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【読書感想】デザイン思考の授業

どうも、地方公務員のばたやんです!
月末の更新は月1冊読了チャレンジ課題図書の読書感想になります。

3月の課題図書はコチラ!

🔷デザイン思考の授業

著者;佐宗邦威
日経ビジネス文庫

🔷どんな本?

本書は著者がイリノイ工科大学デザインスクール(以下、ID)で学んだこと、修了後にP&G、SONYでの経験をもとに、デザイン思考を実践するためのノウハウが凝縮された1冊です。

ビジネスパーソンがデザイン思考を理解するために書かれており、なぜデザイン思考が求められているのかという背景知識から実践のための解説、最終章では不確実な時代を生き抜くためのデザイン思考とLESSON0~LESSON7の8章構成になっています、コヴィー先生の「7つの習慣」を意識していると思われますね。

🔷読書感想

〇デザイン思考の入門として読むにはハードルが高い

「デザイン思考」が何なのか、というのは本書においてはかなりさらっと説明されており、全くの初心者というよりは前提として「デザイン思考」がどういうものかを理解している人に向けているのだと感じました。

私は「デザイン思考」というワードを知っているくらいでちゃんと調べたり学んだしたことがなかったので、本書を読む前にkindleで細谷岳広著「結局のところデザイン思考ってなんですか?」を読んで予習しました。

「結局のところデザイン思考ってなんですか?」では「デザイン思考」の概要とデザイン思考に関連する用語について学ぶことができました。
ページ数も少なく参考にするにはちょうどよいボリュームです。

〇「デザイン」と「デザイン思考」

デザイン思考を語る前にデザインとは何なのかを考えます。

・デザイン

既存の考え方にとらわれず、人々が望むことを考える。
人々の抱えるふわふわとした課題や問題点を具現化し、様々な角度から解決案を複数用意して解決に導いていくこと。

・デザイン思考

デザインで課題解決をする際に使われる思考法を、デザイン以外の分野でも応用しようとする考え方。
予測のつかない未来を生き抜くために”問題を再定義”して、試行錯誤を繰り返し人々の抱える本当の課題を解決する。

簡単にまとめてしまうと、表面化している課題や問題を様々な角度から観察、考察し”問題を再定義”してユーザーの抱える”本当の課題”を試行錯誤を繰り返して解決していくための思考法と言えるでしょう。

〇なぜデザイン思考が必要なのか

今までの社会では、大量生産中心の生産性をあげることを重視したプロダクトアウトの考え方が主流でした。

しかし、インターネットの登場によって人々の価値観に大きな変化が訪れます、その結果”ありたい自分”を実現させてくれるサービスに価値を見出すようになってきました。
このようにユーザーの価値観が変化したことによりUX(ユーザーエクスペリエンス)の重要性が増してきており、ユーザーの本当の課題にアプローチする「デザイン思考」が重宝されるようになってきました。

〇デザイン思考の4つの目標

・ユーザーのニーズを満たすこと
・ユーザーが使いやすいこと
・ユーザーのやりたいことを完了すること
・ユーザーの気持ちがポジティブ(楽しい・うれしい)になること

これらを満たすために見た目はもちろんユーザーの扱いやすさ理解のしやすさ、所有欲を満たせるかなどあらゆる視点での工夫が必要です。

🔷8つの授業

先にも書きましたが本書は8つの章に分かれており、デザイン思考をビジネスで活用する思考やツールが紹介されています、その中でも特に気になった学びになったポイントをご紹介していきます。

○LESSON0:概論

ここではなぜデザイン思考が必要とされているのか、創造性には型がある、イノベーションを担う3つの輪というお話がされています。
なぜデザイン思考が必要とされているのかの背景については先述しましたので割愛します。
創造性の型として、アメリカのデザインファームIDEO創業者のデイヴィッド・ケリー氏とトム・ケリー氏のフレームワーク化された5ステップがあります。

1.共感
2.課題設定
3.アイデア発想
4.プロトタイピング
5.検証

この5ステップを本書では次のようにまとめています。

1.ユーザーへの共感から企画のプロセスをはじめ、2.ユーザーがどのような体験をするかを五感を使って発送し、3.具体化していく手法。

デザイン思考の授業

・イノベーションを担う3つの輪

本書では「デザイン思考」の基本的な考え方は、デザイン・ビジネス・エンジニアリングの3つの要素が協働する事でイノベーションを生み出すことができると解説しています。

イノベーションを担う3つの輪

○LESSON1:思考法

このセクションではデザイナーから新たな切り口の作り方を学ぶがテーマとなっており、このセクションから著者がIDでうけたデザイン思考の授業の内容が紹介されています。

新しい切り口を生み出すためには論理の力をつかさどる左脳の力とイメージの力をつかさどる右脳の力の両方を活用したハイブリッドな思考が必要だとしており、知的生産はインプット×ジャンプ×アウトプットをかかった時間で割ったものであると定義し、インプット・ジャンプ・アウトプットの解説が書かれています。

インプット:ビジュアルで集めビジュアルで考える
ジャンプ:発想を飛躍させる
アウトプット:シンプルに感情に訴えかける体験デザインを行う

○LESSON3:プロセス

このセクションでは、デザイン思考のプロセスは”羅針盤”であると説明されています。

ザイン思考のプロセスは次の4つに分類されます。

・分析
・総合/課題の再定義
・プロトタイピング
・リサーチ

この4つをステップとして進めるのではなく、何度も行き来を繰り返して質を上げていくものと説明されています、例として目的地までのルートを示した地図ではなく方向だけを示し行先を自分で決める羅針盤(コンパス)と表現されていて、なりほどと納得しました。

○LESSON7:幸福

著者はデザイン思考を実践するときに右脳を活用していく中で、日々クリエイティビティを発揮し新しいものを創造していくことに幸せを感じていたそうです。
また、脳科学者のジル・ボルト・テイラーがTEDでスピーチをしている動画から「右脳で感じると幸せな気分になれる」と著者は考え、世界がインターネットでつながる時代、その一方で2050年には資源枯渇が問題となる「持続可能」でなく、多様化が進む中で人それぞれの「幸せ」が大事になっている時代でもあり、これらの問題は、まわりと繋がることで身の回りから社会の課題を解決し、右脳を使い創造することに幸せを感じることができれば、1人にとってのひとつの解になるかもしれない、と書いています。

注意:脳の解説をする際にリアルな模型が登場するので苦手な方は視聴しないでください!


今回は「デザイン思考」について学ぶために本書と複読本を読んできました、デザイン思考がなぜ必要でどのように実現していくものなのかは理解で聞いたように思います、しかしながらそれを実務や課題解決に応用していくためにはまだまだ読み込む必要があるなと感じています、これからしっかりと学んでいきたい分野でありますので、今回で終わらせずに都度読み返して学んでいきたいと思いました。



この記事の内容が誰かの力や気づきになれれば幸いです。

それでは、地方公務員のばたやんでした。

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