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感情移入と共感

当たり前の事を述べると思う。

どうかご容赦頂きたい。

何事においてもだと、今まで生きてきた経験上で語るが…

仕事においても、商売においても、音楽においても、本や小説においても…

感情移入や共感される事ってまぁまぁ重要だと自分は思う。

共感されれば人は手に取ってくれるし、理解もしてくれる。

そうすると物事ってのはグッと進みやすくなるだろう。

更に感情移入も入れば物語は、より面白みを増し出てくる人物達を親身に感じ、応援もしやすくなるだろう。

そして、そのような条件を踏まえた仕事や作品達は、きっと多くの人々に受け入れらるものなんだろう。

きっと…。

先日学生時代に仲良かった先輩と酒を酌み交わす機会があった。

学生時代から幾重か年月を重ねても、そのように仲良くして頂き、また酒を酌み交わすような機会があるというご縁は誠にありがたい。

この時ばかりは日頃の事を忘れて、学生時代の気分に戻り楽しいひとときを過ごせるものだ。

そしてご多分に漏れなく楽しい時間であった。

クラフトビールや、日本酒やカクテルといったお酒を楽しみ、締めにラーメンまで食べてしまった。

帰りは腹はパンパンでございました(笑)

あまり良くはないかもしれんが、毎日じゃあないし今日は許してと自らに言い聞かせて目一杯に楽しんだその時間…。

色々な話をした中、歴史の話を楽しんだりもした。

自分は日本史が好きで、歴史小説や大河ドラマを見たりする楽しみがあるのだが、一緒に呑ませて頂いた先輩は博学って言っても過言ではないほどの歴史に対する深い造詣の持ち主。

自分などでは到底及びません…。

なので話を聞いているだけでも面白い。

今大河ドラマでは「どうする家康」を放映している。

ちなみに物語も佳境を迎え、茶々様は…

登場された時は見事な一人二役っぷりに思わず感嘆の声を上げてしまった(^^)

これから北条征伐で、関東転封となるわけだが…。

楽しみだ。

先輩は大河は見ないと言われてたが、自然と戦国時代の話、家康公周辺の事などの話を色々としたもんだ。

そしてお酒も入ってるんで、余計に盛り上がる。

呑んでいる時に共通の好きな話題があると、それが良い潤滑剤となって酒の席は良い活気に溢れる。

改めて実感した瞬間でもあったかな。

やがて酒の肴は仕事の話題へ……。

いい大人が酒を口にすればおのずと出る話題でもあるか。

良い方向性で話せば、酒席には心地の良い酔いを与えてくれる話題かもしれないが、時として激しやすい、くだを巻いてしまう話題作りにもなりかねない。

話題に出す際は慎重に行きたい事でもあるか。

日頃そういう事を意識はしているものの、ついついと職場も違うし、仕事終わりの疲れもあってポロッと愚痴めいたことを喋ってしまった。

まぁ、そんなんもやろと話は流れて、話題をすぐに変えて楽しく過ぎていった呑み会。

次の日、再び先輩と会う機会があり、昼飯をご一緒させて頂いた。

話は今読んでいる面白い本の事になった。

その話の流れの中で、昨日の歴史の話の続きも兼ねて自分に勧めたい面白い小説があるよと先輩に薦められた本がある。

「三河雑兵心得」  井原 忠政著

主人公である農民出身の茂兵衛が喧嘩沙汰で、住んでいた村を出て行き紆余曲折を経て徳川家臣団に属し、出世を辿っていく物語。

最初茂兵衛は夏目次左衛門(広次)に拾われ、夏目に仕えることになる。

時は三河一向一揆の折。

夏目は熱心な一向宗であり、一揆側につく立場であった。

そう、いきなり国主(家康)に刃向かう立場として、侍人生が出発していくのだが…

小説はシリーズ化されており、現在確か12巻まで発行されている。

100万部を達成(!)し、勢いに乗る歴史小説とも言って良いであろう(多分)。

かく言う自分は読み始めて日が浅いので、5巻までしか読んでないけど…

いや~、面白い!!

