには、そこだけ狙ってもあまり得策ではないかもしれないので(セールス的にも)、すってぃの視野の広さはとても大切なのではないかと思うし、それゆえに生まれた名曲もたくさんあると感じます。

レコ初のツアー、サポートギターが入るのにもちょっと驚いたんです。宏介という最強ギタリストがいるのに?ギターボーカルとして人一倍、いや百倍ぐらいこだわりを持つような宏介が、XIIXで自分以外がギターを弾いてもOKっていう境地に至ったことが衝撃で。
すってぃもスーパーベーシストなので弾きたい人かと思っていたけど、プレイヤーという立場よりも曲やメロディーをまず優先にするんだなぁ。プロデューサー目線の強い人だからかな。

結成以来、順調に(コロナの邪魔が入ったけれど)育まれてきたと勝手に思っていたけれど、人知れぬ葛藤があったんだなと思って面食らいましたが、宏介の自分の気持ちへの折り合いの付け方が、さすがだなと思って。切り替えの上手さ、合理性、賢明、ネガとポジの共存。さらにスケールのでっかい人になったのでは、と勝手に感じて感動するし、尊敬します。

宏介がソロにも目を向けているようなので、ファンとしては棚ぼただと思っています。一人で弾き語るのは興味ないって言ってたけれど、製作自体はまた別なのだろう。めっちゃマニアックな宅録ソロアルバムとか聞いてみたいです。

全体の雑感

先入観を持たずに聞きたかったので、曲に関するインタビューは読まず、収録曲数も把握せず、まっさらな状態で聞きました。1曲1曲の存在感があるせいか内容を濃く感じて、8曲目の「アカシ」へ向けての盛り上がりが素晴らしく、ここでクライマックスかしら、と思ってしまったほど。そこから再び第2章が始まるような感覚でした。合計13曲なのでアルバム収録曲数としては普通だと思いますが、なんだか濃厚だなと感じたのです。

「スプレー」「アカシ」「まばたきの途中」の存在感が強い。聞き慣れていて思い入れもあるせいだと思いますが。この3曲が浮かないようにアルバムを作るのだから、1曲1曲に込めるものも大きく、相当なエネルギーを使ったのだろうなと想像します。

「ミュージックライン」で、「曲作ってる時のことは覚えていない、没入しているから、なんなら夢にも出る、頭の中で鳴っているものを集中して聞いている、2年半高校野球部のようなことをストイックにやってきた」といった内容を宏介が話していました。それだけ根詰めて向き合っていたのだなぁ。

THE BACK HORNの山田将司がゲストの「斎遊記」がとても面白かったのですが、将司の「今後ミュージシャンじゃない仕事するとしたら?」という問いに、宏介が答えを一向に見つけられず思い悩む様子がリアルで、将司が「音楽しかない感じが、ちょっとかっこいいな」と感じ入った様子でした。頭の回転が早くインタビューなどにはすらすら答えているイメージの宏介が、これだけ言葉に迷っているのを私も見たことがなく、おおおおお(言葉にならない)と思いました。

常日頃から宏介は「自分には音楽しかない」「それが宿命だ」と言った意味合いのこと話しているけれど、本当にこの人は音楽に命を燃やしているのだなぁと思います。同じバンドマンから見ても、「かっこいいな」って言わしめるぐらいに。

ラジオでも「仕事を抜いたら絞りかすみたいな生活をしている(笑)」と冗談交じりに話していて、大げさに自虐的な表現をしているのだとは言え、それぐらいの気持ちでやっていることは伝わって来ます。

すってぃはトライアンドエラーが多く、かっこいいリフですら躊躇なく捨てて全部壊して作り直していたそう。長年の経験値があるから、「俺ならもっとかっこいいのができる!」と手放す(戻る時もあるが)、生みの苦しみと完成した時の快感を知っているから中毒だ、と話していました。
さすが変態だな(笑)素晴らしい物作りをする人達は、凡人の想像が及ばない熱量を持って活動しているのだろうなと思います。

そんな職人気質な2人が時間をかけて作った「XIIX」は、セルフタイトルの重さをひしひしと感じる渾身のアルバムだと感じます。
正直なことを言うともっとあからさまに風変わりな曲があっても嬉しいけど。JAPANの山崎さんが「今までは聞き終わるとドヤ顔が見えたけど、今作はない」と指摘していました。私はドヤ顔も大歓迎かな。でもそれはまあこれからもたくさん機会があるだろう。3枚目はこの形が2人が出した答えだと、説得されるし納得する。

