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コンディションの話。結局は睡眠と食事

 今日も今日とて柔術が楽しい。練習自体も楽しいですが、練習後に仲間とあーだこーだと技研究をする時間も楽しい。クラスで先生のテクニックを習ったり、スパーをするのとはまた違う楽しさがありますよね。学生時代の休み時間に「この技は~」「ちげえよ、こうだよ」みたいにプロレスごっこをしてた楽しさに似てます。

 今日はコンディションの話。コンディションの話は本も動画も論文もSNSも溢れていますが、自分の考えをまとめる意味も兼ねて書こうと思います。前半はコンディショニングの考え方、後半は具体的なコンディショニングの例です。長いですが興味のある部分だけでもどうぞ!


まずはじめに 個人差があるって話

 コンディションは、個人差があります。年齢でもその人の体格や内臓の強さ等々でベストの方法は変わってきます。そもそも、若かったり、体が強くて回復力のある人ならコンディショニングは必要ないかもしれません。その人には合うけど自分には合わないってことも多分にあります。なので大事なのは自分に合うコンディショニングを見つけることです。

1.なぜコンディションが大事か

 今さらですが、コンディションが大事な理由を改めて

①パフォーマンス向上(試合も練習も)

 コンディションが良ければいい状態で試合を迎えられます。試合前はテーパリング(徐々に練習の負荷を落として疲労を抜いていく調整)をして試合の日に一番強い状態を作るようにします。大幅な減量があるMMAでは顕著ですが、地力で優っている選手が調整に失敗してバッドコンディションで負けてしまうことはあります。(それも含めての試合だろって話ですが)

 練習も同様にコンディションが重要です。毎日、全身筋肉痛だったり疲労困憊だったらいい練習なんてできません。疲労を100%抜くのは無理ですが、なるべくいい状態で練習したいです

②ケガ予防

 コンディションが悪いと体も動かないし、筋肉や関節も固いし、集中力も落ちるのでケガのリスクが上がります。

③マスター世代はコンディション最優先

 おっさんは追い込んだらダメです。出し切るのは試合だけにしましょう。若い人は「100の練習をしたら翌日101が出せる」みたいなドラゴンボール的理論で追い込んだらそれに体が適応して強くなりますが。。。おっさんは100追い込んだら翌日は20-30になったりします。さらにいうなら翌々日も30-40くらいになったりします。怪我したら5-20くらいの状態が数週間続いたりします。目も当てられません。それならば60-80くらい(場合によっては40-50くらい)をコンスタントに積み重ねる方が良かったりします。

2.コンディションの概念

 コンディションといっても、いろいろな要素が関わってきます。以下の図で説明していきます。

①体のコンディション 食事と睡眠が9割

睡眠と食事が9割。

 いろいろなコンディショニング(疲労回復)の情報が世にあふれていますが、コンディションの基本として「食事と睡眠が9割」というこのモデルを抑えておくことが重要だと思います。
 ダイエットでもそうですが、当たり前の情報は売れません。「摂取カロリーが消費カロリーを下回るようにトータルでバランスの良い食事を」なんて情報は売れずに「〇〇ダイエット」のような極端なものが目をひくようになっています。コンディション維持も同様です。
 同様にコンディション維持は食事と睡眠が何より大事ですが、それよりもサプリメントや栄養ドリンク、ヤクルト1000、健康ケアグッズがコンディショニングだと思いがちです。やってる感があるし実際効果があるものも多いので間違いではないですが、食事と睡眠をおろそかにしていては意味がないのです。

 さりとて、サプリメントやケアグッズなども大事です。なぜならトップアスリートになると1~10%のコンディションの違いが勝負を決めることもあるからです。わずか数%のコンディションの変化がパフォーマンスに大きく影響を与えます。食事や睡眠をしっかりとってリカバリーしたうえでさらにいろいろなケアをしてよりよいパフォーマンスを目指しましょう。

 あと体のコンディショニングとしてウォームアップもめちゃくちゃ大事です。これはちょっと一般的なコンディショニングのイメージ=ケアとはズレるのでは図には入れてません。

