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コレクターズ・ハイ(NetGalleyより)

村雲菜月さんの『コレクターズ・ハイ』という小説を読みました。この作品は、発売前の本などのゲラが読めるサイト「NetGalley」にて読んだものとなります。講談社から単行本が今月末に発売予定とのこと。

あらすじを見てキャラクターグッズを集めるのが趣味の登場人物がいるそうだったので、雑貨などを集めるのが好きな私との共通点もありそうな作品だなと思って読んでみました。

まず、今作には何かしらの「好き」がある登場人物が多数登場します!「なにゅなにゅ」というキャラクターに夢中な主人公をはじめ、クレーンゲームが得意な森本さんや異常なくらいに女性の髪にこだわる美容師(何か不気味な予感しかない)などと、クセが強いかつ何か夢中になっているものがある人なら思わず共感してしまう人物ばかりでした。

主人公は動画をきっかけになにゅなにゅにハマり、グッズが出れば何でも欲しくなるタイプの人物ですが、その一方で同じなにゅなにゅ好きでも特定のキャラだけグッズを集める人、初期からなにゅなにゅが好きな人などと様々なタイプのなにゅなにゅオタクの姿が描かれていました。

自分とグッズ収集のスタイルが異なる人を毛嫌いする主人公ですが、私としては「何かに夢中になる気持ちやグッズ集めのスタイルは人それぞれで良い」とこの作品は伝えているのかなと思わせてくれました。「推し活」の流行やキャラクターグッズが巷に溢れる今らしい作品でした。

とはいえ、今作で描かれる「好き」の形は楽しいものだけでなく、時に狂気を生み出すこともありました。

サイト内の作品紹介にて「くすっと笑えてどんどん怖い、スリル満点のサスペンス・ホラー!!」との表記があり、はじめは意味深でしたが、読んでいくとその正体がわかりました。これ以上詳しく触れるとネタバレになりかねないので、後半になるにつれて判明する「好き」という感情の深淵はぜひ読んでお確かめあれ…。

また、主人公がカプセルトイ(いわゆるガチャガチャ)のメーカーに勤めているというのもあり、近年の推し活・キャラグッズ事情について多く描かれていたところも個人的には大変興味深かったです。

誰もが知るキャラから「誰得だよ?」と思ってしまう物まで、多種多様なアイテムがどのような背景で生まれていくのかを体感できるのもこの作品ならではの魅力だと思います。

何かのコンテンツに夢中になっている人なら間違いなく楽しめる内容だと思うので、個人的には強く推したい作品です!

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