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読書まとめ『Power BI入門』→Power BIを使ってデータ思考へ

『Microsoft Power BI入門 BI使いになる!Excel脳からの脱却』清水 優吾



一言で言うと

Power BIを使ってデータ思考へ



概要

Power BIの学習のために読みました。先月のPL-300試験にも役立ったと思います。

著者は、コミュニティやYouTubeでPower BIの情報を発信されている方です。Power BI Weekly News(後追い視聴)などでいつも勉強させてもらっています。勉強になるだけでなく、含蓄が深くて純粋におもしろいです。

本書はPower BI入門であり、データ思考入門でもあります。Power BIの入門本として、Power BIそのものの説明と、Microsoftのサンプルデータ・COVID-19の感染者数データをもとにした2つの演習で理解を深められます。そして、それ以上に、BIを使うための考え方についての説明が充実しており、データ思考の土台作りに最適な本だと感じました。

BIを使いこなすには、必然的にデータ思考が求められます。副題に「Excel脳からの脱却」とあるとおり、Excelとは異なる頭の使い方だと言えます。

Excelでは、持っているデータがそのままビューとして表示されます。ライトに使いやすい反面、データの再利用はしにくくなることがあります。

一方BIでは、実体(データ)と見え方(ビュー)は明確に分離されています。元になるデータを、複数のビューで見せたり、ビューによって表現だけを変えたりできます。SQLなどのデータベースもこの考え方ですね。

この観点で、データ思考は、事実(データ)と解釈(ビュー)を分けることに近いのかもしれません。分けた上で、事実から解釈を導くことでもありますね。


本稿では、専門用語をなるべく使わないように意識しつつ、学びを3点で共有します。Power BIに限らずデータ思考全般に関する文章として読んでいただければと。



① 現場がデータを使いこなす時代

BIは経営層が使うもの、という時代は過去のものになりつつあります。私が初めてBIツールに触れた10年近く前は、BIは専門家が構築して経営層が見る特別なツール、といった印象でした。そこからビッグデータやIoTが流行り、今ではPower BIをはじめ多くのBIツールが浸透しはじめています。業務の効率化や、KKD(勘・経験・度胸)と称される暗黙知を実証することにも使われるようになってきました。

つまり、組織でのBI浸透を目指すために、トップダウンだけではなく、現場からボトムアップするアプローチが可能になったと言えます。本書では、BIツールを使いこなせるようになった上で、作ったレポートを「なにそれ?」と聞かれることが第1段階だとしています。そこから上司や役員、情シスや総務を巻き込むコミュニケーションを展開して、ボトムアップしていく流れが紹介されています。組織に影響を与えるためには、まずは自分がBIツールを使いこなせるようになること、これがスタート地点です。



② 引き算で思考をクリアに

レポートや一連のデータは、作成者以外でもすぐに理解できるようにする必要があります。これらは、発見をもたらしたり行動を促したりするために、他者に共有するものです。ノイズになりそうな情報、読まなくてもわかる文字(行・列のタイトルなど)は削ぎ落として、誤解を生まないつくりにしましょう。内部的には必要だけど人間が使うわけではない類のもの(ファクトテーブル側のKeyフィールドなど)も、非表示に。

不要なものを見極めるには、何を視覚化して、何を判断するかを明確にしておくことがよいとされています。目的をハッキリさせましょう、ってことですね。BIツールは元データに変更を加えないので、同じデータから複数のグラフやレポートを作ることができます。プレゼン資料におけるワンスライド・ワンメッセージと似た考え方で、ワングラフ・ワンメッセージにするとよさそうだと感じました。



③ レシートでDB設計の訓練

BI設計には、すでに存在するデータを理解・解釈することが求められます。アプリケーション設計の場合はデータベースから自分で設計できますが、BIの場合は「有り物」のデータベースを活用することになります。たとえるなら、アプリ設計は本の執筆、BI設計は本の編集と言えますね。

データを理解する訓練として、お店でもらったレシートのデータをどんな形で保持するか考えてみる、というものが紹介されていました。完成品を分析して仕組みを解明することをリバースエンジニアリングと呼び、それのデータベース版って感じです。おもしろそう、と思って手近なレシートでやってみたんですが、以前の職場で散在する自社サービスに対してやりまくってたことがまさにコレだったことに気づきました。懐かしい。データの持ち方を明確にすることが業務改善への第一歩なので、これからも訓練を続けたいと改めて思いました。



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