小説の副タイトルとして○○仁義という題がつく。

ちなみに1巻は「足軽仁義」。

主人公茂兵衛のその時の身分や、歴史的出来事が副タイトルについている。

そして歯切れの良いストーリー展開。

これが何と言っても一つの大きな特徴であり、読みやすさを生んでいる要素になっている。

言葉数が多いとか、少ないなどではなく…

抽象的な感想になってしまうけど、歯切れよくテンポが良いのである。

なので、個人差はあれどあまり読むのが早くない自分でも一巻が割と早く読める。(あくまでも感想です)

そして舞台は戦国時代。

合戦の際の描写も当然のことながら描写されているわけだが、これもまた個人的に好きなシーンだ。

茂兵衛の得意武器は槍である。

1巻から読み進めていくと槍を上手く使えるようになるために、ひたすら訓練をし、合戦では槍の扱いは誰にも負けない程に上達している。

突くだけではなく、叩いたり、槍衾(やりぶすま)の描写などさながら映画のアクション・シーンを連想させるような感じか。

情景を説明する言葉や文章を過剰にするのではなく、かと言って少なすぎるわけでもなく、いい塩梅で文字が書かれてあり、没入できる小説だ。

そして何と言っても一番の大きな魅力の点は登場人物の描き方だと自分は思う。

人より余力の強い茂兵衛や、色々な事がからっきしだけど視力の良さを買われ重宝がられる弟丑松や、茂兵衛の相棒となる辰蔵など人物の描き方がとても丁寧で、読んでいる自分が感情移入できるような描き方をされている。

それは実際に歴史上に登場する徳川家康しかり、家康に仕える重臣酒井忠次しかり、茂兵衛の上司となる本田平八郎忠勝しかりである。

数多の英傑たちの英傑たる要素のみではなく、生身の人間としての感情のやり取りが、今目の前で起きているように感じ、迫真に迫るものと感じる。

家康の揺れ動く心打ちはあたかも自らが日頃悩んでいることのようにも感じ、後世に大きく名を残す人物の心内の苦悩とは、事象に大小あれど同じ一人の人間なのだと思わせてくれる。

小説の中で三方ヶ原の戦いに敗れた後に、自らの自画像を描かしその敗北の戒めとして自画像を飾っているとある。

しかしこれは武田軍が来ても打って出るのではなく、あくまでも籠城をしておけと主張をしていた信長への反省のポーズでもある…

そんな気回し一つ一つが丹念に描かれており、日常で色々な人達に気を使いながら生きている自分達にも何となくその苦労が親身に感じる。

そして主人公茂兵衛。

俗に言う雑兵から叩きあがっていくわけだが、抜群の戦働きだけではなく、主君の、上司の、そして部下達に対する気回しの様子を読んでいると何となく自らの事のようにも感じてしまう。

感情移入と共感力がハンパない。

そんな感じか。

平八郎が主君家康が何であんな事をするんだと不満げに茂兵衛に漏らしている時に、平八郎の機嫌を損ねることなく考えた意見を述べる時や、人に合わせて上手く喋る姿など何だかサラリーマンを見ているような錯覚を受ける時もある。(自分だけ)

そんな茂兵衛の人間としての葛藤や、人間力の移り変わる様、そして茂兵衛視点の下から見た徳川の天下取りの様子など歯切れの良いストーリーも相まって、抜群に面白い。

茂兵衛の歩みと葛藤、そして登場する人物たちのやり取りは生きていく上での大事な事を改めて教わっている思いである。

中々、世の中ままならまい。

そんなもんだ。

その中でいかに前向きに生きていくか…。

そこが重要だ。

なもんでこの小説を薦めてくれた人生の先輩には感謝の思いしかない。

ひょっとしたら吞んでいる時にちょいと愚痴ってしまった自分に対する気回しの一部として薦めてくれたのかも…

まあ、それはどうか知らんがこの本のおかげで、やっとこさ涼しくなってきた今を余計に楽しませてもらっている。

今読み進めているのは5巻。

長篠の戦いが終わり、舞台は高天神城の攻防戦となっていくあたり。

これから物語はどう展開していくのか…

楽しみだ。

ちなみに小説では徳川軍は三河言葉で喋っている。

お国言葉か。

その訛ったフレーズや、「たわけ!!」の痛快な使い方などこちらも読んでいると癖になる(^^)/

面白い小説だ。

記事を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!










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