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VMQ2019を通して:振り返り

先日六本木にあるAXISギャラリーにて開催されたビジュアルマウンテンクエスト(以下VMQ)2019年のイベントに、主催側のメンバーとして参加してきました。

この企画は、グラフィックレコーディングなどの書籍を出されている清水淳子さんらが主催されているイベントでした。昨今急激に注目が集まっている様々なビジュアライゼーションの手法や目的を体系化するという名の下に、それぞれのビジュアライゼーションのことを「山」と例えて参加者にそれぞれの想う山々を探索してもらうというのが今回の企画の目的でした。

3月の中頃にイベントの企画と参加を呼びかける募集があり、それから4/19に5/25に実施されたイベントの企画を考えるメンバーだけでMeetUpを行い、2~3時間のワークの中から複数の企画チームに別れて当日に提供するワークショップの内容を準備する形で進めました。

企画の企画のまとめ(上)

自分が参加をすることになったチームは、「絵なし/あり山縦走チーム」というそもそもビジュアライゼーションとはなんなのかという疑問を持つ人々が集まったチームでした。上の写真は、4/19に開催されたMeetUpの際に、描き上げた企画の骨組みになります。

仕事終わりに企画メンバーで集まり、どのようなワークショップを作り上げるかを実質2時間くらいで考えあげました。

「ビジュアライゼーションってなんだろう?」というシンプルかつ唐突な質問をワークの冒頭で参加者にぶつけることで、様々なグラフィックレコーディング以外の様々な手法が出てくるのではないか?という仮説で組み上げた今回のワークは、実際に5/25に一般向けに公開する前にテストプレーまでして望んだ本番でした。

自分たちのチーム以外にも他に4組の異なるチームがいましたが、それぞれの説明を聞く限りだと、どこもビジュアライゼーションありきで進めるミニゲーム的な要素が強いワークショップだったのに対して、自分たちの内容が1時間という時間を通して、1つの問いをストーリーに応じて考えていくといった少し異なる形式をとっていました。どちらにしても、他とは少し違った雰囲気のワークショップを用意することができていたのでなんとなくの自己肯定感に包まれながら実際のワークショップの時間が始まりました。

第1回目のワークショップの様子(上)

当日は、1回1時間のワークショップを2回実施しました。参加者がどのような人達なのか一切想像することができなかった今回でしたが、蓋を開けてみると思っていた以上に多くのビジュアライゼーション実践者から、ワークショップファシリテーター、はたまたサービスデザイナーまでとオールスターというような方々に集まっていただきました。

そして、この方々に対して「ビジュアライゼーションってなんだろう?」という問いを投げかけることがこの後どれ程の熱い討論を導くかは、当日の自分には全く計り知れませんでした。

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もう初っ端から考案していたワークショップのストーリー(仮説)は機能しませんでした。というのも「ビジュアライゼーションってなんだろう?」という問いに対して返ってきた答えは、手法から、その対象、そして目的やゴールに至るまで様々な要素が混ざりまくっていたからです。仕事ですら早々出くわしたくないこのファシリテーションが崩壊してしまう場面というのにイベント開始直後に直面してしまいました。

そして、参加者の皆さんもこのようなワークショップの実践者。云うこと為すことに容赦がありません。正直本当に怖い経験でした。そのまま考えていたワークを進めようとするものの、「それにはどういう意図があるのか?」「言葉の定義が混ざっていていて、何をどうすればいいかわからない」といったような参加者からのリアクションに納得しつつもどうしようもできない感じになっていました。まさに、ビジュアライゼーションという「山」に見事に遭難しかけました。

そんな時に参加者の1人から「もうネタバラシをしてしまった方がいいかも!」と言ったアドバイスがどこからともなく聞こえてきました。もう自分の頭の中では、溺れかけていたので最後の力を振り絞って何をこのワークを通して実現しようとしていたか全て白状しました。

すると今度は参加者の方から、じゃあ今ある物で今回のワークショップの終着点を探すことができないか?という手助けをもらうことができました。ビジュアライゼーションに関する色々な要素が混ざったこの付箋の山から、みんなで突破口を見い出すために、ビジュアライゼーションをする目的(why)、対象(what)、手法(how)、という軸に分けてマッピングしていきました。

第1回目のワークショップの結果(上)

第1回目の最終的なアウトプットは上の写真になります。模造紙の右側の余白が沢山あるスペースに、参加者からのコメントをもらいました。みんなで遭難せずに熱いディスカッションができて良かったよと言った前向きなコメントをいただけた一方で、一番心に響いたコメントが「山のガイドは常に参加者と天候に気を配るべし」と書いてあったものでした。

自分の性格から言うと即興はどちらかといえば苦手な分野であると把握しています。緻密にロジックを組み立てながらストーリーを練り上げる方が得意だし落ち着きます。しかしながら、そう言った準備は往往にして崩れ去ることもあるし、それが崩れ去ってしまうと思考停止を引き起こしてしまうということも学びました。

今回ワークショップの流れが崩れてしまって気が付いたことは、参加者は流れが不自然な時にファシリテーターを攻撃しているわけではなく、違和感を口にして方向転換の手掛かりを吐き出してくれているのだということでした。そのことにさえきちんと気がつくことができていれば後は、落ち着いて周りを見渡しながら、1つ1つ対処していけるはずです。

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第2回目のワークショップの結果(上)

そんな感じで、ワークショップの第1回目を終え、15分という大変心もとない休憩(準備)時間の中、当初からやろうとしていたワークショップの内容を踏襲しつつも第1回目の反省を踏まえて、第2回目では、「ビジュアライゼーションの手法ってなんだろう?」という「how」の視点から導入し、最終的にビジュアライゼーションの目的(why)に辿り着くという構成にライブで組み替えていきました。

参加者からのコメント(上)

最終的には、参加者からこのワークショップを通して辿り着いて欲しかったゴールに近い認識を持ってもらうことに成功しました。

自分が思うビジュアライゼーション(上)

結局のところ今回のイベントを通して自分の中で改めて認識したのは、ビジュアライゼーションはあくまで手段であり、その目的は、人と人がお互いの持っている情報を共有し、対話をし、次のアクションへと結びつけるものだということでした。

グラフィッカーと呼ばれるグラフィックレーコーディングを実践される参加者・企画者が多い中で、そもそもビジュアライゼーションってなんだっけという若干喧嘩を売りに行くような異色のワークショップを展開して、即興でその中身を捻り変えなければならないという状況に出くわした今回のイベントは、自分にとって本当に身になり、成長の糧とできる体験でした。

今でも仕事中に準備していったワークショップがぶち壊れてしまうことに対して物凄く恐怖を感じることがあります。しかしながら、それをなんとか乗り越える方法を知っていること、そしてその経験があること、まだまだ成長できる要素が沢山あると思いました。

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今回のイベントに参加して様々な人にご挨拶をして、仲を深めることができました。そして、特に自分と同じチームとして最後まで一緒に頑張ってくださったメンバーには物凄く感謝しています。

最後に、今回このような楽しい企画を提供してくださった清水さんや臼井さんを始めとする運営の方々には改めてお礼を申し上げたいと思います。

基本的に今後も記事は無料で公開していきます。今後もデザインに関する様々な書籍やその他の参考文献を購入したいと考えておりますので、もしもご支援いただける方がいらっしゃいましたら有り難く思います🙋‍♂️