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最近読んで面白かった本を軽くまとめる:12/1~/31

こんにちは、あんどーなつです。
時間が経ってしまいましたが、昨年12月に面白かった本をまとめます。

今回は
「仕事ができるやつ」になる最短の道 安達裕哉
ウドウロク 有働由美子
不倫 パウロ・コエーリョ
の3冊を紹介します。

1冊目は仕事をバリバリこなしたいと思っている就活生と新社会人の方に、2冊目は働くこと・生きることにちょっと疲れた方に、3冊目は愛とは何か?理想の夫婦関係とはどんなものか?と悩んでいる方におすすめです。

「仕事ができるやつ」になる最短の道 安達裕哉

Books&Appsに掲載されたブログのうち、仕事の質を高めるために必要な考え方や行動に関するものをまとめた1冊です。

内容は取り組むのに必要な時間ごとにまとめられており、

・今日からできること:決意する
・1週間程度でできること:小さな変化を起こす
・1カ月以上しっかりと取り組むべきこと:信頼を積み上げる
・1年程度かけてじっくりと取り組むこと:努力を成果につなげる
・3年は取り組むべき大きなテーマ:リーダシップとマネジメント
・一生をかけてやる価値のあること:仕事で良い人生をつくる

このように6つに区切ってエピソードが紹介されています。短期的に役立つ考え方と長期的にとりくむべき考え方の両方が含まれてるのが、本書の特徴だと思います。

全部で36個のエピソードが綴られていますが、ここでは私が気に入った考え方を2つ紹介します。

1. どんな仕事でも、一番偉いのは『最初に案を出すやつ』
本書のタイトルにもなっているエピソードです。「1週間程度でできること」に分類されています。p.48~p.53です。

このエピソードでは、部門の全体会議で発言した若手社員の話です。新しい立ち上げたものの、反応がよくないサービスの集客を今後どうするのかを話あう会議でした。

会議は始まったものの、部門長から改善策を求められると、会議室には沈黙が訪れました。5分ほどの静寂を打ち破り、最初に発言したのはとある20代後半の若手社員でした。

若手社員の改善策は「キャッチコピーをつくる」というものでした。そのキャッチコピーは非常に稚拙で、どう考えても集客に結び付くものではなかったため、会場からはたくさんの非難の声があがります。

そんな中で、部門長は「非常にいい意見だ。私は気づいていなかった。検討事項に加えよう」と若手社員の意見を肯定的に受け取りました。

その会議にコンサルタントとして参加していた筆者は会議終了後に部門長に尋ねます。

「なぜ、あのキャッチコピーを『良い意見』とおっしゃったのですか?素人目にみても、クオリティは高くないように感じましたが」
すると部門長はいった。
「仕事で一番偉いのは誰だと思います?」
「権限をもっている方でしょうか?」
「権限をもっていてもダメなやつはダメです。どんな仕事でも、一番偉いのは『最初に案を出すやつ』なんですよ。批判なんて誰でもできる。でも、『最初に案を出す』のは勇気もいるし、何より皆から馬鹿にされないように一生懸命勉強しなければいけない。だから、最初に案を出すやつを尊重するのは仕事では当たり前です。」

私がこのエピソードを面白いなと思ったのは、最初の「発言」ではなく「案」であることが重要だと指摘されている点です。

私は就活時に、グループディスカッションという会議にたくさん参加して「発言」はしても「提案」をしない学生をたくさん見ました。

「発言」はしても「提案」をしない学生というのは、ファシリテーターとしてどう思う?と問題提起をするばかりで自分の意見を言わなかったり、メンバーの意見の非難(or同意)ばかりするという人達です。そのような学生が非常に多いので、学生の間は「発言」しかできない人でも、社会人になり色々と経験すれば「提案」できるようになるのかなと私はぼんやりと思っていました。

しかし、このエピソードを読んで社会人になっても「提案」の出来るヤツ、特に、「最初に」提案できるヤツは少ないんだなと分かったので驚きました。自分で「提案」できるのは就活のみならず、仕事をするうえでも重要なスキルなのだと初めて知ったからです。

