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吐くように

小さい頃から文章を書くのが好きだった。それはもう何かどこか衝動的で、例えるならばゲロを吐くのにかなり似ている。

むらむらと胸が気持ち悪くなって、泣きたいような怒りたいような気持ちになって、そうするとちょっと苦い文章が、わっと出てくる。形にせずにはいられない。ワクワクするような文章もそうで、いてもたってもいられなくなって、何かを発散するように、憑かれたように文字を並べていく。そしてちょっとすっきりする。きっと溜めすぎると良くない。そんな人は文章を趣味で書いている人には、少なくないんじゃないかと思う。

昔有名な作家(わざわざ言うのもわざとらしいので、伏せてみる)が「小説家は心をちぎって話を書いている」というようなことを言っていたが、そうして並んだ文字という記号が、時に映画をも凌駕するくらい生々しく、まるで自分の体験のように何かを人に感じさせるのは不思議だと今でも思う。

もちろん自分の書いたものが、他人をそこまで動かせるものとはまだ思わない。でもすくなくとも吐くように書いた文章は、できるだけ「本物」に近いまま形に残しておきたい。綺麗でなくても、一度きりではあるはずで。

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