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AI視覚認識の新たなフロンティア:メイプル楓イラストの多面的な解釈

 AI無知倫理学会の記事で使用させていただいているイラストの大半は、メイプル楓さんの作品です。

 noteに投稿されているイラストや写真の中には、著作権、商標権、意匠権、肖像権などの知的財産権を侵害していると思われるものが多数あります。その反面、メイプル楓さんのイラストは、これらの問題を引き起こす可能性が低いことが、メイプル楓さんの作品を使わせていただいている第一の理由です。 

 メイプル楓さんのイラストの作成工程については、以下に詳しく説明してあります。

 メイプル楓さんは、流行りの画像生成AIでイラストを生成しているのではなく、鉛筆でドラフト作成するところから、作画作業を開始しています。鉛筆でドラフトを作成しても、かの有名なネズミのミッキーや、青い猫型ロボットなどを模写したのでは、著作権侵害になります。筆者も全てのイラストを知っているわけではないので、酷似した作品があるかどうかは判断できません。

 然しながら、イラストについている台詞を読むと、メイプル楓さんは、著作権の概念を理解したうえで、著作権問題が発生しないように努力をして、創作していることが分かります。

 例えば、DIOの幽波紋のザ・ワールド(世界)に『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』の構図だとアウトですが、以下のオリジナルの絵柄に『無理、無理、無理、無理、無理、無理』だと全く問題ありません。

メイプル楓

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』は商業コミックでも、パロディーとして使われることもありますが、通常このようなケースでは、パロディー作品を出版する編集部が、ジョジョの奇妙な冒険シリーズを出版している集英社の担当者や、荒木飛呂彦の事務所などに、使用許諾をもらってから出版しています。
 
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』の名台詞だけでも著作権が発生していますが、本稿では著作権法の引用要件を満たしているので、著作権上の問題は発生しないというのが著者の判断です。

 然しながら、著作権は以下のような弁護士のホームページで分かり易く解説してあるような説明や、新聞などの解説では概念的なことしか把握できません。そのため、専門家が著作権について解説してある記事などには、『必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい』といった趣旨のことが書いてあります。 

著作物を引用する際の3つの要件と注意点を弁護士がわかりやすく解説
(中略)
記事をご参考にされる際は、必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい。

勝部 泰之 (Yasuyuki Katsube)

 法律に詳しくない方は、文化庁著作権課の『著作権テキスト』には、著作権に関してかなり詳しく書いてあると思うかもしれませんが、著作権法務の専門家はこれよりも遥かに詳しく、著作権判例なども読み込んでいます。

著作権テキスト -令和5年度版-
文化庁著作権課

 二番目の理由はメイプル楓さんのイラストが好きだからですが、イラストと一緒に書いてある台詞のセンスがとても良いと思うからです。

 1コマ漫画として見ても完成度が高いものが多いですが、筆者が書いた原稿の内容とマッチするイラストが無い時は、台詞をお題にして原稿を書いた方が良いと思うほど、イラストの台詞が秀逸です。

 心理学では、ある図形や絵が二つの異なるものとして解釈されることが可能な絵や図形を指す現象を『視覚的曖昧性』や『二重画像』と呼ばれることがあります。美術の世界では『だまし絵』や『トリックアート』とも呼ばれています。

 その最も有名な例として、心理学者のジョセフ・ジャストロウのアヒルとウサギの絵が挙げられます。この絵は見る角度や解釈によって、あひるの顔としても、うさぎの顔としても見ることができるという特性を持っています。

 他にも、若い女性と老女の二重画像や、顔と壺の二重画像など、多くの有名な視覚的曖昧性を持つ絵が存在します。

 このような画像を利用する心理テストや視覚的な認知実験は、人々の知覚や解釈、認知の過程を探るのに有用です。人々がどのように情報を選択し、解釈し、理解するかを探るために、これらの二重画像や視覚的曖昧性を持つ絵が使われることがあります。人間の認知過程のテストに使われるということは、勿論、画像認識AIの研究開発やテストでも使われます。

 メイプル楓さんの作品は同じイラストでも、一緒に書いてある台詞によって解釈が変わります。場合によっては、二重どころか、十通り以上の全く異なる解釈ができることもあり、その点も非常に魅力的です。画像認識AIの研究開発やテストの新方式として利用可能です。AI無知倫理学会で『メイプル楓イラスト画像認識トレーニング』や『メイプル楓テスト』という新概念の提唱を検討しているほど、その作品は非常に奥深いです。

表紙の重要性について

 紙印刷の本しかなかった時代には、本のタイトルや表紙は出版社が本を売り易いように作るものだという商慣習があり、筆者が講談社から本を出版した際の出版契約書には『書籍のタイトルと表紙の選択権は出版社にある』という趣旨のことが書かれていました。それで、出版社任せにしていたら、筆者としては、まったく気に入らない表紙と帯のハードカバーブックができてしまいました。

 この本の出版当月の月間販売実績は、同じカテゴリーで同日出版の大前研一の本を抜いて一位になりましたが、筆者が増版を希望しなかったのは、本のタイトルと表紙と帯が気に入らなかったからです。

 ところで、本の表紙作家として極めて有名な真鍋博は、日本のSF小説の先駆けと呼ばれる三巨匠、星新一、筒井康隆、小松左京の三名の表紙を多数手掛けています。

 この中でも特に星新一は、出版契約の条件として『表紙のデザイナーは、真鍋博以外は認めない』という条項を付けていたほど、書籍の表紙のデザインは重要です。

 書籍だけでなくCDやゲームなどでも、ジャケ買い(内容は知らなくても表紙のデザインが気に入って買ってしまうこと)する人がいるほど、表紙のデザインは重要です。


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