読書まとめ『世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑』→もののしくみを通して本質を知る

『世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑』セオドア・グレイ

一言でいうと

もののしくみを通して本質を知る

どんな人にオススメしたいか

・メカメカしたものが好きな人
・モノを分解するのが好きな人
・鉄腕DASHが好きな人

著者はサイエンスライター。本物の元素を収めた周期表テーブルを制作してイグ・ノーベル賞をもらっていて、「世界で一番美しい」化学図鑑三部作がヒットしている。

本書は、スケルトン家電に始まり、「錠と鍵」、「時計」、「はかり」、「布作り」の4つを詳しく説明している。

もののしくみを解き明かす過程で、それぞれのものが持つ本質に触れる体験ができて興味深かった。黒背景の写真も美しく、特にスケルトン家電の章は写真を眺めているだけでワクワクする。詳しくは紹介しないが、「布作り」の章は、鍋つかみを作るためにワタの種まきからスタートするという、鉄腕DASHみたいなプロジェクト。

中間の3章について、私が感じた「ものの本質」について紹介する。文章で書いてもイマイチ魅力を伝えきれないので、ぜひ買って(借りて)読んでいただきたい…

① 錠と鍵「権限と情報処理のしくみ」

・権限を持つ人が鍵を開けられること。権限を持たない人が鍵を開けられないこと。
・権限を持っているかどうかは、物体(鍵)や情報(パスワード)を持っているかで判断する。
・銀行の金庫も普通の金庫と同じしくみだが、熱や衝撃がかかるとロックされること、故障に備えて鍵が冗長化されていることが特徴。権限を持たない人が開けたり、権限を持つ人が開けられなくなったりすることを防止する。

② 時計「基準値の正確な繰り返し」

・歯車を使って回転のスピードをコントロールする。
・正確な繰り返しのために、動力の減衰や摩擦の抵抗を徹底的に減らす。
・現在の1秒は、セシウム原子の周期を基準にしている。
・正確な繰り返しから一歩進み、GPSと電波で常に正しい時刻に合わせるようになった。

③  はかり「公正な取引のための客観的指標」

・ごまかしを排除して、客観的に判断するための装置。4000~5000年前から存在していたとされる。
・支配者がはかりの正確性を保証することで、秩序をもたらした。今でも計量器やガソリンスタンドのポンプには国家の検査機関で試験されたことを示す印がある。
・1秒と同じく、1kgの基準も変わった。キログラム原器から、国立標準技術研究所のはかりへ。
・重さとは、下向きの力。垂直に張られた弦の張りの強さの変化で、重さを音に変換したりもできる。

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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。