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子どもの落ち着きのなさは、正常な発達か、それとも懸念すべき兆候か?

ブログ内容の紹介

親として、子どもの行動が正常な発達の範囲にあるのか、それとも何か問題があるのか、悩むことはよくあります。このブログでは、落ち着きがなく言葉がゆっくり目の子供の親御さんの悩みから、こうした育児の心配を掘り下げ、幼児の落ち着きのなさの背後にある理由、年齢相応の行動の期待、発達障害を疑う前に考慮すべき重要な要素についての洞察を提供します。同じような悩みを抱えている親御さんや保育士さん、あるいは小児期の成長や発達障害に興味がある方におすすめです。
この落ち着きのなさは正常な発達の一部なのか、それとも潜在的な問題があるのかを見分ける方法を知り、お子さんの成長のために健康で幸せな環境を育むための貴重なヒントを得てください。

【お悩み】落ち着きのない子供が心配

落ち着きのない1歳8ヶ月の娘のことが心配です。
とにかく、じっとしていることが嫌いで、座っていることができません。いつも歩き回ったり、見るものすべてを触ろうとします。おもちゃをしょっちゅう替えて、落ち着いて一つのおもちゃで遊ぶことがほとんどありません。
1歳半検診で、保健師さんからは「今は言葉を獲得している途中なので、2歳になるまで様子を見ましょう」と言われました。
言葉も遅めで、声と指差しでコミュニケーションをとります。
ADHDや自閉症など、何か他にあるのではないかと心配です。


正常な発達の範囲内なのか?逸脱しているのか?

この時期の子供は、身体的、認知的、社会的スキルが急速に発達しています。「動きたい、環境を探検したい、自分の意志を主張したい」という欲求が増す時期です。したがって、落ち着きがないのは発達の正常な一部ですが、それでも子供が年齢に合った活動をし、基本的な指示に従える範囲内であることが重要です
この行動や発達に不安がある場合、子供の成長を待つのではなく、小児科医や専門家に相談し、適切な評価と早期の指導を受けることをお勧めします。

落ち着かないのは理由がある

応用行動分析学(ABA)は、行動には必ず理由があると考えます。ですから、子どもが落ち着きがないのも、大人の指示に従わないのも、その子なりの理由があるのです。

子どもが言うことを聞かないと、私たち大人はイライラして、「あの子は気難しいから」などと子どもの気質のせいにしたくなります。しかし、言葉がまだ未熟な子どもにとって、行動はコミュニケーションや感情表現の一部です。ですから、叱ったり責めたりしても問題は解決しません。その行動が何を伝えようとしているのかを知ること、理解することが、問題の早期解決につながります。効果的でない叱り方を続けると、二次障害を発症するなど、状況が悪化する可能性があります。

じっとしていられる時間と年齢

一般的な成長を遂げている子供達の集中力&じっとしていられる時間の目安は以下の通りです。

子供が活動に参加する時間の一般的な目安

8~15ヵ月:1分以上
16~19ヵ月:2~3分
20~24ヵ月:3~6分
25~36ヵ月:5~8分
3~4歳:8~10分
5歳: 15分
7歳: 25分
10歳 : 40分

Helping Hands Children's Therapy Services, Inc. & Understood.

これはあくまでも目安であり、この時間通りでないからといって問題があるわけではありませんが、あまりにも逸脱している場合は、慎重に検討する必要があります。

発達障害を疑う前にチェックすること

子供のわがままのせいではないとすると、次に考慮すべきは発達障害です。しかし、最初から発達障害を疑って子供の行動を観察すると、行動がそのように見えることがあり、本当の原因が見落とされる可能性があります。発達障害ではなく、より深刻な問題(難聴や内臓疾患など)があるかもしれません。したがって、最初に子供を中立的に観察することが非常に重要です。

1. 健康的な生活習慣・生活環境に改善しよう

発達障害などの神経発達的な問題を疑う前に、まずは次の点をチェックしましょう。これらの要因は今日から対処、改善することができます。

  • 生活状況

  • 環境

  • 身体的な健康

これらの問題を改善することで、子供の行動がどのように変化するか確認しましょう。

以下に具体的に見ていきましょう。

a. 睡眠不足

睡眠不足は子供の行動に大きな影響を与えます。セントルイス小児病院の臨床心理学者、Kimberly Sirl博士によると、子供の睡眠不足は、ADHDと同様の行動を起こさせる可能性があると指摘しています。そして実際、そのような行動をとる子供の多くは、十分な睡眠がとれていなかったり、睡眠の質が悪かったりする可能性があります。ですから、保護者が規則正しい就寝習慣をつけることで、子供に十分な睡眠をとらせることが大切です。

b. 食事・栄養不足

糖分の多い食品や加工食品の摂取など、特定の食事要因が行動や注意力に影響を及ぼす可能性を示唆する研究もあります。さらに、子供が何を食べるかは、学校での集中力や注意力に影響します。お腹が空いている子供は、空腹に気を取られて集中できないこともあります。
子供が一日をうまく過ごすためには、質の良い朝食を摂ることが大切です。

c. 歯の生え変わりや身体の不快感

落ち着きがないのは、歯が生えてきたり、アレルギー、消化器系の問題、なんらかの病気など、身体的な不快感によっても引き起こされることがあります。歯ぐきの腫れ、よだれの多さ、食欲の変化など、不快の兆候がないかチェックしましょう。

d. 運動不足と遊びの不足

乳児はエネルギーに満ちあふれており、そのエネルギーを良い方法で発散するために、体を動かす機会が必要です。定期的な刺激、運動、保護者や保育者との関わりを必要とします。十分な遊び、運動、愛情が不足すると、落ち着きがなくなります。子供を外で遊ばせたり、活発な遊びをしたり、年齢に合った身体活動を積極的に促しましょう。

e. 刺激の多すぎる環境

幼い子供は、感覚的な刺激が強すぎたり、環境が刺激的すぎると落ち着きがなくなります。これには、大きな音、明るい光、人混みなどが含まれます。落ち着いた静かな環境を与えることで、気持ちを落ち着かせることができます。

f. 日常生活や環境の変化

幼児は規則正しい生活習慣の中で育ちます。日常生活や環境が急に変わったり、乱れたりすると、落ち着きがなくなることがあります。引っ越しや旅行、弟や妹の誕生など、最近変化があった場合は、それが落ち着きのなさの原因になっている可能性があります。一貫性と予測可能性を与えて、安心感を与えてあげましょう。

