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花相の読書紀行№.145『大名倒産 上・下』

ワクワク・ドキドキのエンターテイメント活劇

【大名倒産 上・下】/浅田 次郎
<あらすじ>
260年の泰平の間に、積もり積もった借金はなんと25万両!
この世のものとは思えぬ負債を知った長男はショックで急死してしまった。
丹生山松平家12代当主は、次男三男を飛び越えて庶子の四男・小四郎に後を継がせて隠居すると、ひそかに「大名倒産」の準備を進め……。
何も知らずに大名家の家督を継いでしまった21歳の小四郎、糞がつくほどの真面目さ誠実さを武器になんとか倒産を防ごうと必死の「経営再建」に乗り出すが。

参勤行列を整える金にも困窮つつ、三万石の御領国・丹生山へ初のお国入りをした小四郎は、倹約また倹約、殖産産業の鮭の養殖、国家老も商人も巻き込んでなりふり構わぬ金策。
しかし焼け石に水…
健気な若殿の大逆転はなるのか。
万策尽きた時、人の世を眺めていた七福神たちが動き出す⁉
<逃げ切りを目指す親世代VS巨大な負債を押し付けられた若者>
笑いと涙がてんこ盛りの豪華エンターテインメント!!
〈家臣も商人も(神様も?)必死の金策。奇跡の大逆転、なるか!?〉

美しい故郷とお家を守りたい――。
天下一の塩引鮭が名産の御領国・越後丹生山へ初入りした若殿・小四郎。そのなりふり構わぬ姿に、国家老が、商人と民が、そして金が動き始める。
人の世を眺めている七福神まで巻き込んで、奇跡の「経営再建」は成るか?

笑いと涙がてんこ盛りの超豪華エンターテインメント。
巻末対談 浅田次郎×磯田道史「改革をなし得る人とは」
2023年、映画化!

★感想
今回の浅田次郎作品は、兎に角楽しめ!楽しめ!と言う、エンタメ満載の物語です。
時はおよそ260年を経過した江戸末期、越後丹生山三万石松平和泉守信房が十三代目として跡目継いだところから始まります。
主人公の和泉守信房は、旧名を小四郎と言い、お殿様が、ちょいと手を付けてしまった村娘から生まれた。
しかも隠居した十二代目和泉守の御家倒産という恐ろしい陰謀が進む中、
大名が倒産することって実際会ったのでしょうか?
借金をちゃらにする“お断り”という一方的な債務放棄は有ったようですが、倒産についてはフィクション。
しかし内容は、現代のビジネスにも共通するところが見えて、
今で有処の経済小説なのかしら?
 
貧乏神に死神、横着怠け者の七福神も登場する摩訶不思議な時代劇。
人間を超越した存在の神仏様が、強烈な俗物的欲求の持ち主として描くところは浅田さんの凄いところ、けれどその力はまさしく超人です。
最後まで、ワクワク・ドキドキのエンターテイメント活劇、文句なしで楽しめる作品です。
 
原作を読んだ後は、もちろん映画を鑑賞。
かなり脚色されていますが、こちらも充分楽しめる作品です。
映画と原作は、限られた時間の中で視聴者がラストまで飽きさせないものにするには、脚色が絶対必要です。
もちろん、原作をほぼ変えることなく作られる作品もありますが、この『大名倒産』にあっては、別物として鑑賞するものと思いました。
主人公“小四郎”役を“神木隆之介”が好演しています。
また豪華な役者さんたちが、周りをしっかりと固めて、最後まで楽しませていただきました。


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