「シトラス」「うらら」「あれ」が特にお気に入りです。(「アカシ」「スプレー」「まばたき」は別格なので除く)。変化球みたいな、「あ、やられた!」って言う曲が好みです。
「シトラス」については、「もともとあった曲のサビを変えた、テクニカル過ぎて伝わらないから」とインタビューで話していましたが、その「テクニカル過ぎて伝わらない」と思われるようなタイプの曲も個人的には興味津々です。オタクの戯言ですが。

言われて気づいたのですが、ギターソロ少ないのね。言われて気づくということは、ギターソロが少なくても、さして違和感がないと言うことなのだろう。進化し続けるXIIX、可能性が無限に思えて楽しいなぁ。

曲ごとの感想

01. 魔法の鏡

XIIXは妖艶なイメージが強いので、妖艶な幕開けが素敵だなと思う。しかもラストにかけての不穏な展開に、引っ掛かりを感じてドキドキします。この後、一体どんなアルバムの世界が広がるのだろう、と期待が膨らむ。

歌詞はandropの内澤さんと共作だそうですが、それを聞いたせいか内澤さんが歌っても違和感がないように思えます。
「斎遊記」に内澤さんがゲストに来てセッションした時も、昨年久しぶりにandropのライブを観た時も思いましたが、andropとXIIXは親和性が高い。音楽的に色々なことにトライしていて、バンドの生音と打ち込みのかっこ良さ、両方を兼ね備えている。

宏介の気持ちを内澤さんに話して書いてもらったそうですが、「どうでもいいや」から始まって、「変わらずにいたいなら 変わらなきゃいけない」って歌詞が、このアルバムの1曲目としてこの上なくぴったりだなと感じます。

02. 月と蝶

リード曲なので一番最初にラジオやテレビで聞く機会がありました。ライブでもサマステ@六本木で聞きましたが、ライブで聞いた方が何百倍も刺さるな。「足りない×7」の畳みかけに、自分内の熱量もぐんぐん上がりました。楽曲はライブで聞くことで理解が深まるのだなとつくづく思います。
アコギが最高。サビ前やラストなど、アコギをジャカジャカと激しく鳴らすのがたまりません。アコギを激しく鳴らす斎藤宏介が好きなのです。

まず「足りない」というフレーズがあって、そこから曲を作り始めたそうですが、足りないとわめいている蝶が、光(月)に飛び込む、焦燥感と美しさが共存している。「中二病」をテーマにしても、着地点が美しいと感じるのはXIIXっぽいな。

1番でかっこいいものができると、2番でふざけたくなる傾向があるそうです(何かのラジオで話していた) 。私はそういうおふざけが大好き。音源で入っている「は?」という合いの手が超お気に入りなのですが、ライブではすってぃが「は?」ってちゃんと突っ込みを入れていたので大喜びしました。

すってぃのコーラス♪タラッタータラッターを聞くと、このヒット曲の♪パラッパーパラッパーを思い出します。

03. スプレー feat. SKY-HI & 谷中敦 (東京スカパラダイスオーケストラ)

2022年にとてもよく聞いた1曲です。それだけお気に入りで大好きということです。きっとこの先もずっと特別な1曲。

初めて聞いた時、「今夜はブギーバック」を連想しました。あの頃の僕らが色んなことを経て、今に至って素敵な音楽を奏でていることの素晴らしさに感動するし、ある程度の人生経験を経て来た大人ならノスタルジーを感じると言うか、アンセムのような雰囲気もあって、何度聞いても胸が弾みます。
「ベースマガジン」を読んだら、インタビュアーさんが「今夜はブギーバック」のオマージュが、って話していた。やっぱりそんな雰囲気あるよね。

宏介がハンドマイクというのも特別感があって楽しい。「ダチのすってぃ!」(すってぃがベースでアンサー)というライブバージョンも最高ですし、ツアー「SANITY」のファイナル渋谷でスカパラの谷中さんとSKY-HIがシークレットで登場したのも忘れられない思い出です。

私はSKY-HIがゲストの「SK's Session 2」をきっかけにSKY-HIのファンになり、ファンクラブに加入しワンマンライブにも行くようになりました。当時のサポートはすってぃ。時を経て、それぞれ大きくなった3人がさらに素晴らしい音楽を届けてくれることにも大きな喜びを感じます。なんかいいよなぁ、大人の青春だね。

04. 次の朝へ

物語性を明確に感じます。穏やかで優しく背中を押してくれるような、映画やドラマのエンディングで流れそうなバラード。ストリングスを従えたら大迫力だろうなぁという妄想が膨らみます。
正統派で良い曲だと思うけど、今のところまだ引っ掛かりがないので、ライブで聞いたらまた印象が変わっていくだろうか。

