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ディレクターのひとりごと

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新しく立ち上げたsonoritéレーベルのプロデューサー&ディレクターとして、CD制作の裏側をつぶやきます
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三原貴之さんのベートーヴェン––Director's Note

三原貴之さんのベートーヴェン––Director's Note

 このたび、わたしの主宰するsonoritéレーベルで、三原貴之さんの奏でるベートーヴェンをご紹介できることを心から嬉しく思う。彼は、素晴らしい若手ピアニストであると同時に、慶應大学の博士課程で抗菌薬の研究に携わる研究者としての顔も持っている人だが、その音楽は、アマチュアの域を超え、ユニークかつ普遍的な説得力で聴き手の心に迫ってくる。悠然とした音楽の呼吸は、巨匠的な円熟味すら感じさせる。

 三原

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奥村智洋×安井耕一 ブラームスの夕べ

奥村智洋×安井耕一 ブラームスの夕べ

奥村智洋さん(ヴァイオリン)と安井耕一さん(ピアノ)による、ブラームスのヴァイオリンソナタ全曲の演奏会が、10月に開かれます。わたしが深く共鳴してやまない音楽家お2人による演奏会で、東京公演はソノリテが主催しています。

【東京】10/11(水)19:00- 五反田文化センター
【札幌】10/19(木)19:00- ふきのとうホール

このお2人をお繋ぎできたことを、心から幸せに思います。昨日、初

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11/19(土) 安井耕一さん ピアノ四重奏コンサート

11/19(土) 安井耕一さん ピアノ四重奏コンサート

柏市在住のピアニスト安井耕一さん(元・国立音楽大学教授)が、ご子息のチェリスト総太郎さんら若い音楽家3名と、ピアノ四重奏の演奏会を開かれます。

わたしは一昨年初めてお聴きした安井さんの音色に心から憧れ、その奥義に触れるべく交流を重ねてきました。安井さんは空間に放たれた音の位相を自在に操り、響きが三次元で立ち現れます。彼の恩師コンラート・ハンゼンや、その師エドヴィン・フィッシャーが体現していた、気

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鶴澤奏さん ピアノリサイタル'22

鶴澤奏さん ピアノリサイタル'22

ソノリテからデビューアルバム「An die Musik」をリリースした鶴澤奏さんが、11月25日(金)に約1年ぶりの日本でのリサイタルをけやきホールにて開催します。

今年も素敵なプログラムを用意してくれました。チラシには、リサイタルに寄せた鶴澤さんの思いが裏面に記されています。

音楽と向き合うことは、作曲家の心の声に触れることであり、自分の魂の内側を見つめることでもある……これが鶴澤奏の音楽家

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鶴澤奏 特別インタビュー

鶴澤奏 特別インタビュー

バンクーバー在住のピアニスト鶴澤奏さんが、デビューCD「An die Musik - Kanade Tsurusawa Schubert Album」をソノリテからリリースします。中村香織さんによる美しいMVが完成しましたので、まずはこちらをご覧ください。

ディレクター/プロデューサーとして、こんな素敵な作品を皆さんにご紹介できることをとても幸せに感じています。

CDリリースを控え、鶴澤奏さん

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神谷悠生、デビュー

神谷悠生、デビュー

神谷悠生君のデビュー盤「RAVEL & FALLA」が完成し、リリースを待つばかりとなった。

神谷君とはかれこれ長い付き合いになる。お母様が耳の肥えた人で、CDショップの試聴機か何かで僕のデビュー盤を聴き、当時中学生だった彼をうちに連れてきたのである。しばらくレッスンのような感じで音楽づくりの手伝いをした。僕もまだ学生で指導経験が浅く、お世辞にもいいレッスンと呼べる代物ではなかったかもしれない。

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鶴澤奏さんのシューベルト

鶴澤奏さんのシューベルト

ソノリテ新譜第2弾として、鶴澤奏さんのシューベルト・アルバムを録り終えました。

貴重な音楽仲間の一人である彼女は、ほんとうにナチュラルに音楽に溶け込む人で、純度の高い音楽を奏でます。品のある潔いタッチが、シューベルトの親密な音楽と深く共振します。

音楽に対する謙虚さが、凛とした透徹性をもたらしています。演奏の一回性が強いため、編集を最小限にとどめ、通しで素敵なテイクを録るよう心がけました。

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レコーディングの裏側

レコーディングの裏側

突然ですが、新レーベルsonoritéを立ち上げ、CDのプロデュースを始めます。

記念すべき第一号は、ピアニスト大内暢仁氏のバロック・アルバム。バッハ以前の北ドイツのバロック音楽を愛し、ブクステフーデやラインケンを、あえてモダンピアノで弾いている変人。僕はこういう変人が大好きです。演奏も深い研究と愛がにじみ出ていて共感します。

たとえばバッハの作品は、書かれた音楽そのものが普遍的にすばらしいか

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