2. 教えてもらったら、とりあえず試す
1ヶ月以上しっかりと取り組むべきことに分類されているエピソードです。p.109~p.113です。

このエピソードでは「コミュニケーションの達人」と思われる人の行動を観察した結果が記されています。その人のコミュニケーションの秘訣を著者は以下のように分析しています。

彼は、人と会うときは、初対面の人にはとくにそうだったのだが、「その人の趣味や、好きなもの」を必ず聞くのだ。
そして、彼はそれについて必ず最後に、「私におすすめはありますか?なにかいいものがあれば、教えてほしいのですが」と尋ねる。
いただいたアドバイス、仕事で試してみました。
本、読んでみました。
アニメ、見てきました。
iPhoneのケース買ってみました。
雑誌、買って読みました。
サイトを見て、使ってみました。
サービスを利用してみました。
お店に行ってきました。
彼はよっぽど高価なものや、多くの時間を必要とするもの以外は、「基本的に全部試してみる」というのだ。そして、教えて頂いた方に再開すると、それについての感想を伝える。もちろん良い感想のときも、悪い感想のときもある。

著者は教えてもらったことを試し、その感想を伝えることができる素直さがコミュニケーションの秘訣と結論づけています。

私はこの結論に、当たり前のような気もするし、当たり前ではないような気もするという矛盾した気持ちを抱きました。こんな身近なことがコミュニケーションの秘訣だったのかと目から鱗が落ちたような気分になったのです。

誰でも「できそう」ことをコツコツとやっていくこと。これは仕事において非常に重要なことなのではないかとも思いました。

気になった方は↓


ウドウロク 有働由美子

元NHKアナウンサーの有働アナのエッセイ集です。40歳から書き始めた過去のエッセイ31作と、50歳を目前とした今に書きおろしたエッセイ1作が収められています。

フランクな語り口で、仕事のこと・結婚のこと・生き方のことについて語られています。その口調はまるで近所のちょっと厚かましいけど明るいおばさんのようです。(※褒め言葉です)

明るくリズムよく進んでいくエッセイ集ですが、有働アナの心の根幹には「生きにくさ」「生きることの大変さ」があるのではないかと私は思います。華やかなキャリアに関するエピソードの合間、合間に、私生活での心境が綴られているからです。

例えば、仕事帰り今日の夜ご飯は何にしようかなーとスーパーによったとき。

肩身が狭い。
「こんなに混んでいるのに、一人分でごめんなさい」と、申し訳ない気持ちになる。
一生懸命生きていることに違いはない、と思う。
今日もちゃんと仕事したし。
なのに夕方のスーパーのレジに並んだときに湧き上がってくるこの申し訳なさ感は、なぜなんだろう。
弱っているときなどは、かごの中身が人生の薄さのように見え、言いようのない虚しさにさえかられる。

仕事をばりばりとこなして、今日はとても疲れた!という夜。

今日一日、すごくがんばった。
誰も褒めてくれないし、誰かを養うために働いているわけでもない。
自分のためでしょ。グチるなんて贅沢よ、と世間の大半の人から言われる。
だから、自分しか自分を褒められない。

女友達と楽しくおしゃべりをしているとき。

しかし、私は犬を飼った。
寂しくなったわけでもない。誰かにしつこくすすめられたわけでもない。同じ独身の友人の一言で、飼いに走った。
「人生でやりたいこと、ほしいもの、ほしいと言っていいはずなのに、どうしてしないんだろうね。私たちって」
ワタシはこう答えた。
「私たちは、分不相応をわきまえているから」
「でもさ、分不相応に、仕事も、夫も、子供も、なんなら恋も、ペットさえも手にして幸せにしている女友達もたくさんいるじゃない。なにが分不相応なのかねえ」
しみじみとした。

NHKの看板アナウンサーと言われるまでキャリアを築いた有働さんですら、日常のふとした瞬間に「生きにくさ」を感じています。この「生きにくさ」に悩む有働アナの心境に、私たち読者は、変な言い方ですが、安心感を覚えるのではなでしょうか?

