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読書まとめ『ノーコードシフト』→誰もが解決策を発信できる社会へ

『ノーコードシフト プログラミングを使わない開発へ』安藤 昭太、宮崎 翼、NoCode Ninja

一言で言うと

誰もが解決策を発信できる社会へ



概要

育休明け後の仕事に直結する本です。ネットワークエンジニアから、ノーコードエンジニアに名乗りを変えようかな。

プログラミング不要で開発ができるノーコード(ローコード)について、幅広く解説されています。具体的なノーコードツール名も紹介されていますが、ノーコードの普及と利用についての全体を抽象的に捉えるための本だと感じました。ノーコードツールは続々と登場しており、各ツールをそれぞれ紹介していては紙面が足りなくなっちゃいますからね。

私は、今学習しているMicrosoft PowerPlatformをメインに据えつつ、BubbleとNotionにも触っていこうと思いました。Bubbleはオールインワン系、Notionはウェブデザイン系・データ管理系に分類されるノーコードツールです。Notionについては、実は過去に使おうとして挫折した経験がありますが、本腰入れて再挑戦を始めました。Notionを愛用しているnoterさんもたくさん発信されているようなので、情報を集めていきたいと思います。

本稿では、ノーコードが社会にもたらす変化を、広めの視点で3点でまとめます。



① 本質:非エンジニアにもAPIを開放

ノーコードがもたらす最大のメリットは、システム同士の連携が容易にできるようになったことです。従来はプログラミングでAPIを呼び出して連携させていた作業が、プログラミング不要でできるようになりました。

特に、システム同士を連携させるiPaaS(integration Platform as a Service)が注目されています。背景には、クラウドシフトとSaaSの普及により、処理やデータが分散したことがあります。勤怠はAシステム、給与計算はBシステムを使っており、AシステムからBシステムにデータをコピペで転記する、みたいな具合です。それらをiPaaSで、しかもノーコードで連携できれば、転記作業を効率化できます。

私が育休前にやっていたネットワークエンジニアとしての仕事は、3割くらいは転記作業とその確認だったと言っても過言ではないです。ワークフローシステム、メール、チャット、管理表、仕様書などなど、分散した情報を集約して別の管理表に転記する作業がほとんど。機器の設定を変更するのも、事前に作ったコマンドを機器に転記する作業と言えます。転記フローの確立・効率化を進めることはできましたが、自動で連携させる方向を目指すのもアリだったなぁ。



② 価値:アイデア具体化を加速

システム同士の連携が容易にできるようになったことで、開発のスピードが大幅にアップします。簡単なシステムであれば、システム部門や他社に依頼することなく、非エンジニアが自力で作成できるようになります。いわゆる内製化ですね。

一方、本職のエンジニアは、難易度が高い非定常・非定型の業務に集中できるようになります。ノーコードツールは、定型的な処理であれば直感的に操作できる反面、定型外の処理をしようとすると途端に難しくなる特徴(抽象化のやぶれ)があります。ノーコードの普及がエンジニアの仕事を奪うのでは、という懸念に対しては、定型外の処理をプログラミングで補うための役割として引き続き需要は高い、と提示されていました。

実際に動くアプリを早々に作れることで、導入までのスピードもアップします。ノーコードの活用事例として、加古川市の給付金申請システムが紹介されていました。市の職員がキントーンを使って構築し、わずか1週間でリリースしたそうです。短時間で開発できたことに加えて、実際に動くアプリがあるので説明資料を作る必要がなく、上長の承認を得るのが圧倒的に早かったのこと。



③ 展開:多様でニッチな課題を解消

開発から導入までが高速化することで、開発コストが下がってリスクが小さくなります。ノーコードを利用してスモールスタートして、手応えがあれば本格的にプログラミングで開発する、といった手法も採られるようになります。

リスクが小さいので、収益化が難しいかもしれないニッチなサービスがどんどん開発されていくと予想されます。本書の例では、利用者の継続的な増加が見込めない「難病サポートSNS」が挙げられていました。従来の開発手法ではコストがかかりすぎて収益化が難しいと思われますが、ノーコードでコストを抑えて開発・運営すれば、収益化のハードルは下がります。何より、資本主義社会では無視されがちなニッチなニーズを満たすことができ、よりよい社会につながることが期待できます。

ニーズが多様化した現代において、ノーコードを使いこなすことが、社会に影響を与える「参政権」になると表現されていました。システムを利用するだけの存在から、自分でシステムを作って社会を変える存在になろう、という意味合いです。近年のSNSの普及によって、誰でも自分の意見を発信できる社会になりました。今後のノーコードの普及は、意見だけでなく具体的な解決案を発信できる社会につながりそうですね。



著者様のnoteで「はじめに」が全文公開されています。



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