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エネルギー,脱皮 -宮本果林 作陶展 [con anima]@銀座 蔦屋書店

 銀座 蔦屋書店で出会った、笠間焼の動物たち。

 目を引かれるのは、まるで亀裂のような、その表面だ。



陶の動物に感じる生命、躍動感

 彼らのポーズと相まって、非常に大きなエネルギーを内部に得た犀と牡牛が、自らの皮を破り、大きく成長していくような躍動を感じる。

 どのように制作されたものなのか? 興味が抑えられなくなってくる。

“心、魂を込めて、生き生きと”

 作家による、ステートメント。

[本展に寄せて]
《生命・生命感》を全ての作品のテーマとしています。
一連の作品コンセプトを一言で表すとすれば《animism》が最も近いと思っています。animismとは、生物・無機物を問わず自然界に存在する全ての物の中に魂が宿っているという考え方。そのような作品を制作するために用いているのが“裂文”です。
裂文は粘土の表面を急乾燥させることにより、ヒビをつくる技法のことを指します。
これにより作られるヒビは、同じものは一つとして無く、意図的に作ったものではあるが完全にコントロールすることはできない。粘土の特性により生み出される、自然に近い、力を持った美しい造形だと感じており、その“自然”が動物の造形に加えられることで、より力や生命感が宿った作品になると考えています。
今回の展示タイトルは「con anima」としました。
con animaとは音楽用語で“心、魂を込めて、生き生きと”という意味だそうです。
音楽についてはそれほど詳しくはないのですが、
大変な状況が続く中で、私ができることを心を込めて、平和への祈りを込めてと制作した過程にも、作品そのものにも合っていると思い選定いたしました。
被災地の方々や、日々の生活のなか多くの困難、悲しみと直面している方々が一日も早く心穏やかに過ごせるよう心より願っております。
宮本果林

 “裂文”という手法は、はじめて知った。

 最後のところで作家は手を放し、自然にゆだねる、そこにこそ生命力が宿る。そんなステートメントの内容は、あたかもどこかに突進する直前、を感じさせる作品を前にすると腑に落ちた。

 力強い作品は、どこに在っても、こんなふうに作品世界のなかに鑑賞者を巻き込んでいく。

 宮本果林 作陶展 「con anima」@銀座 蔦屋書店(- 2/27)。



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