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ドレ・ミファソラ詩

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駄作の集会場。
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霧にくるまれる朝

霧にくるまれる朝

ツンとする冷気

顔にまとわりつく水泡

そして徐々に温めてくれる、ボヤけた光

それらをまとめて吸い込む朝。

自然の力が気道を通り、カラダに染み渡っていく

「あー今日も生きている」と、一日に向け一歩を踏み出す。

梅雨の山のコンサート

梅雨の山のコンサート

梅雨の季節。

緑の山は雨に濡れ、その色と匂いをさらに深いものにする。

何億枚もの葉、何万本もの枝、何千本もの幹。

同じに見える樹々も、大きさ、厚さ、表面の感触で全て異なる。

その全てのドラムの上に水滴は落ち、十人十色の音色を奏でる。

鳥のさえずりは主旋律を奏でる弦楽器。

そしてそこに響きわたる僕の足音。

これはいわば、山をハッとさせる緊張を生む、金管楽器に違いない。

梅雨の山。

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傘をささない言い訳

傘をささない言い訳

鉛色の空から雫が落ち始める5月の昼下がり、

カラフルな、せわしなく動く水玉模様の波が街に溢れ出す。

その中で1人、雫と木々の奏でる音に耳をすませ、髪を濡らし、歩く私がいる。

「風邪ひくから傘をささないと」と人々は言う。

「こんなのは降ってる内に入らないよ」と私は応える。

「欧米人はこのくらいの雨は雨とみなさいのだよ」と少しアゴをあげてスカしても見せる。

でも全ては言い訳。

本当は雨に

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