2024年2月読書②:組織論


1.組織設計概論(波頭亮)


企業が市場で勝ち残るためには戦略だけではなく、組織設計が重要であること、その奥深さを体系立てて学ぶことができます。

<Point>
・組織の定義:複数の組織構成員の有機的共働によって、より効率的に共通の組織目標を達成することを通じて、各組織成員の得る個別効用を極大化させるための集団
・組織は多様可変の目的をもつ人間によって構成されている
・組織目標は誰もが共通に受容できるものであり、かつ個人のめざす効用の実現につながるものでなければならない
・組織は個別活動以上の活動成果を実現するものでなければならないため、合理的な分業・共働によるシナジーを発揮できるか
・一人ひとりの人間の判断と行動のパターン、モチベイトされる仕組みに合致した設計と運用を行うには、常に人間ベースに考えなければならない
・事業戦略と組織が合理的に整合していないと成員の行動が目的と合わない
・各成員が求める効用のに対応するためにはマネジメントサイズの妥当性が重要
・万能の組織制度は存在しない。組織変更は既得権の再配分を必然的に伴いeveryone happyはあり得ない
・意図的に組織を変えていかないと保守化、硬直化、肥大化する
・ポジションの戦略的重要度を考慮して、エース級の人材を配置することが重要
・最重要指標を掲げモニタリングすることが組織変更では不可欠
・責任の所在が不明確である限り各役割は機能しない
・個人が企業活動という極めて複雜な状況の中で常に局所最適と全体最適のための解となる判断を下すことは、人の理解力や思考力のスパンからするとかなり困難である


2.職場の人間科学(ベン・ウェイバー)


休憩のタイミングやランチテーブルの大き差を変えることで職場の生産性が変わるといったピープルアナリティクスがベストプラクティスを発見する有用性に気付かされます。
マネーボールのようにデータに基づく意思決定で新しい可能性を見出せるか。

<Point>
・個人データでは無意味だが集計データにすることでプライバシーを保護しつつ、有益な情報が取れる
・都市のイノベーションのスピードは人口密度と密接に関連している
・現場の共通話題の会話が継続的な改善に繋がる
・非公式なプロセスは組織の文化そのもの
・仕事に関する情報を交換できることが休憩のメリット
・専門性の高い人は非公式に周囲の手助けに時間を使われる一方、相手の成果となり評価されないことで離脱しやすいことに注意
・個人の能力以上に人同士の刺激と協調が創造性を高める
・物理的な距離の近さが関係値に影響することが実証されている


3.データの見えざる手(矢野和男)


ピープルアナリティクスによる法則の発見によって人と組織の幸福感や生産性を高める着眼点が学びになります。
幸福感は集団現象の捉え方から組織づくりの重要度を感じる。


<Point>
・集団の繰り返しが多くなるほど、感情などのミクロな詳細状態を知らなくとも、マクロな現象の予測や制御ができるため、ピープルアナリティクスは有用といえる
・時間の使い方が重要であることはピープルアナリティクスでも証明されている
・職務によって妥当な活動量が異なる
・幸福感を占める環境要因は10%にすぎず、自らの行動次第。結果よりも行動を起こしたか
・幸福感と活動量には強い相関がある
・積極的に問題解決できる人は前向きや会話をするため、活動量が高い傾向がある
・休憩時の会話の活動量が高いほど成果が高い傾向がある
・活動量の高さは人から人へ伝播する
・IT活用による会話の低下が生産性と創造性を低下させ得ることに注意
・直接会話した相手から先の人からの情報を得られる人が高い成果を出す傾向がある
・メンバー同士の会話量を増やせるチームはリーダーが直接コミュニケーションを取るよりも自律的に成果を出せる


4.関わりあう職場のマネジメント(鈴木竜太)


自分の仕事が終われば他の人の仕事は関係ないや、過度にルールを定めるとかえって自律を損う一方で自律を尊重しすぎれば個人の力は組織に結集されないといった人の行動心理を考えられます。
職務や環境設計次第で人の行動と志向は変わる

<Point>
・個人が自律的に行動するためには,個々人の責任や目標を明確にし,自己完結的に仕事を設計することよりも,共通の目標を持ち相互に依存しあいながら仕事を設計することの方が有効
・自律的キャリア志向が組織の協働の難易度を高めている
・コミュニケーションを生むことで他の仕事ぶりを把握することができる
・助けてもらう側が全力を尽くさなければ厳しくすることが甘えを防ぐために必要
・仕事がうまく進まなくても支えてもらう存在を意識することで安心を感じられる
・同じ職場で関わりあいながら仕事をすることでコミュニティとしての愛着も育つ
・壊れやすい信頼は利害の伴う交換関係、弾力的な信頼は規範や価値観を共有する人間関係が基盤となる。弾力的信頼から積極的なリスクテイキング生まれる
・役割と手続きが明確であることで互いに支援しやすくなる
・人は見返り、帰属意識、印象管理のために秩序を守る
・高い個人目標は支援行動を減少させる

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