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「食べること」の進化史: 培養肉・昆虫食・3Dフードプリンタ 感想

私は「食べること」については、非常に関心を持っているので、「食べることの進化史」をよみましたけど。

この本の編集は「食の未来」から論じていることが、実にいいです。

 だいたい多くの進化史は、未来についてはかなりスペースが小さく、そのうえ 終わりの方に「つけたし」のようにかいてありますからね。

この本では、料理のテクノロジーと技術論。健康や病気による身体的な進化から、

 社会的な思想やアイデンティティなどの心の進化。農業、キッチンなどの環境の進化と視点をうまく切り分けていますから驚きです。

 読みながら、未来の食が現実におとづれていると感じてしまいましたね。

調理の世界では、調理機器と情報通信技術が融合し、キッチンのスマート化やロボット化もかなり進んでいますし、

食の生産、製造、流通などの技術的な進展により、食の世界は大きく変わってきている、これぞ日進月歩ですかね。

 食が多様化し、選択肢が増えてきていますけど、それを選ぶのは人間ですけど。

「農業革命によって、手に入る食料の総量を増やすことができたが、実際はより良い食生活をもたらしたとは限らず、人口爆発と階級格差の誕生につながった」とイスラエルの歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏はおっしやっていましたね。

狩猟採集をしていたニンゲンは、多種多様な食べ物を食べていたが、農業革命が起こって食事の主体が穀物となり、食生活が変化し生活習慣病などを抱えることになってしまったらしく、

 ハラリ氏は、歴史の流れを変えてきたのは、穀物や農作物の普及が大きな影響を与えたとおっしゃっていましたがまさしくその通りですね。

 日本の家庭の食事は、個人の膳を用いて家族全員がそろわずに行われ、家族がそろっても食事中の会話は禁止されていた。

 共食というのは、家族の団欒がイメージされるが、実際家族の団欒しながら食事をするようになったのは、高度成長期に当たる1955年から1975年でありましたから驚きです。

 1980年代前半は孤食が問題となり、2000年代は、家族で一緒に食べようと呼びかけられるようになった。共食する共感が得られない時代になります。

 実際、子供が嫌いな食べ物があれば、それを工夫して食べさせるということもなく、好きなものだけだべさせるようなことも起こっています。

 食のスーパーダイバーシティ(超多様性)が起こってきていますからね。

 食の幅広い分野について、非常に多岐に渡って言及しているので、浅いところも多く、なっているが、概説として捉えるならば、優れた入門書とも言えます。

 とりわけ、索引が優れていますし、この索引の本に当たって、さらに考察している視点や問題意識を、深めていくと希望の持てる未来がやってくると思われますから安心して読めます。

 僕としては、今の時代の方がたぶん食に溢れているなと思いますね。

 これだけ食について考えるのは悪くないと思いますから、この本には感謝ですね。

 

 

 




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