仕事だけを頑張ればいい、恋愛だけをがんばればいい、結婚できればいい、子供を育てればいい、と単一の基準では人生の成功をはかることができず、私たちは一度に多くのことをこなしながら生きることが求めれています。それはキャリアを極めた有働アナも一緒です。

そのことに私は、肩の荷がおりたというかホッとしたというか、無性に親近感を覚えました。

このエッセイ集は見方によっては、49歳のおばさんが結婚・出産よりも仕事を優先した人生の後悔ばかりしているイタイポエムといえるかもしれません。

しかし、世の中に後悔のない人生を送っている人がどれだけいるでしょう?みな人生に大なり小なり後悔しながら、必死になって生きているはずです。

このエッセイ集は、そんな人の心の痛みにそっと寄り添う本なのではないかと思います。エッセイでは、仕事をがんばりなさいとも結婚しなさいとも書かれていません。

ですから、「あーわかる。私もこういう寂しい気持ちになったことある」と、仕事帰りの電車で、寝る前のベッドで、「みんな生きにくいんんだな」とただそれだけを感じてほしいと私は思います。

ふと心が疲れてしまったときに、読んでみてください。

気になった方は↓

不倫 パウロ・コエーリョ

「アルケミスト」の作者の最新作です。

今回は「ジュネーブに住む30代女性。容姿端麗、既婚、子供は2人。有力新聞紙で将来を嘱望されているジャーナリスト。夫は国内有数の資産家の息子で結婚して10年経った今でも妻を愛している。子供の教育にも熱心。」という誰もが羨む女性の不倫小説です。

順風満帆な人生を送る主人公が、とあるインタビューで聞いた言葉で人生に疑問をもつことから物語が始まります。

理由は分からないけれど、平穏な毎日に、平穏な人生に飽き、あまつさえ、絶望すらしてくる。そんな贅沢で厚かましい女性の心理をみっちりと描いています。

夜が更け、人目もなくなると、すべてが恐ろしくなってくる。人生も、死も、愛も、愛の喪失も。どんなに目新しいものであってもあっという間に慣れてしまうこと。
死ぬまでずっと同じことだけを繰り返して人生の花盛りを過ごしているのだという感覚。そして、どれほど胸ときめくものであろうとも、得体のしれないものに向かい合うことに対するパニックの感覚。

こんな心理状態を誰にも相談できず苦しんでいるときに、10代の頃の恋人と再会します。政治家として成功への道を歩んでいる元彼の中に、自分と似た孤独を見いだした主人公は、彼となら悩みを分かち合えるかもしれない…と不倫を始めます。

不倫をしながら主人公は「愛」について深く考え始めます。

そして、最後にあきらめの時代がやってくる。夫は仕事と称して家の外で過ごす時間が増えるし、妻は必要以上に子どもの世話に没頭する。現在の私たち夫婦がいるのはこの段階で、現状を打破できるのならば何でもしたい。
愛だけでは物足りない。私は夫と恋に落ちたい。
愛とは、ただの感情ではない。愛とは芸術だ。そしてあらゆる芸術と同じように、インスピレーションだけでなく、大きな努力が必要なのだ。

不倫相手との行方に、夫との関係に悩みながらも最後には答えのようなものを見つけて本書は終わります。ストーリーを楽しむ小説ではなく、心理描写をかみしめる小説です。

愛とはなにか?夫婦はどうあるべきなのか?で悩んでいる方はぜひ読んでみてください。最後に私が気に入ったセリフを紹介します。

だれかを愛するつもりなら、あらゆる心構えが必要になる。愛なんて、こどもの頃に遊んだ万華鏡のようなものだ。常に動いていて、二度と同じ形にはならない。そこを理解しておかないと、楽しいことばかりを追い求めて、結局は苦しむことになるだろう。

気になった方は↓

~Fin~





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