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麒麟がくるレビュー・2軍       その17「長良川の対決」無かったことに

私の単なる思いつきで、今年82歳になるじーちゃん(日本人。日本在住)と12歳になる息子・エル(日本人とスペイン人のハーフ。スペイン在住)にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のレビューをお願いしている。
さあ、今回は通常運転できるのか、この2軍レビュー?

帰ってきた82歳

で、うちのじーちゃんである。
まず最初に、彼は無事に2軍に戻ってきた。
ま、一応ね。

彼は酷い頭痛のせいで前回の2軍レビューに参加できなかった。
その後、彼のつれ合い(あ、私の母か)につきそってもらって、馴染みのクリニックに行った。
さて、診察を終えた医者の驚愕のひと言とは・・・。

「気にしすぎでしょう」
( ↑ このnoteのテキスト文字、もっと大きくしたい)

え。何て言ったって?
元々彼がかなりの意気地無しで、痛みに非常に弱い人物であることは私も承知してはいた。
あまりに普段の訴え方が大袈裟すぎ、「痛い」「つらい」「もうわしはダメ」とかしょっちゅう言ってるから、家族は半ば無視していた。
一度などは膀胱結石と気づかずに「痛い」と言うじーちゃんを信用せず、しばらくしてからあわてて救急車を呼んだこともあった。
さすがにそれ以降我々家族も反省したが、今回のじーちゃんはひどい。
こんなstay homeなコロナの時期に、高齢の夫婦が揃って外出して病院行ってくるなんて。何やってんだか。
聞けば、「もしやコロナかも」と心配だったじーちゃんは、体温を何度も何度も何度も何度も繰り返し測っていたことも医者に注意された。
測りすぎ、気にしすぎはかえって自律神経の働きが妙にな具合になり、体温上昇もあり得るのだとか。
病気になりかねないほど体温を測り続けるって、一体どんな状況?

で、診察後のじーちゃん、頭痛は大丈夫になったらしい。
今日「大丈夫?」と聞くと、「いやぁ、調子は悪いなぁ・・・」と力なく笑うじーちゃん。まさか演技ではあるまいな。
もう、この老人に振り回されないよう、プラシーボでもラムネでも豆でも何でもどんぶり一杯与えておいてください、お医者さん! ほんとに。

道三は誰に殺された?

前置きが長くなって申し訳ない。早速、本題に入ろう。
彼にはよくある事だが、じーちゃんは、既に自分の理解しているストーリーが第16話か17話かがこんがらがっていた。

「道三が死んじゃったね」
私が水を向けると、じーちゃんがおおそうじゃ、と質問してきた。
「ところで道三は誰に殺されたんじゃ?」
え? 
毎回この人には、いろんな角度から驚かされるけれど、彼のテクニックが尽きることはないらしい。

じーちゃんの言い訳によると、
道三と高政(斎藤義龍)が長々と俺が父親だ、いや違う、などと押し問答しすぎたせいで、わしの気が緩んだ隙に道三が殺されていた」
という。
見逃したんかい、あの瞬間を。
「あっちゅう間に道三がぱっと死んだ。気づいたら死んどった」
「あれだけ急に死なれると、感想も言えん」
狡猾にも感想を言えない逃げ道まで作る始末。
道三の死に際の「道三の勝ちじゃ」の言葉や、高政の涙のことなど話すチャンスもなく、
「ま、道三が死んだ時の話しはもうこれで大体終わったな」
と自分で話しを締めくくったじーちゃんである。怒。

他に何か大事な場面は何かあったか?

感想を無理矢理ねつ造しても意味が無い。
道三のシーンは諦めて、違う感動場面についての感想を聞こうとする私に、重ねてじーちゃんが言う。
他に何か大事な場面はあったか? 大体終わったな?」

え? ええ? えええ?
明智城における明智光秀と叔父・明智光安との今生の別れとか、光秀と藤田伝吾を初めとする家来たちとの別れの場面とかは? 
「えー。もう何もないの?」
私が怒気を含んで文句を言うと、ヤバいと思ったじーちゃんが妙に明るい声で言った。
「あ。一番印象に残った場面を思い出しました-!」

じーちゃん的には、道三の死後に現場に駆けつけた明智光秀と高政との間で交された言葉が印象に残っているとのこと。
自分は土岐頼芸の息子だとあくまで言い張る高政に光秀が、
「土岐頼芸を立派な人物だと思ったことはないが、道三は立派な主君で、ゆるぎない誇りがあった、それは頼芸にも高政にもないものだ。だからわしはお主に与しない」
というセリフである。

