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素数日

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いつの頃からか覚えていないが、厚洋さんが逝ってからの日数を数えるようになった。このnoteをを始めたのは、一年以上経ってからのこと。 命日だけではなく、記念日も思い出していたが、… もっと読む
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記事一覧

厄日は良い日

厄日は良い日

 今日は、丙の申の真愛にとっては👎厄日なのだ。
 前日の午前中に浄化槽のブロアーっていう浄化槽に空気を入れる機械が熱を持ち凄い唸り音を上げていたので、「どうしたのかな?」と触ったら…。
止まった!
 故障が老朽化で止まったのだと思うが、説明書には「故障だと思ったらコンセントを抜いてください。」との注意書きだった。
 ショートしたまま放置すれば発火する可能性だってある。
 このまま業者に連絡

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嬉しい繋がり

嬉しい繋がり

 愛しい人の六回忌という記事を掲載したところ、まいちゃんという方からコメントを頂いた。
 はじめまして。 いきなり申し訳ありません。 2年生のとき 奥平先生が担任なり 卒業まで一緒に 学校生活ができ、いまだに 思い出深い先生です。
 ブログなどやっているかな?と 検索していたところ この記事を見つけました。
 大変驚いてます。 あたしの中で 一番の恩師が奥平先生でした。
 とても感謝しておりま

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後悔

後悔

 LINEのニュースの中に面白い記事が載っていた。【彼氏がゾッコン!浮気ゼロの恋愛の秘訣を持つ女性の3つの特性】
 真愛は、
「女房思うほど亭主もてもせず…。」と揶揄われるほど、やきもち焼きの女房だった。
 亡くなるまで、(真愛の方が彼に惚れてお嫁さんにしてもらった。)と思っていた。
 だから、誰かに取られちゃいけないと思っていたし、結構女の人に優しくする厚洋さんの噂を聞いては、ヤキモチを妬いて彼

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亡き人は雄弁に語る

亡き人は雄弁に語る

 シャイで、寡黙で、恥ずかしがり屋で偏屈で人前ではあまり喋らないと言われた厚洋さんだった。
 真愛には気を許したのか、よく話を聞いたからか、馬鹿に出来たからか、それなりによく話した。
 凄くお喋りな真愛で厚洋さんに沢山の事を話したし尋ねた。
 答えなければ「ねぇ、ねぇ。」と煩い真愛に仕方がなく話し返すので、家ではそれなりに話した。

 病床で最期を知った厚洋さんは、
「もっと、ちゃんと話せば良かっ

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ねぇ。伝えたい事があるの

ねぇ。伝えたい事があるの

「ねぇ。厚洋さん。
 今更ながら何だけど…。
本当にありがとう。
 貴方が真愛の旦那様で良かった。」
と伝えたい。
 今年で結婚48年になるが、厚洋さんはすでに彼方の人になった。
 結婚記念日が近づいた今日、新聞の
「ケアする男への第一歩」
という見出しが飛び込んで来た。
 関西大学の多賀先生が
ー これから育休を取得する方への
           メッセージを ー
と問われて応えられた内

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好きに理由っているの?

好きに理由っているの?

富山県のチューリップが満開の中で、春のハーモニーを奏でているというニュースが流れた。  
 NHKのインタビュアーが来場者の小学生の男の子に尋ねた。
「何色の花が好きですか。」
「あかー!」
「どうしてですか?」
「かっこいいから!」
 男の子は、しっかりと答えたので、凄いなと思った。
 真愛に同じ質問をされたとしたら、
「ピンク❣️」
「どうしてですか?」
「うーん。好きだから?
 何故かな?わ

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この道は

この道は

 篠部への道
 それは思い出の道である。
 愛しい人が逝って1652日。
 時の流れは無情なもので、形ある物を崩して行く。
 彼が履いていた靴を庭に出る時などに履き、共に過ごしている気分になっていた。
 先日の大雨の日に、その靴でゴミ捨てに行ったらびしょ濡れになった。
 ひっくり返して靴の裏を見て驚いた。
 彼の履き癖なのだろう、親指の付け根あたりに穴が空いていた。真愛が買ってあげた「軽い靴」を好