※9割という数字の明確な根拠はありません。人から聞いたり自分の体感です。論文でたしか食事と睡眠は回復に有意差が出た、みたいなのがあった気がしますが確かではありません。

②メンタルのコンディション 

心と体はつながっています。病は気から。睡眠不足や空腹はイライラにつながる

 メンタルのコンディションも大事です。仕事のストレスなどで心がボロボロだといいコンディションとは言えません。恋人に振られたり離婚した直後は集中して取り組めないでしょう(いや、逆に集中できる?)。なので体のケアも大事ですが、メンタルのケアも大事です。
 
睡眠をとったりマッサージ受けたりストレッチしたりする体のケアだけがコンディション調整ではありません。気分転換やリフレッシュのために友人との食事、映画や音楽、その他の趣味をするのもコンディションのためには大事なのです。
 そして、心と体はつながっています。「病は気から」というようにネガティブな感情や不安をずっと持っていると内臓の病気になったり体の機能が落ちてしまいます。睡眠不足や空腹時はいらいらします。どちらかだけが悪くなることも良くなることもありません。心と体の両方をケアしましょう。

③ベースの体力をつける 

 ケアではないですが、ベースの体力がつけば結果的にコンディションが良くなります。

モデルがごちゃごちゃしてしまいました。。。

 イメージしやすいのは柔軟性でしょうか。体が柔らかいとケガしにくい(必ずしもそうとは限りませんが)。筋トレやストレッチ、モビリティドリル、有酸素によってベースの体力を向上させることでコンディションが良くなります。

④環境的要因

 これも見落としがちですが重要。

ますますごちゃごちゃに。。。

 環境要因もコンディションに影響を与えます。例えば温度と湿度なら、冬は長めにアップして体温を上げたり、夏は水分や塩分を気にしたり、出稽古や試合会場などの場所でマットの固さをチェックしたり、新しい道着の感触を確かめたり、海外の試合で時差をケアしたり、普段は夜やっている柔術を試合の日は昼にやるので早めに起きて調整したり、などです。

3.まとめ 今の自分のコンディションを把握する&自分に合うコンディショニングを見つける

①今の自分のコンディションを把握する=コンディションチェック、コンディションを測る基準を持つ

 ごくごく当たり前の結論に落ち着いてしまいますが。。。日々の練習の中で自分のコンディションを把握することが大事です。自分なりに今日の自分のコンディション(調子、疲労度)を測る基準を持つことが大事です。
 体重やウェイトや記録競技は数字で出るので分かりあやすいですね。例えばデッドリフトの重量で腰の疲労度、全身の疲労度のチェックができます。陸上競技や水泳の記録も基準として優秀です。
 メンタルのコンディションや競技パフォーマンスのコンディションを測るのは難しいです。メンタルのコンディションチェックにはストレスチェックリストもあります。とはいえ練習前の自分のメンタルのコンディション(やる気、モチベーション)をストレスチェックで測るのあ難しい気がします。

日々の練習のメンタルのコンディションチェックには使えない。。。

 競技パフォーマンスのコンデイションチェックは感覚的な部分が多いですが自分なりの基準があるといいですね。自分は練習前のソロムーブで体のキレをチェックします。スパーだと一発で袖の持ちたいところをつかめたり、フックスイープがきれいに決まったり、パスを取り切れたり、といった動きの中でコンディションをチェックします。いつもは決まる動きが決まらないのはコンディションチェックの指標になります。とはいえ相手ありきなので相手のコンディションや成長で変わってしまいます

コンディションチェックの例

・体重計測
・ウェイトの重量
・陸上や水泳などのタイム
・アップでの体の重さ、スムーズさ
・スパーでの技のかかり具合
・メンタルのストレスチェックの活用

②自分に合うコンディショニング(ケア・トレーニング)を見つける

 結論はこれです。自分に合う食事、睡眠、その他のケア、リフレッシュ法を見つけてそれを実践するだけ(それが難しいんだけども)
 極端なたとえですが、柔術世界王者マイキー・ムスメシの食生活 は1日夜に1食のみで大量のピザやパスタを食べるそうです。世界王者になっているのでマイキー・ムスメシにとってその食事は正解なのです。ただ、あなたにとっての正解とは限りません。(トレーニングや練習でも同様)
 
