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第79回:これは両想いを「やり直す」物語

こんにちは、あみのです。今回の本は、しめさばさんのライトノベル作品『君は僕の後悔』(ダッシュエックス文庫)です。タイトルの「後悔」は「リグレット」と読みます。

作者のしめさばさんだけでなく、イラストを担当しているしぐれういさんも大好きなので、表紙だけで最高ですね。でも内容も想像を超える素晴らしい作品でした!

かつて付き合っていた高校生たちが再会したとき、以前のような関係を取り戻すことはできるのか?甘酸っぱさと切なさ、そして人間関係の「難しさ」を存分に感じられる物語です。

あらすじ(カバーより)

浅田結弦には、後悔がある。
それは中学時代に付き合っていた恋人、水野藍衣のことだ。
自由な藍衣が好きだった。でも、彼女の自由さに、苦しんだ。
過ぎ去った中学時代の恋。
二人の恋はゆるやかに過去となり、思い出になってゆくはずだった。しかし、高校一年の夏、藍衣は再び、結弦の前に姿を現す。
「結弦、好きだよ」
‥‥‥以前と変わらぬ、むき出しの好意を携えて。
言葉にしないと伝わらない。
でも、言葉だけでは分からない。
正反対の二人が、ぶつかり、すれ違い‥‥‥ようやく見つけた答えとは。後悔を抱えた少年少女の、恋と対話の物語。

感想

今作は、主人公・結弦がかつて中学時代に付き合っていた藍衣と高校で再会するところから物語が動き出します。

「好きな人と付き合う」って、片想いをしている人にとってはひとつの夢だと思います。結弦は藍衣の自分にはない「自由」な性格に惹かれ、彼女と付き合うことになりました。でも、次第に好きだったはずの藍衣の性格に振り回されることが多くなり、結弦は彼女との交際をやめることを選びました。

別れた今でも結弦のことが大好きで、再会後も彼へのアプローチを続ける藍衣。一方の結弦は自分が藍衣と付き合うことによって、彼女の素敵なところを壊してしまうのではないかともう一度恋人同士になることを躊躇っていました。

藍衣の中にあるひたすらに結弦のことが「大好き」だという気持ち。結弦の中にある藍衣のことは好きだけど、これ以上彼女を傷つけたくないという複雑な気持ち。一緒にいて「楽しい」と思える人はいても、価値観は全て一致するわけではない。今作はそんなところから恋愛をはじめとする人付き合いの「難しさ」を強く感じました。

今作には薫というサブヒロインが登場するのですが、彼女の存在が結弦の中にあった藍衣との関わり方を見直すきっかけになります。本当に藍衣のことが好きだったら、自分の気持ちをもっと彼女にぶつけたっていいと思う。この薫の意見によって、結弦は藍衣との仲を少しずつ取り戻していきます。

薫の助言もあってか、ギクシャクせず「友達」という関係から改めて絆を深め始めた結弦と藍衣。そんな2人が再び恋人同士になれる日は訪れるのでしょうか?2人の新たな恋の始まりを最後まで見届けたい作品でした。

それにしても薫、個人的に凄く好きなキャラクターでした。結弦にとっては良き相談役でもあったけど、薫にとって結弦は片想いの相手でもある。結弦は藍衣のことで頭がいっぱいで、薫の恋心には気が付いていない模様でしたが、やきもちや大胆な仕草で結弦への好意を示す薫の姿が可愛くて、彼女の恋も応援したくなりました。

結弦に「小田島」ではなく「薫」って呼んで欲しいとお願いするシーンからも、薫が彼に対して本気の感情を抱いていることをよく感じられました。このシーン、読んでいてめちゃくちゃキュンキュンした。好きな人に下の名前呼びをお願いすることって、かなり勇気がいることだと私は思います。

他にも藍衣に興味を持っている安藤も見逃せないキャラクターでした。結弦一筋の藍衣の心を安藤は掴むことができるのでしょうか?また結弦としても彼は良き恋敵でもあり、安藤の存在が結弦の気持ちをどうかき乱していくのか面白くなりそうです。

メインの結弦と藍衣だけでなく、サブキャラクターたちにも幸せな恋の結末が訪れてほしいと願わずにいられないところが今作の素敵なところだと思いました。続編も出るそうなので、とても楽しみです!

***

ここまで今回の感想文を読んで頂き、ありがとうございます。これまでのしめさばさんの作品とはまた違った観点からの男女の物語。この複雑な関係の物語はきっと、しめさばさんにしか描けないものだと思います。キャラクターも凄く魅力的な作品なので、ぜひ読んでみてください!

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