<兄の話:22杯目>娑婆の空気
建国記念日の前日に兄の病室に顔を出すと、ナースステーションから追ってきた事務員さんに声を掛けられた。
最近担当医師が替わったので病状説明を受けて欲しい。
病室呼んだので待っててくださいとの事だった。
以前の担当医師は割と話しやすく優しい人だったので少しショックだった。
わたしは小心者故に、話し辛い人だと気後れしてしまい色々聞けない。
感じの良い先生がいいなあと思いながら待っていると、現れたのはわたしよりも若そうな医師だった。
“いや、年齢が若くてもコトー先生みたいな人なら“と