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脳と自然

「テストうまくいったかな」
「自分の見た目が気に入らない」
「仲間外れにされたらどうしよう」
などと、不安を感じることはないでしょうか?

実際には起こっていないことなのに、そう考えてしまう。

ある意味、自分で自分を恐怖に誘っているともいえ、
「Self-Threatening(自分で脅かす)」などと呼ばれます。

少し疎ましい脳機能ではありますが、
この脳機能もある意味、必要だからこそ備わっていたもの。
自己の脅威になりうるものを予測し、推測し、
早めに対処し、回避あるいは戦闘することで、
生命を維持してきた時代が長かったから、
今でもその強い名残が、この脳反応に現れます。

そんな脳の状態を和らげる、
ある種、不安解消法、ストレスマネジメントの一つの示唆が、
下記の2023年、北京大学の心理学チームから発表されました。
普段は、神経科学の論文をご紹介することが多いですが、
今年は、心理学や行動学の研究もご紹介しながら、
神経科学的考察もちょっぴり入れてお話できたらと思います。

どうも、この自分を脅威に晒すような思考、
それに伴うネガティブな感情は、
Awe(畏敬の念、畏怖の念)によって和らぐというのです。

面白いですね。
ネガティブな感情に対して、
・Awe(畏敬の念、畏怖の念)
・ニュートラル
・ポジティブな感情
な状態で、モニタリングしたところ、
Awe(畏敬の念、畏怖の念)を感じているときに、
ニュートラルやポジティブな感情よりも、
ネガティブな感情を和らげる効果があったのです。

面白いですね!
ポジティブな感情を抱いている時よりも、
Awe(畏敬の念、畏怖の念)が
ネガティブ感情に有効であると。

そこで、この北京大学の研究チームは、その原因をさらに深ぼるわけですが、その一因として出てきたのが、「Small-Self(ちっちゃな自分)」です。

別に「Small-Self(ちっちゃな自分)」が悪いわけじゃないです。
そうではなくて、
Awe(畏敬の念、畏怖の念)を感じているときに、
「Small-Self(ちっちゃな自分)」を感じやすく、
ネガティブな感情が和らいでいくということです。

こんなことないでしょうか?
大自然の力、パワー、雄大さ、広大さ、荘厳さ、
そのようなものに出くわした時に、
「ああ、なんともまぁ、、、、」
もう言葉にもならない
「ああああ、あうううう、おわぁあああ」
というような感じ。
「Awe、おう」って感じに。

そうすると、なんだか、自分の悩みやストレスが、
なんだかみじんこみたいに感じられて、
くよくよしていた自分がバカらしくなって、
「ええやないの!」
って、悩みやストレスを手放すような経験。

私自身は、大いにあります。
なぜか、心身疲れると、
海に出向きます。

学生時代は、UCLAで追い込まれ、
悩み、自分の無力さを痛感すると、
サンタモニカビーチに出向き、
黄昏る。

今も、コロナ禍、
東京から千葉へ移住。
海のすぐそばに。
いつだって、疲れると、
海を眺めてぼーっとする。
そうすると、
本当にいつの間にかに、
整う。

確かに、振り返ってみれば、
感動しやすい自分。
自然の雄大さに、
どこまでも続く
サンタモニカビーチの、
砂浜の広さ、
どこまでも続く
太平洋の水平線、
どこみてるのか、
どこに焦点があるのか、
不思議な空。
空を見てるのかな、
宇宙を見てるのかな、
果てしない世界、
果てしない宇宙、
自然に圧倒、
まさに
Awe(畏敬の念、畏怖の念)な状態。

これは神経科学的にも的を射ている。

我々は悩みの種やストレスを抱えると、
その悩みやストレスに注意が囚われやすい。
そして視野が狭くなる。

世界はこんなにも広大で、美しいのに、
なぜかその狭い闇にばかり注意を向けてしまう。
人間の脳には、
注意を狭くもたらす脳機能と、
注意を広くもたらす脳機能と、
それぞれ独立した別個のシステムで制御されている。

そう、悩みやストレスを抱えている時の、
狭い注意のモードを、
雄大な自然の力を借りて、
広い注意のモードにシフトする。
そうすることで、
悩みやストレスを感じづらくなる。

なぜストレスを感じるのか?
なぜ悩むのか?
単純だ。
ストレスの種、悩みの種に注意を向けるからだ。

最近は、課題解決が大事だと巷で言う。
真面目な人は、
ストレスの種、悩みの種に注意を傾け、
ますますストレスを高める。

課題解決が全てではない。

ストレスや悩みなんて、
見なくて済むものは、
見なければいい。
時に課題解決も大切だが、
ことストレスに関しては、
手放せる力も大事。
課題解決しようと向き合えば向き合うほど、
脳は狭い注意モードで
ストレスを悪化させうる。

気を紛らわせようと、
YutubeやNetflixもいいかもしれない、
ゲームもいいかもしれないが、
注意モードが狭い。

より効果的なのは、注意を広くとることだ。
悩みやストレスを感じたら、
「そうだ、山へ行こう」
「そうだ、海へ行こう」
これが合言葉。

ただいけばいいってもんじゃない。
そこでスマホばかりいじっていたら、
それこそ宝の持ち腐れ。

大いに、自然の雄大さを感じる。
そう感じる!
感じ入る!
五感全部使って、
世界を、
宇宙を、
感じる。
(Aweの発動!)「オウっ!アウっ!」って唸る。

なんだか怪し気だが、
実際の脳の4つの注意モードからしたら、
非常に真っ当なアプローチである。
(細かくその仕組み知りたい方は、4Focus(4つの集中)と言う本を書かせていただいているので、もし興味ある方はぜひ!)

そうして、
「ああ、ああ、自分のストレスさん、悩みさん、みじんこさん、ありがとう、さようなら」(Small-Selfの発動)
これをちょっぴり意識してみる。

これは脳の中で、自然の雄大さと、自己の悩みが相対化され、
それが相殺されていく過程である。
点の視点から解き放たれ、
世界の全体を俯瞰できている状態。

Time is limited.
時間は限られている。
余計なことに注意を払っている暇はない。

時に、悩みや葛藤することは大切だ。
でも、自分のやり遂げたいこと、目標、夢、成長、愛する人のため、
それ以外に、悩んだりストレスしているのは勿体無い。

そんな時は、
「そうだ、山へ行こう」
「そうだ、海へ行こう」
そして、Aweして、Small -Selfして、
世界と、宇宙の広大さと繋がって、
生命に感謝して、
エネルギーを蓄える。

ああ、人間が、自然とつながり、
内を整える仕組みを持っていること、すごい。
もっともっと、自然を大切にしなくちゃ。
そしてももっともっと、自然の一部として、
溶け込んでいきたい。
そうすると、もっと豊かな人生を送れるんじゃないか。
そんなことを、海をわき目に、
乱文を書かせていただいた。

お読みいただきありがとうございました。


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