ファルコロン

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ファルコロンと申します ここへ辿り着いていただき ありがとうございます 子供のころからの実体験をもとにして 小説を投稿しています 良かったら見ていってください

最近の記事

クーピーでいえば白(生成り色1)

生成り色(きなりいろ)1  岩原マキヨは、スマートフォンの画面を見て悩んでいた。 メッセージを送ろうと思っている相手は、三田寺洋子だ。アイコンは韓国の歌手が映っている、うちわ。  推し、がいるって言っていたっけ…。  それを見ただけなのに、マキヨの心が和んだ。ラインの名前を見てほっとしながら、あんなひどいことをしてしまったのだ、おいそれと連絡するなんて、図々しいだろうか…。  ダンスサークルのグループは退会した。と言うより、そちらは消えた。喜美江が仕切っていたからだ。  あ

    • クーピーでいえば白(アプリコット2)

      【アプリコット2】  町工場をリノベーションしたカフェ「cotocoto(ことこと)」は、ちょうど、15時を回るところ…おやつタイムを過ごそうとする人で混み始めていた。あんずたちは運よく、窓際の明るい席に着くことができて、すみれは「ラッキーよ」と喜んだ。  建物の外観はトタンでできていて、錆びやはがれた部分もある、元の外観に少し加工しただけのようだ。  新しいが新築、という感じではなく、そこで長く過ごしていた歴史を感じさせる味のある建物感、を中の鉄柱などと同様、醸し出してい

      • クーピーでいえば白(アプリコット1)

        【アプリコット1】  専門学校の授業が、今日は早めに終わったけど、この後何も予定はない。  何か時間をかけて料理でもしようか、などと思いながら、蓮は駅のホームにいた。  電車がやってきたので、中の状況を観察する。これはもう、癖になっているようだ。  割と人が乗っている…。いつもよりも後ろの車両だからなのか…長椅子に六人、優先席に二人…  窓際で立っている…女性が一人…  キャップを深くかぶって、なんとなく、見たことが…。  彼女だ。  2両先の電車を観察中に気づいた。

        • クーピーでいえば白(オレンジ2)

          だが… 「あ、やばい、もう遅刻するから行くね!」  と、涼平は家を出る。中学受験をし、市外の中学へ通っているため、朝が早いのだ。行ってらっしゃい、気をつけて、智子が答える。と、バタバタと大助が降りてきた。 「サコっち、辰也起きねぇわ。俺ももう準備するからぁ」  わかった、ありがとう。智子が答える。と、祥太と亮太が朝ごはんを食べ始める。 「あ!なんだよ亮太、それ俺のジャン」 「イヤ、赤いからね。俺の色だ」 「ふざけんな、イチゴは赤いに決まってんじゃん!自分の色とか関係ねぇのに

        クーピーでいえば白(生成り色1)

          クーピーでいえば白(オレンジ1)

          【オレンジ】1  蓮は、冷蔵庫から玉ねぎを取り出した。ネイビーの小ぶりな冷蔵庫は、兄弟たちからのプレゼントだ。 「これが良いね。小さめだけど性能も消費電力も良い。海外ブランドだけど、このメーカーは信頼できるよ」  そう言いながら、兄が選んでくれた。池沢辰也、一番上の兄貴、と、蓮は思っている人。  彼自身も、大手電機メーカーの工場で働いている。本社勤務ではないが、手先の器用さ、仕事に対する誠実さ、繊細な気配りなどができると周囲からの信頼もある。今は、現場主任として重要な位置に

          クーピーでいえば白(オレンジ1)

          クーピーでいえば白(モノトーン2)

          【モノトーン】2 蓮の家は、敬之助一行が知らない駅にあった。名前は知っているけど、降りたことはない。 「広くないからさ、適当に座って」  蓮は言いながら、途中のコンビニで調達したスナックの袋を開け、紙コップを用意する。  部屋は、1ルーム。ロフトが付いていて、小さなキッチン、風呂とトイレが別にあるシンプルなつくりだ。  都心から離れているから、それほど高い家賃ではないし、学生街なので、外観も洒落ていて、隣家との距離もあって余裕のある作りだ。  壁紙は渋い木目で、家具はアンテ

          クーピーでいえば白(モノトーン2)

          クーピーでいえば白(モノトーン1)

          【モノトーン】1  午後2時、都心から郊外へ向かう下り電車は、あいている座席の方が多い。  空は青く、丸みのある雲がぷかぷかと浮かび、気持ちよく晴れている土曜日の昼。各駅停車の車内の空気も穏やかに感じられる。電車は、ある駅に静かに滑り込んだ。  イヤホンをつけ、ホームの一番前で並んでいたら、後ろでガヤガヤと話している声がした。音楽が聞こえづらくなって不快だ。何をそんなに大声で話しているのだろう。  黒河内蓮(くろこうちれん)は、後ろの集団にイライラした。どうやら、年配の女

          クーピーでいえば白(モノトーン1)

          クーピーでいえば白

          はじめに… ファルコロンと申します ここへ辿り着いて下さり、ありがとうございます 実体験をもとにした話ですが、 作品中、登場人物名や場所などは すべて架空です 深い意味はごさいません どうぞお気軽に この世界を楽しんでいってください

          クーピーでいえば白

          (笑)

          この家に決めた理由は、陽当りだ。 築45年、5階建ての団地は、エレベーターもない。ベランダの扉を開けると、駐車場と他の棟が見えるだけ。海は近いが、3階だから遠くは見えない。 でも、空が見える。 白い雲が筋を描き、お日様が東から南へのんびりと移動中だ。 今日は、良い天気…。 この場所を選んた理由はもう一つ、樹木が多いところ。 広い敷地を贅沢に使って、様々な種類の木々たちが季節ごとに花を咲かせる。秋には紅葉し、枝や葉が雨に打たれ、風に揺れ、季節の移ろいを彼らの様子で知ること