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心を埋め尽くす砂糖菓子を

私の人生をものすごく簡単に説明すると
自分を貫き通す闘いから始まり、そこから崩れ落ち、
卑屈になり、苦しくてもがいた、
だけどまだ生きていきたく一歩を踏みだすことを待っていました

就職という一歩踏み出して感じた話
それを今回は書いていこうと思います

精神障害を持つ私は29歳で就労継続支援B型事業所を利用し
数年後に障害者雇用で別のB型事業所のピアスタッフ(障害を持つ職員)として就職をしました

「愛音です
統合失調症など精神障害がありますが
今はほぼ落ち着いています
これからよろしくお願いします!」

就職という踏み出した第一歩
私を救ってくれて、人生をやり直すチャンスをくれたB型事業所で働く、
胸は期待とドキドキ感でいっぱいでした
利用者の方の基本情報を覚えるのは大変でしたが、
働いている自分に酔いしれてもいました
目標のピアスタッフにやっとなれた
利用者さんに名前を覚えてもらい、呼ばれると嬉しくて仕方なかったです
相談の仕事が時々入ると、目標にさらに近づくことが出来たので
緊張しつつやりがいがあります

働いてしばらくの間は心を埋め尽くしていたのは砂糖菓子
キラキラして、可愛くて、甘くて、ニッコリしちゃうような
ふわふわして夢の詰まった砂糖菓子で埋め尽くされていました

働くことに一歩踏み出し、夢が叶い、順調に仕事が出来ていることは
小さな砂糖菓子が日々増えるようでした

でも仕事をするとか、新たな世界に一歩踏み出すことは、
砂糖菓子の世界が広がることばかりではない…

心の砂糖菓子が減っていくのは
決まって知りたくなかった現実を知った時でした
人間関係・人の心には裏と表があり使い分けていくこと
障害・理解するということは、それぞれの形と思いがあること
支援者・いろいろな個性があること

B型事業所を利用していた者として
知りたくなかった現実が実際ありました
そうすると希望とか、夢を詰め込んだ砂糖菓子は
いとも簡単に粉々、砕けていきました

そして砂糖菓子が全て心からなくなったとき、退職を選びました

あんなに期待を込めて踏み出した一歩はなんだったのか?
一歩踏み出す先に見たものはどんなものだったのか?

一歩を踏み出すのは勇気がいります
一歩を踏み出すのは希望が生まれます
不安がありつつも心は高鳴るでしょう

ただ私は現実を見る力よりもピアスタッフという夢や希望がやたらと強かった
世間知らずのお姫様は大切な砂糖菓子を守ろうとしました
どんな辛いことを知っても、どんなショックなことが現実だと分かっても
砂糖菓子、自分の心の支えを守り通したかった
でもまだ弱い私には砂糖菓子を守り切れなかった
砕けてしまった砂糖菓子、砕けてしまった希望、夢、

この時に一歩踏み出した先にあったのは
それまで知らなかった、考えもしなかった現実
夢でもキラキラ光るものでもないです
この世界には知らないものが沢山ある、知らない感情が、ルールがある、
砂糖菓子を守ることだけでは生きていけないことも教わりました

現実を受け入れる、でもどうしてもその現実を受け入れられない
砕けた砂糖菓子の欠片を手にしながら泣きました

仕事を辞めた今、時々砂糖菓子を少しずつですが作り直しています
一歩踏み出した先にあったのは優しくて甘い砂糖菓子を交換する世界ではなかった
現実を知り砕けてしまった大切な砂糖菓子たちがあった

でも今はこう考えています
八百屋さんで砂糖菓子は使えないけど、ケーキ屋さんでは重宝されます
もしかしたらあの一歩踏み出した先を少し間違えていたのかもしれない
夢や信念で出来た私の砂糖菓子を使える場所が必ずある

これから一歩踏み出そうとする方へ覚えていてほしいことがあります
優しいだけの世界はないけれど、辛いだけの世界もありません
だからいつかまた、この砕けてしまった砂糖菓子も生き返る

あなたの心にも私のように支えとなる砂糖菓子があるのなら
それを生かせる場所に出会い、生かせる自分になってください
場に合わないからと砂糖菓子を捨てる必要はありません

私も諦めない限りいつか見つけると信じたい
譲れない大切なものを育てられる最適な場所を
そこへの一歩踏み出すことが楽しみです

*愛音*

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