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*家族の健康の秘訣はここにあり! 手前みそ・米みそを仕込む


2月はお味噌を仕込む季節。
寒仕込みといって、寒い間に仕込んだお味噌はゆっくり熟成し、
暖かくなると酵母菌や乳酸菌が働き始め、大豆のたんぱく質を旨みに変化させる。
旨みと酵素がたっぷりの手前味噌は自宅で簡単に作ることが出来る。
梅雨時期のカビ発生などの問題はあるものの、比較的失敗のない発酵食品として、自宅で作りやすいものである。
味噌を一度自宅で作ると、市販品とは比べ物にならない美味しさを知ることだろう。
大豆や米糀の量を変えれば、辛い味噌から甘い味噌まで、家庭で好みの手前味噌を作り出せる。
一度、基本の味噌を作ってみて、糀の量を増やしたり、大豆を増やしたり、少しづつ分量を変え、自分好みの手前味噌を完成させよう。


中期熟成味噌・1~3月仕込み、1年熟成    

材料

作りやすい分量(出来上がり約5kg)
乾燥大豆1・5kg 米糀1・5kg 塩0・5kg  
味噌を入れる容器8~10ℓ用のホーローか陶器 重石 

作り方 


①仕込みの前日から大豆をしっかり洗い、水に浸しておく。
浸水約18時間。豆は水を吸って倍量に膨らむため、たっぷりの水に漬ける事。豆を半分に割って、中の凹みがなくなるまで。

浸水させた大豆を半分に割ってみる


②大豆を茹でる。親指と小指ではさんで軽く潰れるくらい柔らかく。
たっぷりの湯で薪火で2時間、またはガスコンロで4~5時間、
古い豆だともっと時間がかかる。
時間を測るよりも、大豆のゆで具合で判断する。
Point① 強火で炊くとたんぱく質の多い大豆は吹きこぼれやすいので注意する。
Point② ときどきびっくり水をすると新まで火が通りやすくなる。


③塩切りする。大豆を茹でている間に米糀と塩を混ぜる。
米糀は一粒一粒ばらかし、塩をまんべんなく混ぜておく。



④軟らかくなった大豆を潰す。
大豆を潰せる機械がない場合は袋に入れて足で踏む。(袋が破けないように注意!)
手でつぶしてもよいが、かなり疲れる。
Point③茹で汁は硬さ調節に使うため、捨てずに取っておく。



⑤塩きりした糀と、潰した大豆をよく混ぜる。手で団子に握ってみてパサパサしているようなら茹で汁を少しずつ足す。
Point④ 塩切した糀と、潰した大豆が均等に混ざっていないと、部分的に塩分濃度に違いがでるため、塩分濃度の低い場所でカビが発生しやすくなる。
Point⑤ 大豆の煮汁を足しすぎると塩分濃度が下がるので、団子にした時崩れない程度にする。



⑥手で団子に握り、中の空気を抜いてから、(ハンバーグを作るみたいにしっかりと!)容器に投げつけ、よく押さえつける。
Point⑥ 酸素をなくすことで、嫌気性の乳酸菌が働く。
空気が入っているとそこからカビが来やすくなる。



⑦全て容器に入れたら、上からしっかり押さえ平らにし、容器のふちに1~2cmほどの溝を作る。そこに味噌の汁が溜まる。



⑧容器に着いた大豆カスはきれいに拭き取り、焼酎などで消毒しておく。
カスが残っているとそこからカビやすくなる。

Point⑦ 夏場のカビが心配な場合は、表面に板粕を貼り付けるか、
前年度の味噌を1~2cmほど蓋をするように貼り付ける。
こうすることで、前年の味噌の乳酸菌や酵母菌が安定して住み着いてくれる。



⑨重石を乗せる。重石の変わりに1kgの塩を袋ごと乗せるとカビ予防にもなる。
重石の上から埃が入らないようわら半紙や布などを被せておく。

⑩風通しのよい、日の当たらない場所に保管する。

⑪湿気の多くなる季節(5月頃から)はカビのチェックをする。表面にカビが生えていたら取り除く。
毎年同じ場所を味噌置き場にしていたら、カビが生えにくくなる。らしい。

