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第1話 ボクの人間マリアちゃん

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語り手 : ネコのきなこ
挿し絵 : 猫野 サラ

ボクとマリアちゃんの出会いはディーマイケルっていうお店の入り口。
ボクは夜になるとここで晩ごはんを食べてたんだ。そして、お店の中で遊んだり、お昼寝したり。

マリアちゃんはそのお店のミエちゃんと大の仲良し。よく遊びに来てたよ。
そして、大好きな担々麺を向かいの中華料理のお店で注文して、凄い勢いで食べてた。猛獣ってヤツみたいに大きな口でね、ふふふっ。マリアちゃんと初めて逢ったとき、ボクは挨拶したけど、彼女は、なんじゃこのネコって目でボクを見たんだ。ボクをちゃんと見ないで、ノラネコって思ったんだね。たくさんノラネコを知ってるけど、ボクはねえ、ちょっと違うんだよ。  ううん、全然違うんだ、他のネコとは。

だって、ボクはね、何よりも人間が大好きなんだ。人間はね、ボクと一緒にいるとみんな笑顔になる単純な生き物だからね。しかも、面白い人間がこの街にはたくさんいる。夜中すぎるとね、ふらふら歩いたり、大声でわめいたり、道路に座り込んで叫んだりする人間がいてさ。この前なんて、電柱に向かってずっとしゃべってるおじさんがいたよ、ふふふっ。電柱ってさ、犬のトイレでしょ?

ディーマイケルには優しいおじさんやおばさんが来る。いっぱい可愛いお姉さんもドレスを買いにくる。ボクはお店の前でいろんな人に挨拶したよ。それに、お店にいると、いろんな人間がボクと遊びたがってさ。おしゃべりもしたよ。ときどき犬も遊びにきてた。それは嫌だったけどね。なんか失礼な動物って思う。わんわん吠えてうるさいしね。頭の良い犬っているのかなあ。まだ見たことないよ。

マリアちゃんはねえ、人間の中では特別だった。ミエちゃんの友達だし、なんか、大きな人間なのに、優しい感じがあって。本当はボクを引き取りたいって人間が何人もいたんだ。可愛いお姉さんもね。ボクはこの街ではちょっとした人気ネコでね、外で暮らしてたけどご飯もたくさん食べてたし、意地悪ネコはいたけど、それなりに楽しくやってたんだ。だけど、色々あって、ボクが選んだ人間がマリアちゃんなんだ。本当に大変なことが起きたんだ。
でも、それは神様がくれたチャンスだったのかもしれないな。

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