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掌編集「ここはハトの世界、ハトの国」配信中です

1篇を500文字以内で書いた50本の掌編集、「ここはハトの世界、ハトの国」の電子書籍と紙本が配信中です。

(下部に2篇ほど試し読みを掲載します。)

EPUBと紙の本は「BCCKS」で作成したので、紙本と電子本両方欲しい方にはBCCKSでの購入をおすすめします。電子本だけの購入も可、紙本を購入すれば電子版のダウンロードもできます。

ハトから見た世界、人間、ハトだったらこれをこう感じるかもという思考実験、ハトを題材にしたSFやファンタジー、詩、短歌連作。とにかく全部「ハト」がテーマです。

一回ネットの某所へ投稿し、それを電子書籍としてまとめています。

現在は84本のハト掌編を書きました。まだまだ書こうと思っています。100本になったら、2冊目を出そうかな。


Amazonkindleでも配信中。Kindleのほうが都合のいい方はそちらもご利用ください。紙本はオンデマンド制作なのでBCCKSのみです。

以下に試し読みを掲載します。比較的反響をいただけたものです。

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【048】

絶賛開発中の「物質転送機」による生体転送実験に、ハトが使われることになった。実験のため集められたハトたちの目の前で、一羽が転送機Aの中にセットされ、スイッチが入る。

特になんのアクションもなく、転送機Aからハトの姿が消えた。見守るハトたちの首もおもわず伸びる。
転送機Bに先ほどのハトが移動していれば成功なのだが、B機の中には無残にもハトの要素を残した「なんだかわからないもの」が入っているのだった。実験は失敗じゃないか。ハトたちのくちばしも開いたままふさがらない。

そしてとうとう自分の番が来て、あの「ハトだったなにか」になってしまう自分を思うと怖くて仕方がないが、脚にも羽にも輪がつけられていて逃げられない。
スイッチが押されるところを確かに見た。

次の瞬間、ハトは初めてみる素晴らしい場所へ到着していた。転送機AとBとの間に楽園があったのだ。失敗して殺されたと思っていたハトたちもみんなここにいた。「転送の衝撃で、肉体を離れたハトという概念がここに送られたんだろう」なるほど。転送機は素晴らしい、みなAに入って早くここに来ればいいのに。人間もさ。
伝えるすべはない。

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【007】

ハトみたいな色して
年老いた恋人つくって
天気で見送って

ハトの羽根ひろって
あさってに伸ばして
恐ろしさに震える

恋人は年をとりすぎたし
晴れの日はありえない
ハトももう来ない

いつのまにか
ハトの色してた

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お楽しみいただければ何よりうれしいです。

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