2. 神経発達的な問題

上記のように、生活習慣や環境を改善しても、なお子供の行動が改善されなかった場合は、以下を確認してください。

a. 言葉の遅れ

言葉の遅れは、欲求不満や欲求を表現することの難しさにつながり、それが落ち着きのなさや行動として現れることがあります。子供の言語スキルを査定し、コミュニケーションの発達を支援するために的を絞った介入を提供できる言語聴覚士や、家庭での療育の仕方など、専門家に相談してみましょう。

b. 感覚処理の問題

ある特定の物や音、感覚などの刺激に対して激しく嫌悪し、パニックや癇癪を引き起こすほど抵抗する場合、感覚処理の問題がある可能性が考えられます。子供によって感覚過敏や鈍麻の傾向があることがあり、また、運動の不器用さなど感覚情報の処理に困難が生じ、これが集中力や行動に影響を与えることがあります。作業療法や他の専門的な療育を受けることで、こうした問題を特定し、対処することができます。

c. 注意力の障害(ADHD)

落ち着きがなかったり、長時間じっとしていられなかったりするのは、注意力に問題がある可能性があります。幼い子供の注意力が短いのは普通のことですが、それが年齢にそぐわないほど逸脱していたり、持続的な問題があったりする場合は、ADHDなど落ち着きのなさの原因になっている可能性があります。ADHD患者の40~60%には感覚処理の問題もあります。感覚に問題のある人が必ずしもADHDであるとは限らないことに注意が必要です。専門的な評価が必要です。

5. 不安のせい
子供がじっとしていられないのは、不安のせいかもしれません。トラウマ的な出来事を経験した子供、虐待、ネグレクト等を受けている子供は、情報を処理したり考えを整理したりするのが難しく、注意散漫になったり不注意になったりすることがあります。ADHDの薬は不安症状を悪化させることが多いので、この場合は不安の治療を優先させるべきです。

6. 敏感すぎる、鈍感すぎる、こだわりが強いなど(ASD)

誰も感じないような些細な刺激に過剰に反応して癇癪を起こしたり、ぐるぐる回り続けるなど、目が回って気持ち悪くなりそうな行動を長時間続けているなどの感覚の鈍感さがあったり、極端な嗜好や嫌悪を示す場合、自閉スペクトラム症(ASD)が一因である可能性があります。ASD 患者の80~100%が感覚処理障害も持っていると推定されています。
しかし「感覚処理の問題が必ずしもASDを示すわけではない」という事実を覚えておくことは重要です。

7. 発達の遅れ

発達の遅れ 言葉の遅れ、運動協調性の欠如(よく転ぶ)、おもちゃに興味を示さないなどは発達の遅れのサインかもしれません。子供の全体的な発達を査定し、適切な介入や処遇を行うために、小児科医や発達の専門家に相談することが大切です。

要点

◆ 幼児の落ち着きのなさは、探検し、自立を主張するようになるにつれて、よく見られる発達の一部です。
◆子どもの行動の理由を理解することは非常に重要です。
◆月齢に応じて、じっとしていられる時間の目安を知ることができます。
◆発達障害を疑う前に、生活習慣や環境要因を考慮し、対処しましょう:
 1. 健康的なライフスタイルと生活環境の確保。
 2. 十分な睡眠
 3. 食事と栄養に注意し、甘いものや加工食品をなるべく避ける
 4. 歯の生え変わり、アレルギー、病気など、身体的な不調がないかチェック
 5. 定期的な運動や遊びをする
 ▶️穏やかで刺激の少ない環境を作る
 ▶️一貫した日常生活と環境を維持する

◆問題行動が続く場合は、神経発達障害の可能性を考慮します:
 1. 言語の遅れ:欲求不満や落ち着きのなさの原因となるかも
 2. 感覚処理問題:嫌悪感やパニックを起こすことがある。
    3. 落ち着きのなさが年齢相応でない:ADHDの可能性
 3. 不安やその他の障害:落ち着きのなさの一因になっている可能性
 4. 感覚過敏・鈍麻や極端な嗜好:ASDの可能性

◆気になる場合は専門医への受診をお勧めします。

References

ADDitude Magazine. (n.d.). Sensory Processing Disorder: Symptoms, Causes, Diagnosis, Treatment. Retrieved from https://www.additudemag.com/sensory-processing-disorder-overview-and-facts/#:~:text=An%20estimated%2040%20to%2060,SPD)%20in%20kids%20and%20adults.

Helping Hands Therapy. (n.d.). How long can your child sit still? Retrieved from https://www.helpinghandstherapy.org/news/long-child-sit/

Joon. (n.d.). Why Your Child Can't Sit Still. Retrieved from https://www.joonapp.io/post/why-your-child-cant-sit-still

Understood. (n.d.). When Do Kids Start Sitting Still? Retrieved from https://www.understood.org/en/articles/when-do-kids-start-sitting-still

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