終戦の日を想う‐日本の秘密特許制度‐

 株式会社AI Samuraiの代表取締役社長の白坂一です。私は知的財産の専門家である弁理士でありますが、防衛大学校を卒業し、秘密特許制度は以前から安全保障の観点から気になっており、終戦記念日を想いつつ、述べさせて頂きます。

1.終戦

 1945年(昭和20年)、米国、英国、中国の3か国、その後、ソ連も加わり、ポツダム宣言が発令、日本への無条件降伏を要求します。同年8月6日広島への原爆投下、9日長崎への原爆投下を経て、14日天皇陛下はポツダム宣言を受け入れることによって、日本は終戦を迎えました。

2.秘密特許制度

 日本は焼け野原となり、技術開発や特許出願どころではなく生き残ることに必死な時代であったと思います。当時は、軍事上の秘密に関する特許出願は、発明の内容を公表しない「秘密特許制度」が存在しました。この制度は、終戦後の昭和23年の特許法改正により、我が国では廃止されておりますが、世界の多くの国では、この制度は運用されています。

 発明の公開の代償として独占的な権利を付与する特許制度において、軍事技術に関しては公開をしなくてもよいという特別な規定となります。これは、他国が閲覧することは望ましくない軍事技術は秘密とし、一方で、秘密にはするものの、特許出願することにより国家への公開義務は果たすこととなります。

3.武器輸出三原則

 その後、日本には武器輸出三原則という政府方針が定まり、原則として武器および武器製造技術、武器への転用可能な物品の輸出は禁止され、例外としてアメリカの輸出などは解放されていました。
この武器輸出三原則は、基本的に武器の輸出や国際共同開発をほぼ認めていませんでしたが、2014年に、防衛装備移転三原則が政府方針となり、武器の輸出入を基本的に認め、武器の国際共同開発を緩和することとなります。

**4.秘密特許制度導入に関して

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 前述のように、秘密特許制度は日本を除く多くの国で認められ、一方で、武器に関する国際共同開発が活性化すると、パートナー国での特許出願は秘密特許制度が利用できますが、一方で日本での特許出願は公開されてしまうという不平等な側面も存在します。そのような意味で、昭和23年に廃止された秘密特許制度の復活は、国際共同開発を行う、国家間の協調の観点から行うべきではないかと思います。ただ、軍事上の技術は、民間にも転用できるものが多く存在することから、公開の対象発明がどのようなものが該当するかなど、秘密特許制度を長く運用している他国の事例を踏まえた新設となるかと思います。

5.まとめ

 特許公報に記載された情報によって、日本のみならず他国もその内容を把握することで技術力向上を図ろうとしているという意味で、特許公報に記載された情報というのはとても重要であり、一方で多くの特許公報が存在しすぎて、人間が読み切ることは大変なので、AIを利用し、いかに早く、わかりやすく特許情報を伝えることが大事かということを実感し、より良い製品の開発を進めてまいります。


執筆者プロフィール

白坂一
防衛大学校理工学部卒業。横浜国立大学院環境情報学府修了。富士フイルムを経て、特許業務法人白坂を設立。2015年、(株)AI Samuraiを創業し、代表取締役社長に就任。弁理士、国家試験 知的財産管理技能検定 技能検定委員、北陸先端科学技術大学院 先端科学技術研究科・博士課程在学中。

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