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【連載小説】雨がくれた時間 4.やまない想い

前回の話はこちら 第3章「あなたの返事」
始めの話はこちら 第1章「思わぬ雨」

      4 やまない想い

 雨はやむ気配がなく、まだ降り続いていた。
 透明なビニール傘を滑り落ちていく雨粒のように、すべて流れていってしまえばどれだけ楽なのだろう。
 どんなにあらがっても消せないこの想いは、まるで鉛のように鈍く私の身体の底に沈んでいる。それが両足に絡みつき、坂道を下る足取りをずっしりと重くしているような気がした。

 突然、冷たいという感覚が右半身をおそい驚いて顔を上げる。
 通り過ぎた車が、車道の脇に出来ていた水たまりを勢いよく撥ね上げたらしく、せっかく少し乾きかけていた黒いスラックスはびっしょりと濡れていた。
「……やっぱり怒ってるのね」
 あの人がこんなことで怒ったりしないことは、よくわかっていた。けれど、この雨もどうにも出来ないこの想いもすべて、誰かのせいにして忘れてしまいたかった。
 叱る言葉でもなんでもいいから、あの人の声がただ聞きたかった。

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(続)


第5章「邂逅」はこちら





Twitterの診断メーカー『あなたに書いてほしい物語3』
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#書き出しと終わり から

「雨が降っていた」ではじまり 、「私にも秘密くらいある」がどこかに入って、「あなたは幸せでしたか」で終わる物語を書いてほしいです。

というお題より。

もしかしたら「あなたは幸せでしたか」では終われないかもしれない物語です。

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なお、使用している見出し画像は
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