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くりかえさないために

“福島の野菜や漁獲物は安全だと報道されてるけど、実際はどうなの?あなたはスーパーでそれらを買ってるの?”

ツアー中に皆で楽しくお酒を飲んでいた際、訪日のゲストから聞かれた質問です。

カリフォルニアから、ハネムーンで日本にやって来たカップル。
毎週お寿司やラーメンを食べるほど日本が大好きで、将来は日本に住むことも考えているそう。

わたしは、うまく答えられませんでした。

あの時、何と答えるのが正解だったのか、
今でも分かりません。



ドイツ市民の、エネルギー革命。


”福島第一原発の事故から3ヶ月後、ドイツでは2022年までに全ての原発を廃炉にすることが、メルケル首相により採択された。一方、当事国の日本では、事故収束の糸口も見えないまま再稼働が始まり、原発輸出の話さえ出ている。両国の違いはどこからくるのだろう。”


映画のタイトルは、『モルゲン、明日』。

監督は、坂田雅子さん。

写真家であるアメリカ人の夫を、ベトナム戦争で亡くされ、枯葉剤をテーマにした映画製作を決意。以降、大国の犠牲となった人々を描き続けるドキュメンタリー映画監督として、現在第2のキャリアを歩んでいらっしゃいます。


映画の後にトークショーがあり、坂田さんの力強いお言葉を生でお伺いすることが出来ました。

ドイツ市民の、エネルギー革命”というキャッチコピーに惹かれ、勢いでチケット購入にまで至ってしまったのですが、本当に行って良かったです。

たとえ観客がおじいちゃん、おばあちゃんばかりでも。笑

(わたしが気になる映画って、どうも若い人がいないんですよね。なぜだろう。笑)

値段以上の価値が、多分にありました。




ナショナリズムなんていらない


映画で印象的だったのは、ドイツ国民ひとりひとりの、意識の高さ。


ある方は仰っていました。

「我々は敗戦国であり、あの時ただ黙して政府に従っていたから、過ちを犯してしまった。だから私たちは、政府を信用していない。自分たちの国は、自分たちの手で守る。ナショナリズムなんていらない。」

農家、労働者、医師、作家、歴史教師、党員、修道僧が、それぞれに声を掛け合って足並みを揃え、再生可能エネルギーによってのみ電力を供給する市民団体を設立。

権威を盲信せず、自分たちの頭で考え、脱原発と再生可能な自然エネルギーへ情熱を燃やし、恐れずアクションに移す彼らの姿が、そこには映し出されていました。


では、なぜ日本では、未だに原子力から抜け出せていないのでしょうか。


諸説ありますが、もう1人のゲストスピーカー、環境政策研究所所長であり、長年原子力発電所建設に従事されてきた飯田哲也さんは、こう仰いました。


「古い考えを持った、日本の”トップエリート”が、政党を超えて裏で手を組んで結束し、コストの安い石炭と原子力に片足ずつ突っ込んでいる」と。

環境問題や地球温暖化といった”善意的”理由だけでなく、高額で取引されているウランとも縁が切れるのであれば、経済的効果は大きいはずなのだが、というようなことも仰っていました。


“経済性より、環境保護の方が気持ちがいい。ベンツ1台以上のコストがかかりましたが、僕はこっちの方がいいんです。いい気分で、よく眠れるんです。”

と仰っていたドイツのホテル経営者の方の姿が、脳裏をよぎりました。




何に知恵を使うか、何にお金を使うか


日本のエネルギー技術は素晴らしいと、よく言われます。
ですが、その技術はまるで大企業の社員のように、思考停止状態で稼働されるべきではない、とわたしは思います。

一国家として経営を任されている以上、短期的視野で運用を継続し続けるのではなく、きちんとその先の未来のことも考え、改めて運用指針を定めるべきなのでは無いでしょうか。


フランス国土ほどはあろうかと言われている、太平洋に浮かぶゴミの島、
何千もの核廃棄物がドラム缶に詰められ、砂で土中へ深く埋められている核廃棄物埋立地、
今でも立ち入り禁止区域に指定されているチェルノブイリ原子力発電所。


つくづく思うのですが、他の生物に比べ、人間は全く愚かな生き物です。
せっかく知能を有しているのに。


そして私たち日本人も、諦め、状況を受容してしまうのではなく、ドイツ国民のように勇気を持って声をあげ、行動に移すべきだと思います。


“エコ”は、流行ワードでも無ければ、大企業が信頼獲得のために打ち出す新規事業でもありません。


私たち一人一人の行動が、未来を形作る。

よく言われる言葉ですが、改めてその言葉の意味を痛感しました。


ドイツが背中を追い続けているデンマークは、再生可能エネルギーの分野では世界でトップだそうです。

隣国のスウェーデンは、1950年代に、原子力エネルギーに使用を放棄することが閣議で決定されたそうです。


一人暮らししたら、

絶対に、

ぜったいのぜったいに、


再生可能エネルギー供給を目指している電力会社にお金を払おうっと。


だって、その方が、いい気分で良く眠れそうですもん。


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