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新世界秩序:BRICS拡大が引き起こす米ドル崩壊 IV

インフォーマル・エコノミー(非正規経済)とは?

 インフォーマル・エコノミーは、公式の監視や法的枠組みの外で行われる経済活動を指します。この範囲には、登録や課税が行われていない小規模ビジネスや自営業者の活動が含まれています。特に開発途上国では、非正規経済が労働市場の大部分を占め、社会保障の恩恵を受ける機会が少ないのが現状です。

 この概念に注目が集まったのは、国際労働機関(ILO)が2002年に途上国や新興国の大半の経済がインフォーマルであると指摘したことが契機となっています。 #インフォーマル・エコノミー に関する報告書や勧告書の多くは、根拠が乏しいものであり、現実には、その規模を完全に把握することは困難です。

 広義でのインフォーマル・エコノミーには、 #アンダーグランド・マネー #バーター取引 も含まれています。本稿では、 #経済ヤクザ とバーター取引についても詳しく説明します。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)

 暴対法は1991年に成立し、1992年3月1日に施行されました。この時期は、日本の不動産バブル景気が崩壊した時期と重なっており、注目すべきポイントです。暴対法施行前は経済ヤクザの全盛期であり、当時の日本経済の約半分が政府には把握されていなかったとされています。

 このインフォーマル・エコノミーには、暴力団が取り仕切る闇金融、高利貸し、売春斡旋、違法賭博、違法ドラッグ販売、総会屋、窃盗団、集団詐欺、特殊知能犯罪、地上げ屋のほか、政治の裏金や #カルト宗教 団体の収入も含まれていました。不動産バブルを生み出すために非合法な手段を用いた地上げ行為が重要な役割を果たしており、不動産バブル経済の膨張と暴力団との関係は極めて密接で、バブル経済で最も利益を上げたのは、所謂、経済ヤクザでした。

 これは欧米諸国でも同様であり、アメリカではこれに加えて戦争の裏工作や #兵器密輸 #タックス・ヘイブン を活用した #マネーロンダリング #不法移民 の闇経済なども存在します。ちなみに、日本の暴対法はアメリカの #マフィア 対策を目的としたRICCO LAW(Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act)を元に制定された法律です。

 つまり、法治国家である日本や欧米諸国においても、インフォーマル・エコノミーの実体は完全には把握できていません。

 そのため、2015年のILO総会で採択された『非公式な経済から公式な経済への移行勧告(第204号)』では、インフォーマル・エコノミーとは『法令上または慣行上、公式の取決めの適用を受けていない、または十分に適用を受けていない労働者および経済単位による全ての経済活動(不正な活動を含まない)』と定義されています。現時点においても本当のインフォーマル・エコノミーの規模は、ほとんど把握できていないのが現実です。

バーター取引とは?

#バーター取引 は、商品やサービスを直接交換することによって行われる取引形態で、 #物々交換 の一形態です。この方法では現金を使わずに経済活動が行われるため、時にインフォーマル・エコノミーの一部と見なされます。バーター取引は、貨幣経済が未整備の地域や、経済危機によって流動性が低下した際に特に見られます。

経済制裁とバーター取引

 国家が財政破綻した資源国や、西側陣営から経済制裁を受けた国々では、国家レベルでのバーター取引が頻繁に行われることがあります。特にアメリカや欧州連合から #中国 #ロシア #イラン などへの #経済制裁 は一般的ですが、東側陣営から西側陣営に対する経済制裁も存在します。但し、これは比較的稀であり、大多数の場合、欧米諸国が経済制裁を課し、制裁された国々はさまざまな #経済報復措置 を取る形になります。これには特定の国からの輸入品に対する高関税の課税や、特定国の企業活動の制限などが含まれます。

BRICSの拡大とその影響

 現在、西側陣営から経済制裁を受けている中国、ロシア、並びに2024年に #BRICS に加盟したイランのうち、ロシアとイランは化石燃料の輸出国であり、化石燃料輸入国の中国とは大量のバーター取引を行っていますが、これらの取引の数字は #貿易統計 には反映されません。

 つまり、2024年のBRICS拡大に伴い、莫大なインフォーマル・エコノミーとバーター交易圏が誕生し、BRICS加盟国が米ドル以外の通貨で決済を始めるという現実は、非常に理にかなっています。これは、米国の米ドルによる世界覇権が終焉を迎えつつあることを示唆していると言えるでしょう。

#武智倫太郎

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