もちろん、論文やエビデンスや他人の感想なども重要な要素ですが、何より大事なのは自分に合うかどうかです。

 日々の自分のコンディションを把握して、自分に合ったコンディショニングをする、これをコツコツと積み上げていきましょう。

2023/9/4 アンディ

以下、自分が試したコンディショニングをまとめました。参考にどうぞ

コンディショニング 各種

 自分なりにいろいろ試してみたのでそれぞれの感想やポイントを。

記録

 一番最初にこれを上げておきます。個人的に記録はコンディション管理で一番大事なことだと思います。
毎日の体重チェック
・食事の記録(今は便利なアプリがある)
トレーニングの記録(重量・回数・セット数など)
・練習記録など

けっこう面倒だけど体重チェックだけでもやりたいところです

練習量・強度の調整

 これも大事なコンディショニング。自分の疲労度を見て練習を休んだり量や強度を下げるのも大事です。休むのに罪悪感を感じるのはあると思いますがそこはグッと休む勇気を出しましょう。三倍努力は常人にはできません。壊れます。やればやっただけ強くならばいいですがそうはならないので。

睡眠

 これが大事。基本的にはとにかく量を確保。20代前半は寝なくてもなんとかなりました。昼寝や週末の寝だめですぐに回復しました。練習するなら7時間、できれば8時間や取りたいところです。実際にはそこまで取れないので最低でも6時間は確保して練習休みの日や週末に長めに寝たりして回復を図ります。量ではなく質の睡眠とかいいますが、ある程度量は確保しないと自分はダメでした。ショートスリーパーも試しましたが日中まともに活動できないし体に悪く早死にしそうなので早々に諦めました。
 カフェインは自分にはあまり関係なかったです。本当に寝る直前に大量に摂取したら寝れないこともありますが日中ガンガンカフェインとっても普通に夜寝られます。カフェイン断ちした時は最初の1週間くらいは日中眠くてしかたなくて夜の寝つきがいい気がしました。1週間過ぎてからは夜の寝つきのよさを感じることはなかったですし日中もそれなりに眠かったです。適量とるようにしました。コーヒー好きだし。
 割と寝つきがいい方なので寝具はこだわっていません。睡眠系の薬屋サプリも使っていません。

食事&サプリ

 これもこだわったらキリがない分野ですが。。。とりあえず、練習前後の糖質、十分なたんぱく質(体重×2g、最低でも体重×1g)、食物繊維、ビタミンミネラル、控えめに良質な脂質。といったところは意識してます。
  自分は、上記以外だと「和食中心」「白米・味噌・旬の野菜を食べる」「リラックスして楽しく食事する」などは実践してます。
 サプリはぶっちゃけよくわからん。プロテインは筋肉をつけるために必要なので多めにとっています。マルチビタミンはおまじない。安心感。EXtendのBCAAはなんとなく回復できる気がします。翌日の身体が少し軽い。
 こだわりすぎると逆に不健康になったり宗教っぽくなるのでほどほどに。自分の体感を大事に
 あと、しつこいですがアプリとかで毎日の食事と体重を記録したほうがいいです。

ストレッチ(静的)

 練習前の静的ストレッチはよくないといいますが、競技によると思います。静的ストレッチやった直後に100m走走ったり、いきなりスクワットMAXやる人もいないでしょうし。特に柔術は柔軟性が求められる競技なのでハムケツ背中は伸ばしといたほうがいいと思います。

 練習後のストレッチに回復の効果は少ない、みたいな論文があって(気になる方は「ストレッチ 疲労回復 論文」とかで検索を)実際練習後にストレッチしない選手も多いと思います。柔軟性向上のためのトレーニングとして練習後の静的ストレッチは効果的ですが疲労回復にはそこまで効果ないらしいです。
 しかし自分は体感としてストレッチするとハムケツ腰、首の張りが楽になる気がするのと、伸びる感覚が気持ちよくてリラックスできるのでやってます。