05. シトラス

アニメの主題歌みたいなパンチのある、くっきりしたわかりやすいリズムと音で、初めて聞いた時からインパクトがありました。ループするようなリズムのせいなのか、頭の中で主人公が延々と道を歩いているようなアニメ映像が浮かびます。色んな音が仕掛けてあるのがめちゃ好み。「ZZZZZ」みたいに。

歌詞が好きで聞き入ります。正解でも間違いでも別にいい。必ず手に入れたいものが今目の前にあるから。そこに絡む「シトラス」という意外性のあるワード。
何故シトラスなのだろうと思ったら、ラジオで「すっと人に入ってくすぐるもの、香り、シトラスにしよう」と思い至ったと話していました。どうにも言葉にならない切なさみたいなもの。いいな、その比喩。私もそのような感情をこれからはシトラスと呼びたい。

サビの「何かと匂わす 香りはシトラス 頑張ろう言うとります」「リトマス紙 しっ」っていう言葉遣いが極めて宏介らしくて、XIIXのこういう個性が好きで魅了されます。あまり意味をなさなくともリズムと一体化してる歌詞が私は好きなのだろう。リトマス紙。しっ。

「頑張ろう言うとります」を聞いて、Lucky Kilimanjaroの「踊りの合図」に出てくる「苦しいでござんす」を連想しました。おしゃれなメロディーにくだけた言葉遣いが乗ると、独特のリズムが出てさりげないパンチがあるな。

06. あれ

3月のKroiとの対バンで「in the Rough」の「あれ」のアレンジバージョンが披露され、会場が沸きました。「このイベントのために、Kroiに寄せたようなファンキーなアレンジにしたのかしら、また聞きたいな」と再び披露されることを願ったのですが、アルバムに収録されるとは嬉しい。
すってぃが「XIIX版のレッチリ」って言っていたけれど、そう言われるとAメロのグルーヴィーなスラップがレッチリ濃度高い気がするー。耳につく、かっこいい。

歌詞が反骨精神に溢れていてXIIXらしくて好き。「有り金全部置いてきな」ってぐらいの強気も。英語箇所、なんて言ってるかわからなかったんですけど、「きらきら星」の引用だと知ってにやけてしまいました。

07. まばたきの途中 feat. 橋本愛

初めてライブで聞いた時は「Fantom」みたいな色っぽい曲だなと思って、無性に想像力がかきたてられました。描写とメロディーが美しくて虜になっちゃう。

後にfeat.橋本愛と明かされてびっくり。音源を聞いたら想像以上に良くてさらにびっくり。橋本さんの声が聞こえてくると、無条件に耳が吸い寄せられてしまう。芯が通っているけど儚さもあって、橋本さんの声が主役に感じます。そしてハモっていた2人の声が、「重なった」でユニゾンするところは何度聞いてもゾクゾクする。
毎回はっとさせられるような感動と切なさと煌めきがある曲だなぁと思って、ただの「好き」とも異なる、特別な曲に感じています。

橋本さんの声を主役に感じるのは、それだけXIIXのプロデュース能力が高いからかな。宏介が、作っている時に橋本さんをイメージしたのでダメ元でお願いしたと言っていましたが、そういう嗅覚すごい。「スプレー」もそうですが、今後もコラボ作品が非常に楽しみです。

橋本さんのことは「ミュージックステーション」での歌唱を聞いて素晴らしいなと思っていたけど、それ以上に朝ドラ「あまちゃん」のイメージがいまだに強烈にあります。わざとへたくそに歌っていた、アイドル志望の女子高生役。その彼女が、こんなに素敵な歌い手になっていることに、今なお驚いてしまう自分がいます。

ファーストテイクバージョンを聞くと、橋本さんの歌唱が音源に比べて生っぽさが増すと感じる。「頼む、2人付き合っていてくれ!」という身勝手な願望が沸き上がります、2人が作り上げた曲の世界、表現力がそれだけ素晴らしいのだろう。

08. アカシ

大好きでスペシャルな1曲なので、アルバムに収録されているのを聞いただけで感激しちゃったよ。まるでアルバムのクライマックスのように感じました。

音源に寄せたバージョンや人力バージョンなど様々なアレンジで披露されていますが、どんな顔でも「アカシ」はいつも光り輝いていて胸が熱くなる。この先もずっと大事に思う曲だと思っています。

