愛すべきゴミクズ。
彼と出会ったのは数年前の初夏。
彼とわたしには他の人にはなかなかない共通点があった。
きっと気が合うと思った、その予感は的中した。
阪急の京都線のホームで待ち合わせして、河原町へ行った。
うだるように暑い日だった。
昔親友と行ったお気に入りのカフェに連れて行って、向かい合ったソファの席で、いろんなことを喋った。
とてもじゃないがここに書けるようなことではないことを喋った記憶はある。でも、楽しかった。
カフェを出て一緒にタバコを吸った。
稀に、喫煙者で良かったと思うことがある。
この時が正しくそうだった。
その日は祇園祭がやっていた。
一緒に少し高いところから、お神輿を見た。
終始こっちを気遣ってくれた言葉が嬉しかった。
その後も色々したのだろうけど、いかんせん記憶が曖昧で、でも晩御飯は焼肉に行ったのは確か。
そんなにお酒を飲んだ記憶はないが、酔ってはいた。
その日は結局京都に泊まって、夜の間に本当にいろんな話をした。今思っても、奇跡みたいな夜だったなあ。
❊❊❊
話は逸れるが、わたしはその頃少し精神的におかしかった。いわゆる『ゴミクズ』だった。
完全に自分が悪かったのだが、終電後の街に一人で放り出され、彼に衝動的に連絡したことがあった。
勿論流石にその場に駆けつけてはくれなかったが、荒ぶるわたしを見ても彼は変わらなかった。
その時の自分にとっては、本当にそれがありがたかった。
彼もまた『ゴミクズ』を自称していた。
わたしは彼に攻撃性があることを知っていた。
問題を暴力で解決しようとしたことを知っていた。
でも、わたしにはいつも優しかった。
それから暫くして、何故か連絡が取れなくなった。
LINEはブロックされていないし、SNSもフォローされたままなのに、メッセージに既読がつかなくなった。
今何処で何をしているのだろう。
また会いたいな、またコメダで一緒にラッキーストライク吸いたいな。
また会えることを強く願って。
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