ストレッチ(動的)・モビリティドリル

 股関節や肩の動的ストレッチやモビリティドリルは練習前アップとしてやると全然動きが違います。「股関節 モビリティドリル」検索したら山ほど出てくるので調べてやってみましょう。

筋トレ

 これはケアとは違いますが、筋トレによって筋力をつけたり、腱、骨を強くすることはベースの体力が上がるのでコンディションが良くなります

有酸素(ランニング、自転車、散歩、水泳etc)

 アクティブレストとしてのケアの意味を持つときもあれば、心肺機能のトレーニングとしてベースの体力を上げる効果を持つときもあります。また、リフレッシュ効果もあります。

呼吸のエクササイズ

 呼吸は副交感神経にアプローチできます。リラックスするための手段として優秀です。あとリブフレア(肋骨が開くこと、基本的によくない)を防ぐためにも優秀です。
 そんなに難しく考えず、カメや四つ這いで吐くときに背中を丸めて吸う時に背中をそらす。なるべくゆっくり、吸う3-5秒、吐く6-20秒くらい。あおむけでやってもいいです

フォームローラー・骨盤職人(ツボぐりぐり)

 いわゆる筋膜リリース(実際は筋膜リリースというのは間違いらしいです)。これも体感として楽になります。ケツやハムを中心にゴリゴリと無理ない範囲でほぐしていきましょう。ただ長時間腰を反らして腰にフォームローラーするのは腰によくありません。伸びて気持ちいい気がしますが、腰椎が必要以上に弯曲(カーブ)してしまいます。ご注意を。

入浴

 血流が良くなり、リラックス効果もあります。42度を超えると交感神経優位になってリラックスよりも興奮へ向かうので41度以下で無理ない範囲で体を温めてリラックスしましょう。でもアツい風呂でがっつり汗かくのが好きならそれでもいいと思います。
 自分は体感として暑い風呂に入ると目が冴えて眠りが浅くなるのと、風呂上り直後は気持ちいいですが翌日はむしろ疲労感を感じることが多かったです。

サウナ

 サウナが健康にいいかどうか論争はずっと続いています。自律神経が整う、発汗は健康にいいなどなど。これも好みですが、個人的にはサウナは健康にはそんなに良くないと思っています。コンディショニングというよりも娯楽的な部分が多く、メンタルのコンディショニングには優秀だと思います。自分も好きですが、高温の風呂と同様に水風呂とサウナの交代浴で”整う”と気持ちいいですが、翌日は体が重く、実際体は疲労してる気がします。

マッサージ

 実はタイマッサージを習ってまして。けっこう楽になります。気持ちいいのでリラックスできるというのも大きいです。これも個人差がありますが個人的に好きです。痛いマッサージは力が入って筋肉が固まるので痛くない気持ちいいマッサージのほうがおすすめです。タイマッサージはストレッチを含めた施術が気持ちいいです。ただ、1回やっただけではそこまで効果がなく、継続的にやったほうがいいのですが、継続的にやるとお金がかかるんですよね。。。試合前だけやるとかでもいいと思います。

鍼灸

 いい鍼灸師を見つけられるかどうかが一番のポイントですが、ジムの人に聞きましょう。それが一番信用できます。個人的にもけっこう効果を感じます。マッサージはリラックスと疲労回復に効果的ですが、鍼灸は治療に近い感じで関節や筋肉の痛みや重い疲労に効果的な気がします。

治療

 これはコンディショニングなのか微妙ですが。。。ケガしていたらまずは病院へ。医師や理学療法士の方に状態をしっかり見てもらいましょう。

リフレッシュ

 メンタルのコンディショニング。友達と飲み会に行く、映画を見る、本を読む、散歩する、なんでもいいです。心のケアも大事です。

その他

 酸素カプセル、ニンニク注射、コンプレフロス、ヨガ、エステなどなど。自分はやったことがないのでわかりませんが、たぶんそれなりに効果あるのだと思います。

 

 いろいろ書きましたが、コンディショニングで一番大事なのは睡眠と食事だと思います。その二つを大事にしつつ自分なりのコンディショニングを見つけていきましょう。

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