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性的なイタズラに遭っていたけど幸せでした、性は私を愛に近づけくれる魔法の薬だったから。

世の中には作りモノにあふれている。

AVはドラマでありフィクションだから、それを真似て同じ様に女性に触れては気持ちよくなってもらえない。自分の生活がいかに充実しているかを見せ合うSNS投稿が後をたたない。かわいいあの子の長いまつげは接着剤でくっついているし、私はほっぺにピンク色を乗せている。

なのに、毎日国会の映像や、元アイドルの後悔の涙と共に、毎日毎日「正しくいること」「嘘をつかないこと」「誠実」であることがいかに大事か私達に少しずつ刷り込まれていく。

この世の中はたくさんの嘘や作り物でキラキラしているのに。

私は今までにたくさんの嘘をついてきた。自分が虚言癖なのではと怖かった時期もあったくらいに。

親が気分屋で厳しかったので、本音を話すことはいけないことだった。望み通りの娘でいるように心がけていたし、成績も優秀だった。けれど、それは作り物の私だからどこかで歪みが出るしボロもでる。頑張り屋だったけれど、頑張るのが好きなわけではなかったから、ふと気を抜く瞬間のミスを親に叱られた。

怒られないように吐く嘘がバレては「嘘をついてはいけない、お前は本当に性格が悪い」と怒られるのだ。

そんな私にとって、「彼氏」という存在のなんと甘美なことか。

嘘をつかないで素直でいても愛してくれる。わがままを言える。味方になってくれる。

12歳で元彼と付き合いだして10年、別れてすぐに今の夫と付き合いだした私を、母は「お前は手元を離れるのが早くてすごく寂しかった。ママは子育てを十分にさせてもらえなかった」と非難したけれど、私には本音を話せて受け入れてくれる「私の男」が必要だった。

私は小さい頃から大人になる過程で「性」というものが「男」を手に入れるためには非常に効率的な武器だということは確信していた。

そもそも、幼稚園のとき少し歳上の近所のお兄ちゃんに(今考えれば)性的なイタズラを受けていた。当時はなにされてるかはっきりは知らなかった。よく遊んでくれて活発なお兄ちゃんが私は大好きで、大きくなったらゆうくんと結婚する!と言っていたくらい懐いていた。ゆうくんはおままごとをしようとよく誘ってくれて、そしてそのおままごとは夜の部がめちゃくちゃ長いおままごとだった。

24時間のうち日中が2時間くらいであとの22時間は夜じゃねぇの、みたいなおままごと。

じゃあもう夜ね、寝よっか!とゆうくんに誘われる。一緒にお布団に横になるとゆうくんだけ布団の中に潜ると私の綿100%のかぼちゃパンツを下げて、性器を観察したり触ったりしていた。「結婚すると、おとこのひととおんなのひとはこういうことをするんだよ」と言っていたから、ゆうくんは親の営みでも見てしまったのかも知れないなと今になっては思う。幼稚園児でもいっちょまえに濡れたし、これが親には言えないことだというのはなんとなくわかっていた。

いくつまでそんなのが続いたかは覚えていないのだけど、多分小学1~2年生くらいまでだっただろうと思う。大きくなってからはされた記憶がない。

小学校中学年になって伯母の家に泊まりに行った時、夜寝ていると3つ上の従兄が体に触ってきた。従兄が私のまだAカップもない胸を触ったり舐めたりしている間、私は寝た振りをして夢かもしれないとふわふわしていた

従兄は幼少期、私と兄弟のように育ってきたくらいの仲だったので自分がそういう対象になるんだと驚いたのを覚えている。ちなみに、私は従兄が好きだったので何をされてるかわかった上で、それでも少し嬉しかった。

そして中1になりたての頃、下校途中に公園で友達と話していた時に声をかけてきた人と付き合った。相手は19歳だった。

いまなら19なんてコドモに見えるけど、12歳にとって19歳はめちゃくちゃ大人だ。

下校時刻になると校門まで迎えに来てくれて、人気のない公園でお話するデートばかりだった。何度目かで彼は性器に指を挿れてきた。その時は自分が大人になった気がしてめちゃめちゃに興奮したんだけど、よく考えたら「このままだとこの人が初めてのエッチの相手になるだろう、それでいいのかな」と思った。そしたら急に怖くなってその日の夜に別れた。

その後は塾の同い年の男子と短期間付き合ったりもしたけど、その頃は彼氏も男友達もみんな同じで、来るメールは「裸の写真送って」とかでつまらなかった

その後10年付き合った元彼と交際がスタートした。初めの1年くらいはめちゃくちゃプラトニックで裸の写真も求められないのが不思議だった。後から判明するのは自慰行為もしたことがないくらいに純粋だったってだけなんだけど。

とにかくそんな彼とめでたく中学校2年生でお互いに初めての性行為をした。痛かったけど血は出なかった。

性行為をしてから、元彼の私への愛着が確実に増したのが肌で感じられた。彼にとって正真正銘の「おれの女」になったという感じだ。

…と、こうやって書き出すとわかるように、私は幼稚園からいつも男に性的に求められる人生だった。幸いなことに無理矢理はなかったし、いつも相手は私にとって少なくとも好意を持てた相手だったからトラウマになるような記憶ではないけれど、確実に私の価値観は壊れていったと思う。

親からの厳しすぎるしつけと、それを癒やしてほしいという欲求。そして、私は、性をチラつかせれば男が優しくなることを知ってしまっていた。

もうそうなると、性を武器にせずにはいられないのだ。

17歳の時は彼氏が居ながらバイト先のエリアマネージャーとこっそり付き合ったりした。会社に入ってから後輩に体を触られたり、先輩に触られたりしても心の底からは嫌だと思えなかった。寂しいと痴漢でもいいから興味を持ってほしいと思ったし、出会系アプリでメッセージのやりとりをしてみたりした。

夫の性的欲求が薄いことが不安になるのは、いままでの生い立ちというか、そういうような背景があるのかも知れない。

ずっと性的に求められてきて、それをチラつかせては見返りに愛されてきた私には、武器はそれしかないのだ。私の中の私はずっと、親に愛されず、うそつきな悪い子で、性格が悪い失敗作なのだから。なにもかもダメな私にとっては、性行為はたった一つの自分のまともに評価されることで、愛されるための魔法なはずだった。それだけは人並みにできると思っていた。

夫に求めてもらえないのは、自分の唯一できることをさせてもらえないということ。愛されるための魔法を使えないということ。ダメな私で裸のまま向き合うということ。怖すぎる。

こうやって書くと可哀想な感じになってないか心配だけど、私は結構明るいし笑い上戸なのでかなり楽しく生きている。たまにこうやって、文章にして自分のことや夫のことを分析するのが好きなのだ。

私の価値観が残念な感じになってるのはわかっているけど、物心ついたころからちょっとずつ刷り込まれた価値観なので今更変えることは難しいだろうということも知っている。特に「こうしたらいいですよ」的なアドバイスがほしいとも思っていない。

ただ私は、だから夫に抱かれたいのです。

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