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140字小説 No.911‐915

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【No.911 スノーホワイト】
「透明人間の吐く息は透明なのかな」映画館の帰り道、彼女が真剣に話していたのを思い出す。凍結路のスリップ事故で亡くなった彼女を誰も覚えていない。雪のように白い肌も、寒さに揺れる瞳も、今では透明になってしまった。あの夜、僕が彼女を誘わなければ。後悔が積もる。未練が溶けない。

【No.912 独特孤読】
寂しさを抱えた人達の前に孤書館は現れる。それぞれの痛みや、諦めが綴られた本を選んで読書会を開く。みんな集まったって結局、みんなひとりには変わらない。それでも人種や性別、年齢や言語も違うけど、ここに溢れる独特の雰囲気が好きだ。俯く顔を上げる。同時に目が合って、少し笑った。

【No.913 斜光】
涙彩絵具で本を読む彼女を描く。嬉しいときに流す涙、悲しいときに流す涙で絵の透明感は変わる。穏やかな別れの午後に、安寧を色濃く塗るほど思い出は淡くなった。後悔も、未練も溶かしたホワイトアイビスの紙が滲む。頬を伝う彼女の涙も知らず。某月某日、某所にて。まがい物の笑顔を描く。

【No.914 思い出の値段】
私が社会人になったことを叔父に報告すると、記念が詰まった領収書を持ってきた。初めての誕生日プレゼント代、一緒に観た女児アニメ映画のパンフ代、絵を描くきっかけになった色鉛筆代。なんだか思い出が印字されてるようで嬉しかった。叔父が笑う。「まぁ、お金は少しずつ返せばいいから」

【No.915 金のオノ 銀のオノ】
憎い同僚を始末するため、事故に見せかけて泉に投げると女神が現れた。「あなたが落としたのは金の小野ですか?それとも銀の小野ですか?」「いや、普通の小野だけど…」「正直者のあなたには両方あげましょう」きらきら輝く同僚に戸惑いながらも、普通の小野がいなくなったから良しとする。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652