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'95 till Infinity 157

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【 第9章 : Unfolded Nothing-⑥ 】

「ねぇ、自分の人生は幸せだって思う?」

そう問われた俺の頭に浮かぶニコールと子どもたちの顔。カイロは俺の答えなんか最初から求めていなかったように続ける。

「俺は幸せだよ。結婚もしてなきゃ、子どももいない。スーパーで時給なんぼの生活をしてるような男がこんなことを言っても、馬鹿なんじゃないかって思われるかもしれないけど、俺は幸せなんだよ。

よくゼロからのスタートって人は言うじゃん?

俺の場合はマイナスからのスタートだったよ。俺には何もなかったし、今でも何もないっていえば、何もないのかもしれない。けどさ、それでも俺は幸せなんだ。

世間から見れば単調でつまんない、やりがいもクソもないような仕事でも、俺は毎日仕事をしてる。くすんだ壁紙のうらぶれたアパートに1人暮らしていても、俺には自分の居場所がある。

仕事して、自分で家賃を払って、人が当たり前にやっていることを自分がしている。

それだけのことでも俺にとっては本当に、本当に誇らしいことなんだよ。

何もないところから、少しでも、ほんの少しだけでも自分の何かを積み上げていく。その積み上げた何かが世間の人からは吹けば飛ぶようながらくたでも、俺みたいな腐れ犯罪者の元ジャンキーにとっては砂漠のど真ん中にエンパイアステートビルをぶっ建てたようなもんなんだよ。

おかしな話だろ?けど、これが俺の人生なんだ。そして、俺はこの人生を誇りに思ってるし、俺は本当に満ち足りているんだ。」


…第九章 完。

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