「アカシ」についてのあれこれはこちらに詳しく書いています。

09. 正者の行進

昨年末のCDJで披露された新曲でした。「ウィスキーがお好きでしょ」ってハイボールのCMみたいなフレーズが印象に残ったので歌詞を覚えていたのです。でも歌詞カードを見たら「リスキーがお好きでしょ」だった、完全に騙されたwww

ライブで初めて聞いた時、どっしりとしたリズムでSuperflyの「タマシイレボリューション」っぽさあるなと思ったのですが、すってぃがインタビューで「スタジアムロック的な曲になった」と話していました。こういうジャンルはスタジアムロックと言うのね。ミドルテンポで力強く、今までのXIIXの曲にはないタイプで面白く感じます。

「in the Rough」ツアーでお客さんのクラップを録音してライブで使う試みがありましたが、MCでは「次のアルバムで使うかも」との発言も。社交辞令かなと思っていたので、採用したと知り、本当に思い付きで色々やるんだなぁ、と。どこの会場のクラップかなー。

10. うらら

かなり好きです。気がつけばダッダダッ…イエーッ!って口ずさんでいる自分がいます。Kroiとの対バンで初めて聞いた時も、サビのダッダッが耳に残って気に入りました。表記としては「Da-」かなと推測できたので、まさか「だって」の「だっ」だとは想像もつかなかったけれど。さすがです。こういうところが好きなのです。

それぞれの楽器が弾みまくって、セッションっぽい生っぽさを感じる。朝倉さんのパーカッションがウキウキする気持ちをさらに駆り立てる。何気にサビのギターがワウワウしているのも好き。
アレンジをがっつり決めておらず、レコーディングが出たとこ勝負で、すってぃがその場でディレクションしたそう。だからリアルな空気が反映されているのかもしれません。すってぃはそういうの上手いんだなぁ。

リズミカルで色んな仕掛けがあって楽しい。2番の前にフィルターがかかってこもったり、転調したり、宏介が絶妙に気持ちの良いタイミングで「ハッ!」「ヤッ!」とシャウトを入れている。初めて聞いた時は、「えっ!?ジェームズ・ブラウン降臨した???」と意表を突かれて愉快な気持ちになりました。もっと下さい。

間奏がシカゴの「Saturday in the Park」みたい、音階が1段ずつ下がっていく。凄腕メンバーのリアルな間合いも含めて、すごく名曲の香りを漂わせていると感じます。

インタビューで、作るの大変だった、2転3転した、迷いながら作ったからその迷いがジェットコースターみたいで面白い、と話していました。リスナーからすると迷いなんて全くわからないですが、クセのある展開になっているのは迷いの影響なのかな。おかげで私は大変楽しめています。

「3つ数えるだけで変われる時代」「みぞおちあたりで 音感じたい」って全くの同感です。生音に勝るものなし。

11. White Song

宏介の歌詞は、僕と君は違う人間だ、という明確な線引きがあるように思います。心地の良い線引き。だからこそ「もっと二人でいようよ」「バイバイはなしにしようよ」っていう表現に、なんだかどっきりしてしまう。
しかもインタビューで、「リスナーとの距離感、温度感みたいなものも含めたいと思っていたところも」と話していたので、余計にびっくりしました。

聞けば聞くほどに、XIIXの純恋歌(湘南乃風)なのではないかと思えるほどにピュアが溢れている。タイトルがホワイトだし。

12. タイニーダンサー

ちっちゃなダンサーがくるくる舞っているイメージが沸きます。キラキラ降って来るみたいなピアノが印象的だ、このピアノを知っている、好きなピアノだなと思ってクレジットを見たらシュンスケさんで納得。
Schroeder-Headzの「ハルシュラ」を聞くと、何故かピンク色の中でダンサーがくるくる踊る情景が浮かぶのですが、それに通じるイメージかも。1番と2番の間、後奏の激しく動き回るメロディーが好き。ドラマチックだなと感じます。

「舞おうか」という言葉が新鮮に聞こえて気持ちが良い。「舞おうか」っていう言い方はあまりしないからかな。今、この瞬間を生きているような清々しさがあって、浄化されるような気持ちになります。

13. All Light

アルバムの最後のために作られた曲なのだなと感じます。優しく朗らかな気持ちで聞き終えることができる。

すってぃもインタビューで言っていたけど、アルバム全体的に歌詞が優しい。私としては、どのミュージシャンに対しても「わかりやすく優しくしてくれなくていいっす」ってスタンスなんですが、優しさが刺さる人もたくさんいるだろうし、私にもタイミングによってぶっ刺さる時期がきっと来るのだろうと思います。

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