⑫約1年熟成させる。

お味噌の色々 

                                         麦味噌ー麦糀と大豆と塩が原料。九州地方では一般的なお味噌。
         
豆味噌ー名古屋近辺で使われる赤くて辛目のお味噌。豆麹と塩で仕込む。

米味噌ー米糀と大豆が原料。大豆が多いと赤くて辛いみそ、米糀が多いと白くて甘い味噌になる。米糀を多くする場合は日持ちが悪くなり、カビやすくなるため塩分を増やす。大豆が多い味噌は熟成に時間を要す。   
塩分は11%~14%。
                                                                                                             

塩分の計算方法(塩分11%の場合)


乾燥大豆1・5kg→浸水すると倍量になるため約3㎏                                       米糀1・5kg                                                                                                            大豆と糀の合計重量4.5㎏×11%=塩495g
11~14%まで好みで調整する。
塩分濃度が低いと雑菌が来やすいため、早めに食べる。
反対に塩分濃度が高いと雑菌は繁殖しにくくなるため長期保管に向く。

手前味噌が出来るまで

今回の分量は、我が家でいつも作る中辛味噌にしたけれど、
ご家庭の好みで辛口好きなら大豆の量を2倍、
甘口なら米糀量を2倍にすることができる。
その際の塩分濃度として、
辛口なら13%まで、甘口なら12%まで増やせる。

ここからは、少々マニアックなお話となるので、
お好きな方や、失敗したが原因がわからない、なんてときに読んでもらうといいかと思う。



米糀と塩を混ぜる塩きりをした時点で、塩分濃度が高まるため米糀菌は死滅する。
米糀には、糀菌が排出したアミラーゼとプロテアーゼという酵素がたっぷり含まれていて、
大豆と合わせたあと、この酵素が大豆のたんぱく質と米糀のでんぷんを分解し始める。
タンパク質は分解されてアミノ酸になり、でんぷんは分解されて糖になる。

気温が上がり、耐塩性の乳酸菌や酵母菌が活発に発酵し始める。
乳酸菌は嫌気性のため、しっかりと空気を抜いておくことが重要。
酵母菌は好気性であるため、味噌の表面に生息している。

前年度の味噌を表面に張り付けることで、雑菌の繁殖防止と共に、味噌に含まれる耐塩性乳酸菌と酵母菌が安定的に増殖しやすくなる。

大豆のたんぱく質を菌に分解してもらうことで、消化吸収がよく、旨みや酸味、甘み、苦味などの味が出る。

大豆のたんぱく質と、米糀の糖を時間をかけてゆっくり熟成させることで、メイラード反応が起こり、
味噌を褐色に変化させ、美味しそうな匂いや美味しい味を作り出す。
そして、抗酸化作用や、活性酸素を除去する力まで持っている。
色が濃いほど、その作用は強くなる。
古い味噌は薬だ、というのは本当のことなのだ。
そして、味噌にはたくさんの酵素が含まれている。
酵素はタンパク質であるため、70℃以上の環境では失活してしまう。
味噌を調理する場合、沸騰させないことが大切だ。

そしてそして、大豆のタンパク質を酵素が分解して出来たアミノ酸は、旨味である。
美味しくて、健康に良いなんて、夢のような食べ物じゃないか。
我が家では、夏場は米みそと麦みその合わせみそ、
冬場は豆味噌と米みその合わせみそ、と季節に応じて使う味噌を変える。
大豆しか使わない豆味噌は、体をとても温めるようで、
冬でも暑い暑い、と言いながら汗をかきかき食べる。

味噌作りは年に一度の大仕事ではあるけれど、
3回やれば慣れるだろう。
家族が食べる一年分のお味噌を、家族がそろって仕込めば
なおさら美味しく、日々の健康の素にもなる。


しこんだら、ねてまつだけzz


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