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多様性を前提とした社会のために自分の特権を自覚せよ

障害についてもジェンダーについても、いろんな格差についても、学べば学ぶほど、考えれば考えるほど、インクルーシブな社会の遠さに絶望していたのだが、この本を読んで少し希望が生まれてきた。日々絶望と希望を行き来してる。

絶望していた理由としては、結局意思決定権を持っている人たちが格差を認識しそれを是正していく意思決定をしていかなければ社会の構造ってやはり変わらないのでは、と思うから。今回のコロナでもいろんなところで格差を認識していない施策があった。例えば学校休校の通知は、多様な子どもたちがいることが前提となっているものではなかったと思う。

でも今から変えようとしてもむしろ特権集団として成功してきた人たちが変わるのは多分難しい。(特権集団が自らの特権に自覚的であれないのは個人の責任ではなく社会の構造が原因)。じゃあ子どもの教育から!と思っても結局子どもの教育について決めるのも意思決定者だ...。ジェンダーギャップを埋めるのには100年以上かかると言われたのにはなんだか納得...

そんなことを思っていたのでこの本がドンピシャ。モヤモヤしていたことが少し整理できたし、自分はどうしていきたいか?のヒントになった。


どんなに差別や偏見をしないように努力をしても、私たちは教育やメディアや制度から必ず影響を受けていて、必ずバイアスを持っていること。
今の制度や文化はマジョリティ(特権集団)に都合よく作られたものであり、その前提があった上での「成功」であるにもかかわらず、特権集団は「すべて自分の努力」と思いがちであること。そのため、抑圧されている集団に対して「努力が足りない」「被害者面ばかりする」とか思ってしまう傾向にあること。
自分の中には特権も抑圧も両方あるということ。それを自覚するのが大事なこと。
どんなに自分は差別をしないように努力しているつもりでも、特権集団であることを自覚せずに行動していることそのものが抑圧に加担しているということ。個人の問題に矮小化せずに社会の構造としての不平等さを知る必要があること。

これらを前提として、どのように働きかけたら良いか?が書かれている。

個人的にやってみたい!と思ったアプローチは
・社会的公正について学ぶ時に抵抗を示す学習者に対してむきになっても意味ない。「戦わずにダンスをせよ」というメタファー。
・自己利益に訴るのには賛否あるが、相手の言葉に合わせるのは効果的
・学習者自身が持つ道徳的価値観に照らし合わせて伝える
・自分自身の社会的アイデンティティの発達段階やバイアスにこれまで以上に自覚的であること
かな。

これから自分は効果的な伝え方の習得と、どんな抵抗があっても動じないための練習と、データで示すために知識をもっと得ることを頑張りたい。そして次誰かに伝えた時に抵抗が見られたら、迷わずダンスだ。

同じようなこと考えている人いたらぜひこの本読んでみてください。そしてどうやってアプローチしたら良いのか?一緒に話したい。
あと、自分の特権に気付いていま自分はこう変わりつつある!って人とも話したいので、話しかけてください!特権に自覚的な人がどうやって自覚をしたのか、知りたい。特権集団の当事者研究したい。
ちなみに私自身は仕事柄抑圧集団との接することが多い中で、どんなに個人が努力をしても社会の構造からして不平等であることから自分の特権に気づいた。ジェンダーについてはようやく最近いろんなことに気付きつつあるところ。

「インクルーシブな社会を作りたい」に対してはみんな確かに、と思うけど、実際にそのために自分が属する社会と自分がそれに受けている影響を知って、自分自身が特権に気づいて行動を変えていくってのはなかなか難しい。でもやっぱりそれが必要なんだ、と改めて思った。そしてこの本にもかかれているけれど、特権と抑圧について学び直すことははじめは不快かもしれないけれど、新しい気づきがたくさんあってjoyである。

写真はばあちゃん(97)の塗り絵シリーズ。コロナで3ヶ月近く会えてなくて会いたい。

※追記※現在Amazonは在庫切れのようで、中古品しかないため高額になっているようです><

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