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今月の1冊~2020.07

読書には不向き?な夏がきました。
でも今年はでかけないし、案外進むかも??


読む本は数あれ、ぐっとくる1冊にはそんなに簡単に出会えない。
そんな中でも毎月1冊もしあれば2冊、自分のなかでこれは・・と思ったものの感想を書いていこうと思います。
本の要約ではないと思うので気になる方は是非ご自身で読んでください!

今月は
いちばんここに似合う人  ミランダ・ジェイ著  
岸本佐和子訳

ちょっとした人生のひとこま。何かに悩みながら人との関係性をつくっていく。
全然友達とよべる人もいなくて、なにか秀でたものもなくて、孤独な日々を過ごしかけているときに突然あらわれる小さな変化。そういえば、私泳げるんだったとか、ちょっと大人になったとか気づくか気づかないかわからないくらいの小さな変化で、孤独な人同士がつながっていく、そんな小さな物語の数々。

気づくか気づかないかくらいの、そして自分にさえ与える影響がほんとうに小さいものは、なかなか声にすることもできないし、それどころか誰かに言おうと思うことさえしなかったことが、ここには活き活きと色濃く描かれています。そしてそれは、みんなが持っている孤独とリンクして、あのときのあの感じを思い出させてくれます。

自分の人生こんなものかな、と思いつつも、どこかでもっと華やかな素敵な人生が待っているんじゃないかみたいな淡い期待も捨てきれずになんとなく人生は進んでいく。そんな時に起こる、小さな、小さなエピソード。普段は身体のどこかにそっとしまってあるような孤独とこれまたそっと置かれているだれかの孤独がリンクしても人生は劇的には変わらない。この変わらないことに少し絶望しながらも、この変化をきっかけに少しだけ人生は違う方向に進みだし、なにかが変わってく。本人も気づかないくらいのレベルで。この小さな積み重ねこそが、人生そのものなんだな、ということを優しく伝えてくれる本です。

自分は自分なんだから、人と違って当然。みんな違ってみんな良い。言うだけなら簡単なのに、自分がそれに納得しているかというとそうでない部分って結構あると思います。でもその時に感じる不安とか、孤独とかそういう少しネガティブな感情さえも、いつかは癒えるものとしてそっと優しく認めてくれる作業が、日常にはたくさん転がっていることを教えてくれました。

もう少し、自分も信じて、そしてその分だけ他人を愛して。こじれていても、ゆがんでいても、もう少しだけ優しくなってみよう、そんな勇気が湧いてくるのでした。

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