次の授業を休みたい。一番苦手な英会話だ。
唯一答えられるのは、誰もが知っている挨拶くらいなもので、考えるだけで頭が痛くなってくる。とりあえず、保健室で休ませてもらおう。

こめかみを押さえ、アメリカの国旗がはためく部屋を目指した。
最近改装したばかりの保健室は、ネオンライトで飾り付けされ、まるで７０年代のアメリカのカフェだ。

先生はアメリカ人で、いつも笑顔でフレンドリーだ。太っていて声が大きいからか、先生を怖がる生徒もいるようだけど、はっきりした理由はわからない。

「失礼します」ドアを開けた。
ビッグマックを片手に持ち、ナゲットを口に押し込んでいる先生と目が合った。
先生はソースの付いた指を舐めながら笑顔で僕に手を振った。
「どした、具合悪い？次の教科は？」
「英語です」
先生は頷き、とびきりの笑顔で言った。

「How are you?」

「I'm fine Thank you……」

「Good」

先生は無表情になり、壁からモデルガンを外した。

[完]

#毎週ショートショートnote

今週は

「アメリカ製保健室」というお題をどんでん返しのストーリーで

ということでしたが……。どんでん返しになってませんね💦