「あのセリフが17話で一番良かったのうー」
いやに明るく話すじーちゃん。
別にこのセリフが悪いとは思わないし、良いセリフだとは思うよ。
でも、17話の一番の場面なの?
「じゃ、もう夜遅いんで、わしは寝ます」
じーちゃんは眠そうに話しを切り上げる。
こりゃもうプッシュしてもダメそうだ。
今回はここで終了だけど、めっちゃ消化不良。

頼んだぞ、エル

あの人生の大先輩、82歳のじーちゃんに比べ、数え年12歳のエルからは、17話の見どころについて実にスムーズに答えが返ってきた。

「2つあるよ。1個は光秀と叔父さん(明智光安)が別れるところ。2個目は青い服の強い人(藤田伝吾)がサヨナラするところ
よーし、よし。泣けるポイントをちゃんとわかっている。
あれ、道三は?
「道三は僕好きなんだけど、3番目かな、今回は。いろいろ変なところがあったんだよ」
ふむふむ。
では、これらの3つの場面についてのエルの感想をドラマの時系列に従ってご紹介したい。(誓って私は彼の感想を誘導していません)

エル、遠慮無く突っ込む

では、道三、光安、伝吾の順番で。

【斎藤道三の最後の戦いシーン】
・どうやって1人で川を渡れたんだろう(光秀もだけど)
1人で戦うのはおかしいよ。合戦でしょ。チームのトップなのにボディガードもナシで。相手が高政だからすぐに殺されなかったけれど(光秀もだけど)
・槍を持って戦うときはカッコイイ。死に方はまあまあだね。
・僕は、道三がいなくなって寂しくなると思う
高政(義龍)は、最後に泣いていたよ。泣くぐらいなら、殺すな!

いかにも冷静なエルらしい。好きだった割にはクールな態度だが、道三ロスは感じるらしいのでほっとした。

【明智光安と光秀の別れのシーン】
・あれはね、もう2人は会えないよ。叔父さん死んじゃうよ。あんまり役に立たなかったたけど、やさしい人だったね。
・叔父さんのプレゼントがさぁ、もっとすごい宝物かとおもったけど、ただの旗だった。がっかり。
・光安もお兄さんにもらったお城だから最後まで一緒にいるんだね。船のキャプテンと同じだね。
・光安もみんなで一緒に逃げて、新しいところでやり直したらどうかな
光秀がいっぱい泣いていた。あんなの初めて。

光安叔父さんからの光秀への品は、旗印ではエル的には役不足だったようで。彼は、もっと刀っぽいスゴイものがよかったそうだ。ははは。

【藤田伝吾たちと光秀家族との別れのシーン】
・伝吾はサムライじゃなかったの? あんなに強いfarmer(ファーマー/百姓)っているんだね。
・「Trip(トリップ/旅)だと思って」なんて伝吾はうまいこと言うねぇ。光秀のお母さんもちゃんと聞いていたね。
伝吾も一緒に旅に出てほしい。好きなところで畑を作ってまたサムライしながらおしゃくしょう(「お百姓」のつもり)をすればいいでしょう。
・光秀、また泣いていた。よく泣くね。よっぽど悲しいんでしょう。

エルには、百姓がどうして一緒に光秀と逃げられないのかよく分かっていない様子。時代的に兵農分離というのはまだしばらく先の話だったんだね。

ちなみに、私は上記の3つのシーンでウルウルきていたが、エルは全く平気だった。氷の男か。

エルによる『麒麟がくる』越前編以降の展開解説

最後に、ここからはエルの言葉で、美濃篇が終了した『麒麟が来る』の越前篇以降のストーリー展開について解説していただこう。
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光秀はこれから、どこか別の場所に行きます。
尾張に行ったら、友達の帰蝶も信長もいるからいいと僕は思いますけど、ちがうみたいです。
僕は、普通だったら光秀は百姓になるかLow(ロウ/低い)ポジションのサムライからまたやり直しかと思いました。
でも、大丈夫。
Trailer(トレイラー/予告編)では、エライ感じの人とおしゃべりしているところが見えましたから、すぐにいい感じのサムライになれると思います。
ま、そこでチョイチョイと働いて、すぐに信長のところへ行って、それから信長殺しますので。