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君津地方教職美術展

君津地方教職美術展

 ぐずぐず悩みながら描いた日本画の作品を搬入し、一週間。
 息子家族がみんなして見に来てくれた。
 毎年、コロナ禍で出かける事が出来なかった為に、教え子のお母さんを誘って見に行って貰っていた。
 今年は、国際交流の活動報告を公民館に展示するとか、三絃のお稽古日と重なったとかで、結局、息子家族と見に来ただけで終わってしまった。

 お嫁さんは、丁寧に
「これが杉の木の皮なんですか?
 どうやって剥が

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みどりの日

みどりの日

 暖かくなったので、雨戸を入れないで寝る。すると朝早くから
「起きろー🌞」
と、4時50分にお日様に起こされた。
 夜型人間の真愛には、まだまだ眠い時刻である。朝日を背にして寝たが肩が痛くて、寝返りを打つと
「いい加減に起きなさい☀️」
と、お日様が言う。
(遮光カーテンは、冬に使おうと思っていたが、今日こそ、遮光カーテンを入れないと、夏至まで悩まされるぞ。)と思って、起きることにした。
 雨戸

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結婚記念日

結婚記念日

 4月29日は、結婚記念日であった。
 2017年4月28日。
“厚洋さんが《むらこし》に行こうって、連れて行ってくれた。明日が結婚記念日って覚えていてくれたんだ。”
 翌、29日
 “厚洋さんがスイカを買ってきてくれた。
 一年目と同じだねと言って笑った。”
と、彼が買ってくれた3年日記に書かれている。
 2018年の記念日には、その年の9月に最愛の旦那様が亡くなるとも知らずに祝っている。
 2

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1583日 希望

1583日 希望

 顔面制動から13日目。
 腫れ上がった瞼の内出血は徐々に落ちて広がり、パンダというか、1ラウンドで担架に乗ったボクサーというか、なかなかの形相になり、外に出る事が憚られた。
 朝の資源ゴミ出しの帰りに抜いた新聞も炬燵の上に乗せたままお風呂洗いの9時になった。
 歳をとって一人で暮らしているとやたらと思う
(このまま死んだら、誰かが困るだろうか?
 直後は、息子達が後片付けに困るだろうが、
 他に

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竹が奏でる

竹が奏でる

「竹が奏でる」と検索すると、「竹笛」「笙」
「尺八」などの楽器の画像が現れる。
 竹自身が光と風とともに奏でる音楽は、竹林に一人で降り立たなくてはなかなか感じられない。
 いにしえ人が竹から新たな音を生み出したのは、あの節があってその節の中が空洞になってるいたからで、木しか存在しなかったら…。
 空しさも豊かさも持ち合わせた竹が存在したことによって、真愛は今日、また素晴らしいものと巡り合うことがで

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亡き人と繋がる

亡き人と繋がる

 「毎日が発見」という雑誌に、哲学者の岸見一郎さんが【生活の哲学】というコーナーで、「生き方」とか「考え方」を提示してくださる。
 厚洋さんも哲学者みたいな事をよく話す人だったので、彼が元気なうちから、岸見さんの受け売りを話すと
「お前もやっと人間らしい考え方が
 出来てきたな?
 帰納法から導いた演繹法で説得できてる
 じゃないか?」
なんて、訳のわからない事を言って褒めてくれた。
 今回も素晴

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愛しい人の靴 👞👞

愛しい人の靴 👞👞

 逝ってしまった愛しい人の物が捨てられない。四十九日までは、彼の匂いを犬のように嗅ぎ回っていた。
 当然、彼のパジャマを着て寝た。
が、使って洗えば彼の匂いは消えてしまう。
 切なかった。
 聞こえなくなった彼の声。
 見る顔は写真だけ。
 撫でてくれる彼の手は無い。
 彼の匂いが消えていく。
 どうやって、彼の存在を実感しようか悩んだ結果は、
「やっぱり、匂いが無くなっても使う事だ。」 
 彼の

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